Snapdragon 835で動くWindows 10は本当に本物のWindowsだった! 動作デモ機を見た
クアルコムは台北で開催中のCOMPUTEX TAIPEI 2017に合わせて、報道関係者向けに同社のCPU「Snapdragon 835」にARM用Windows 10を搭載したWindows PCを披露。同社のリファレンスデザイン機で、Windowsの各種機能やOfficeなどのアプリが動作するデモを行なった。
ARM版のWindows機の最大の利点は、マザーボードをコンパクトにできること。デモブースではインテル製のYプロセッサーを使ったノートPC用のマザーボードと、Snapdragon 835を搭載したマザーボードを展示して比較。後者のほうが、半分ほどの設置面積となっている。そのためPCをより小さくて軽いデザインにしたり、同じサイズでより多くのバッテリー搭載するといった設計が可能となる。
マザーボードにはCPUのSnapdragon 835のほかメモリーもオンボードで装備。リファレンスデザイン機は4GBのメモリーを搭載しているが、このあたりはメーカーのカスタマイズができるとしている。
またSnapdragon 835搭載のWindows PCは「Always Connected PC」に準拠のため、eSIMが必須となっている。ただし通常のSIMスロットもあわせて搭載することは可能でこちらもメーカーの設計次第。iPad Proのように通常のSIMとeSIMを切り替えて使用するモデルも実現できる。
ARM用のWindows 10の特徴は、x86/x64版のWindows用デスクトップアプリが利用できること。以前にあったARM用に開発されたWindows RTでは、ARMで動作するアプリしか利用できなかったが、今回のARM用のWindows 10では、インテルやAMDのCPUを搭載したWindowsの環境そのままというわけだ。
これを実現しているのが、x86/x64用に開発されたアプリをARM用に変換して動作させる機能。デモでは実際にARM用ではない、Win32版のOfficeなどでテストしていたが、大量にデータを入力したワークシートや、画像のコピー&ペーストといった動作では、遅延などは感じられず問題ないレベルだった。ただし現状では32bitアプリのみ対応。64bitアプリについては今後のアップデートで対応する予定とのことだ。
ちなみにWindows 10 Home/Pro/Sに、企業向けのEnterpriseと、メーカーが搭載するエディションを選べるのも通常のWindows PCと同じだ。
デモの動作を見ている限りは、いたって普通のWindows PCと同じ。しかしシステムのプロパティーをチェックするとCPUは「Qualcomm Snapdragon SDM835」、システムタイプは「64-bit Operating System,ARM-based processor」と表記されており、間違いなくSnapdragon 835で動作していることがわかる。
Snapdragon 835はオクタコアのため、タスクマネージャーのパフォーマンスでCPUの稼働状況でもちゃんと8つのコアの動作状況を表示。Snapdragon 835のオクタコアは、4+4のbig.LITTLE仕様なので、CPU0から3がLITTLE側、CPU4から7がbig側とのこと。
そのほかにもデモではプレゼンしやすいように映像を液晶テレビへと出力していたが、本体のディスプレーに表示したり、デュアルディスプレーにするなど、まさにWindows PCそのもの。
筆者はSnapdragon 835を搭載したWindowsが登場すると聞いたとき、「Windows PhoneやWindows RTの二の舞になるのでは……」とも感じたが、今回のデモを観てその危惧は払拭された。クアルコムやマイクロソフトの狙いは、スマートフォンを作ることではなく、スマートフォンサイズにも作れるWindows PCといったところのようだ。
個人的にはスマホサイズのWindows PCも魅力だが、ポケットにさせるモバイルギアのような端末や超長時間駆動が可能なクラムシェルモデルなどが開発できるのではと想像しており、実際の製品の登場をワクワクして待ちたくなるデモだった。
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