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日本HPが2017年の事業戦略を紹介

革新の精神忘れず、2017~2018年はPC市場のV字回復目指す、日本HP

2017年01月16日 12時00分更新

 日本HPは1月13日、東京・大島の本社で2017年の事業戦略について説明した。

日本HPの岡隆史社長執行役員

 日本HPの岡隆史社長執行役員は、まず初めに“keep reinventing”というキャッチフレーズに言及。社内外で折に触れて露出することで、社員にも「革新的で面白いことをやらないと社の方針に合わない」という考えが浸透してきたとする。

 エンタープライス領域を担う日本ヒューレット・パッカード(Hewlett Packard Enterprise)と、PC/プリンティング事業を担当する日本HPに分社して以来、きちんと説明する機会がなかったと話す一方で、この1年間でビジネスの目的やそれを実現するための環境がより整理されたとも話す。

日本HPほど日本の顧客のことを考えているメーカーはない

 特にPCやビジネスプリンターといったボリュームビジネスに集中できる環境が整った点は大きい。分社前の日本HPはエンタープライズ領域が8割で残りの2割をPCとプリンティング事業が担っていた。PCとプリンター事業のみが独立したことで、社員が使うITインフラや評価制度などに関しても最適化が進んだとする。工場も昭島から日野へと動き、物流と生産の拠点を統合した。

 同時に、全世界でPCとプリンティング事業を展開している中で「日本HPの役割は“日本のお客様に対する最適化”」とし、世界で最も厳しいと言われる日本の顧客の要求にあったビジネスモデルをつくり、全社に共有していくことが求められていると説明する。

 印象的だったのは、岡社長が「日本HPは(国内メーカーも含めて)最も日本のユーザーのことを考えている企業である」と発言したこと。全世界でビジネスを展開しているHPの中で、日本HPは国内の事業だけを委ねられている。つまり日本市場がダメだからそれ以外の地域にシフトするということはできない。結果日本の顧客の課題を把握し、応えていくことが必要になるわけだ。

2017~2018年のPC市場は明るい

 市場の縮小など悲観的な声もあるPC市場だが、岡社長の考えは楽観的だ。

 岡社長は、2017年、2018年のPC市場は復調するとコメントしたが、その根拠はOSのリプレースが本格的に進むことに加え、在宅作業を始めとした就業環境の変化など、業界全体にチャンスが到来するためとした。2017年は、ワークステーションやデスクトップ、シンクライアントなど強みのある領域を堅持しつつ、勢いに乗ったビジネスの拡大を目指していきたいとする。

 PC領域では特に、ランサムウェア対策などにも有効なハードウェア(BIOS)レベルでのセキュリティを数年前から取り込んできた点がメリットになるとする。

 このPCやオフィス向けプリンターといったコア事業に加え、次の成長領域として掲げられたのが、デジタル輪転機など商業印刷の分野だ。さらに将来の方向性として、イマーシブ(没入型)・コンピューティングの領域を紹介。3Dスキャナーを内蔵した一体型PC「Sprout」に言及したほか、3Dプリンターなど新しい市場を切り開いていける製品も重視していく考えで、すでに大手の自動車会社などへの納入が決まっている。面白い点としては、この3Dプリンターは本体の使用パーツすべてを自分で製作できるようになっており、部品が壊れた際には自ら出力することで、保守部品を維持するコストを大幅に減らせるようにしていることだ。

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