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“なくてはならぬ”サービスで駐車場不足という社会問題解決へ

シェアをバズワードで終わらせない 駐車場活用でビジネスを拡大させるakippa

2017年05月19日 07時00分更新

 日本全国の空いている月極駐車場や個人宅・マンションなどの駐車場を、オンラインで簡単に検索し、リーズナブルな料金で、15分単位の予約ができる駐車場シェアリングサービス「akippa」。2014年4月より提供されている同サービスが目指すのは、駐車場不足という社会問題の解決である。

 akippaの代表取締役社長 CEOの金谷元気氏は、「自動車の保有台数7800万台に対し、コインパーキングは500万台分のみ。結果、東京都では5万9000台大阪府では3万1000台が路上駐車をしている。一方で、時間貸しではない月極・マンション・個人宅など、3000万台分を超える駐車場が余っているのが現状」と語る。

 数多くの大手企業との連携を果たしつつあり、シェアリングエコノミーを代表するスタートアップ企業の1つと数えられる同社だが、金谷氏は「社員全員が“シェアリングエコノミー”という言葉も、Uberも、Airbnbも知らなかった」と笑う。いかにしてakippaは立ち上がり、現在どのようなポジションにいるのかを聞いてみた。

akippa株式会社の金谷元気代表取締役社長 CEO

簡単、リーズナブルに駐車場を予約

 akippaは、スマホアプリを利用することで、akippaと契約しているすべての駐車場を、簡単にネット予約できるサービスだ。たとえば、東京ドームでコンサートがあるとか、野球の試合があるときには、周辺の駐車場がすべて満車になってしまう。akippaで事前に予約しておけば、駐車場探しに翻弄されることがない。

 また、リーズナブルな点でも評価が高い。たとえば東京・六本木周辺で、9時から24時まで駐車した場合、akippaは周辺の駐車場に比べて3分の1から10分の1程度の料金で利用できる。金谷氏は、「コインパーキングにある精算機や両替機、発券機などをなくし、スマホアプリに置き換えることで、初期投資の回収が不要な分料金を安くできる」と話す。

 当然スマホアプリで決済可能で、料金の未払いなども防げる。収益モデルとしては、駐車場の利用料金の60%をオーナーに還元するモデルになっている。金谷氏は、「駐車場のオーナーは、登録料などの費用も一切不要なので、気軽に駐車場ビジネスに参入することができる」と話す。

駐車場アプリで顧客が増えるのはなぜか

 現在、akippaに登録されている駐車場の拠点件数は、すでに1万拠点を超えており、首都圏のみならず郊外も含めて広がりを見せている。「大手コインパーキングの拠点数とakippaの登録数比較では、2017年中には逆転できると思っている」(金谷氏)

 登録されている1万拠点のうち、95%は法人もしくは地主など個人事業主との契約。たとえば、レオパレス21では、日本全国に展開している賃貸マンションに付随している駐車場の空区画をakippaに掲載している。また、住友商事竹橋ビルでは、会社が休みの土曜日、日曜日に空いている駐車場を同じく出している。

 さらに、駐車場事業を営む大和ハウスパーキングでは、コインパーキングの数台分をakippaに掲載。コンビニ大手のセブン-イレブンのように、駐車場のない店舗用の駐車場を確保するなど、路上駐車撲滅に向けた物流業界との提携も増えている。金谷氏は、「駐車場に関する社会問題を解決できる手段となりえることもakippaの特長の1つ」と話す。

 「都心では、すでに営業できる駐車場が足りない。いかに多くの利用者が使いたいと思う駐車場を見つけるかが最大のポイントになる」

画像提供:akippa

 中でも、反響が大きかったのが丸亀製麺である。丸亀製麺では、駅から遠いロードサイドの路面店があり、ほとんどの顧客が車で来店するために、駐車場待ち行列ができるのだが、店内は2割程度の空席があるという課題を抱えていた。また、従業員も車で出社しなければならないために、従業員用の駐車場の確保も課題だった。

 そこで土日祝だけ、akippaで確保した丸亀製麺周辺の駐車場を予約することで、店舗の空席をなくし回転率を向上させ、従業員用の駐車場も確保した。金谷氏は、「これにより、1日あたり平均100名の顧客増を実現している。都心でなくても、アイデア次第でビジネスは拡大できる」と話している。

 コンビニや不動産など、「駐車場シェア」をキーワードに数多くの大手企業との連携を進めており、着実にシェアできるスペースの確保を進めているakippa。法人向け・消費者向けともに拡大を進める背景には、同社独自の展開がある。

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