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AI新表現、過激な自動運転、そして日本勢の存在感も増すSXSW 2017

1000以上の中から識者が選ぶSXSW本当にスゴいセッション

日本人の存在感がどんどん増しているサウス・バイ・サウスウエスト

 近年のSXSWを語るうえで、注目なのはセッションだけではない。壇上で西村氏がスクリーンに映したのは、「#sxsw ではSXSW Socialで参加者を検索できるんだけど、国別登録者数見てたら日本多すぎてヤバい。」というツイート。今回の登壇者のひとりである、500 Startups Japanの澤山陽平氏の投稿だ。

 SXSWの参加者は全員バッジを購入し、国籍や職業などを登録する。その情報がSNSである『SXSWSocial』で公開されているのだが、登録した国の人数を見たところ、なんと日本が上位にランクインしているというのだ。

 「もちろんアメリカが2万人以上と圧倒的に多いですが、イギリス、ブラジルと続いて、日本が5位に入っています。隣国のカナダよりも多いというのが驚きです。2012年の際は、日本からSXSWに100人で行こう、という活動をしている人がいましたが、その時でも100人は行っていない。それなのに今回は779人と、大きく増えたのに驚きます。町を歩いていて、日本人によく会う感じでした」と澤山氏。

澤山氏のツイート。日本からの参加者が世界で5位、779人となっている

 KDDI総合研究所の帆足啓一郎氏も「ちょっとレストランに入ると、あそこもそこも日本人というみたいな感じ」と同意見。数年前の状況から10倍以上に日本からの参加者が増えている理由は、ASCII STARTUPの北島幹雄が説明した。日本の大企業が参加する理由としては「オープンイノベーション」がキーワードになっていると言う。

 「スタートアップや新サービス・ビジネスへの注目度がより増していることを感じます。イノベーション、自社事業に反映できるような新しい刺激を求めて、大企業にしても資生堂など別分野からの出展、さらには北海道や神戸といった自治体レベルの参加など、多面的な動きが日本で生まれてきています。またメインの展示会であるトレードショーには2000くらいのブースがありますが、実際取材対象になるスタートアップ関連は1~2割くらいの印象。じつは地元の中小企業の展示やIT関連ではない展示も多い。そのため、逆にSXSWでのイノベーティブなお祭り感を意識した日本企業群はかなり目立って人だかりができており、世界へわかりやすく存在感を見せるショーケースの場としても、SXSWではその存在感を示しやすいという側面もあると感じました」(北島)

 たとえば、パナソニックの「Game Changer Catapult」に関しては6thストリートに場所を取り、チャレンジしているプロダクトをアピールしていた。2016年にスタートした「Game Changer Catapult」は、オープンイノベーションを実現するプロジェクトだ。(関連記事

 「通常、企業がオープンイノベーションとは言ってもなかなかメディアには様子が見えません。今回のパナソニックの試みでは、チャレンジの部分も含めてオープンにしている部分が画期的。ASCIIは社内プレゼンまで付いて行って見ましたが、そこまで開けている企業は少ないです」(北島)

パナソニックハウスで展示していた「Game Changer Catapult」のプロダクト

 注目の日本企業としては、ソニー・ミュージックエンタテインメントとVRコンテンツ制作スタートアップの「Hashilus」とアトラクションを出していた。ハードに寄らない形でのVRコンテンツの今後の可能性を見せていたという。また、東京大学の学生発プロジェクトもSXSWではおなじみだ。

 「東京大学のTodai To Texasから出展していたロボット義足のプロジェクト「BionicM(バイオニックエム)」はSXSWのイノベーションアワードを獲得しています」(北島)

 バイオニックエムのチームリーダーXiaojun Sun氏自身も義足の利用者であり、より使いやすい義足の開発を目指している。TwitterやAirbnbも取ったイノベーションアワードの学生部門だが、これは日本人初の快挙。授賞式ではスタンディングオベーションも起きたようだ。

「BionicM」のサイトに掲載されている受賞の様子

世界中のイノベーターが集まるお祭りであるSXSW

 松崎氏は、SXSWへの参加は2回目。行く前に海外の知り合いとSXSWの話をしたところ、「SXSWね、おまえがパーティー好きならいいんじゃない」と言われたそうだ。毎夜毎夜オースティンの町中のあちこちで、イベントが開催されているのだ。とは言え、公式情報にないイベントも多く、どこで何が起こっているのかまるでわからないそう。アメリカでは自分が何か面白い流れに参加できずにパーティーに取り残される不安や恐怖のことを「FOMO(fear of missing out)」と呼んでいるが、まさにそんな感覚があると言う。

 「今どこにいたら1番いいのか、自分たちの興味をベースに自分なりの行動プランを作らなければいけないというのがポイントであり、難しいところでもあります。私は友人に誘われて、飲み会をはしごしました。コリアンナイトや台湾ナイトとか。テクノロジー系で言うと、アメリカでは人気のシェアオフィスで行なわれたハードウェア系のイベントにも行きました。ハードウェアスタートアップの人たちが集って飲むという飲み会。自分たちの自慢の製品を紹介しながら、酒を飲むと。こうしたイベントの多くはスポンサーが付いていることも多く、お酒がタダなんです」(松崎氏)

オースティンのあちこちで夜な夜なさまざまなイベントが開催され、みんなが飲みまくった

 松崎氏によると、割と誰でも仲良くなれる雰囲気があると言う。セッションの前は行列に並ぶことになるが、前後の人たちとすぐに仲良くなってしまうそう。澤山氏も「隣の人に、おまえ何してるの?」と気軽に聞ける空気感があると口をそろえる。

 道を歩いていても、とんでもない人たちを見かけるようだ。例えば、頭にアンテナを刺して無線通信のセンサーにしている人。レントゲンを見ると、本当に頭蓋骨を貫通して脳内にまで挿しているとのこと。現地では有名な人のようだ。そのほか、バイオハッカーミートアップでは、注射器でRFIDを体内に入れるキットを見かけたという。

 「実際にその人はRFIDを体内に入れていて、Androidスマホで読み取って見せてくれました。そして、これ何に使うのって聞いたら、『さぁ?』って(笑)」(澤山氏)

 SXSWはほかの展示会と比べると、本当にイノベーター層が集まっている。アーリーアダプターもしくはさらに手前の、本当に新しいモノ好きの集まりなのだ。出店されているものを見て、まずAwesome! とかCool! と言い、どんな尖ったものでも基本的には楽しむ。そのうえでこうしたらいいんじゃないかとか、こういう見方もできるよね、と提案するそうだ。

 「もともと音楽とか映像とか、そういったところのイベントからスタートしているSXSWの生い立ちとも関わっていて、来ている人たちの種類が雑多で、クリエイターやメディア、テクノロジー関係からいろんなフィードバックをもらえるのが、1つの魅力なのかなと思います」(松崎氏)

 当然そこには、面白いスタートアップも出展している。注目企業を北島がピックアップして紹介した。

Lampix社のスマートサーフェス製品

 Lampix社は、スマートサーフェス製品を展示。机の上に光源からの映像を映し、机上で触れるとボタンとして動作できる。A4の紙を置くと画像認識で書類として扱ったりできる。

Sound Scouts社の難聴診断ゲーム

 またSound Scouts社は子供向けのゲームアプリを展示。実は、これは子供の難聴を診断するためのアプリなのだ。子供の難聴は診断が難しいとのことだが、このアプリなら学校や福祉機関で手軽にチェックできる。実際、この企業がアクセラレーターピッチでもHealth and Wearable Technology Awardとして優勝したそうだ。

Thimble社の電子工作機器

 さらにハードウェア系だとThimbleがユニーク。創業2年目のスタートアップで、電子工作機器を毎月1つ家庭に送るサービスだ。価格は1年契約なら月間59ドルとお手頃。自分たちで工房を持ち、オリジナルの基板を作っているという。

 SXSWのスタートアップ展示を中心に見た北島は、「数多い展示の中でも海外の面白いベンチャーにたくさん会えました。ただ、IEEEの脳波ウェアラブルに関する人気セッションに参加して思ったのですが、日本の脳波ベンチャーから聞いた話の方が正直面白かったところも。ひいき目かもしれませんが、結構、日本のスタートアップもイケてますよ、というのも言っておきたいです」と述べた。

 モデレーターの西村洋氏は「SXSWに行けば、新しい気付きや発見を絶対に1つは持って帰れます。来年もありますので、ぜひ行く人はここにいるメンバーとつながってください」と最後に締めた。

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