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顧客の感情を解析して経営改善を支援するクラウドサービス「Emotion Tech」

2017年03月31日 07時00分更新

従業員ロイヤルティーへの目線がポイント

 NPSの指標が指し示すのは、マーケティングでの一時的なメリットではない。たとえば企業側にとっての収益改善で言えば、無理のあるコストカットや顧客の信頼を失いかねない偽装、さらには従業員のサービス残業による利益などは、顧客・従業員ともにロイヤルティーを下げる「悪しき利益」と言われている。

 スコアの改善がもたらすのは、このような一過性ではない長期的な視点で優良顧客を育てることにつながり、長期的な利益につながってくる。現に、数値を取ったらそれで終わりではなく、継続的にスコアをとり続けることで、改善する新たな部分が見えてくるという。

 事業のピボットというと、消極的な意味にとらえられがちだが、もともと従業員ロイヤルティーへの目線を持ったサービスがNPSという指標を得たことで、Emotion Techの場合、うまく事業者側のメリットにつながった形だ。

 今西氏によれば、アンケート以外にもまだまだ顧客の機微の捉え方はあるという。データ収集という面では、音声や画像やセンサーなどのデータを用いた感情解析でのレベルアップも想定できるため、より高度な形での分析も今後は見込めるようだ。


 「今後は、もちろん顧客の感情解析に特化しながら、ソリューションを高めていくという方向を目指す。もう一つは、場合によっては、中小企業やベンチャー企業に対しての手頃な価格帯でのラインナップを拡充していくという方向性もあると思う」(今西氏)

 さらに、NPSが適用できるのはカスタマーサービスの範囲だけではない。近ごろ注目されている”働き方改革”のような流れにも乗る可能性もある。

 生産性向上という文脈で、従業員のロイヤルティーを上げることが、生産性を高めたり、離職率を下げたりする効果があるのはもちろん、いくらがんばっても顧客ロイヤルティー、ひいては収益向上や成長につながらない活動が明確になるためだ。従業員のロイヤルティーを計測するNPS、つまりENPS(Employee Net Promoter Score)を可視化すれば、どこに手を打てば気持ちよく働けるのかを見い出せるようになる。その場合、Emotion Techのプロダクトはそのまま利用できるので、いつかそのマーケットも狙うかもしれないと今西氏は語る。これは一周回って、wizpraのカテゴリーに戻ってきた感じだ。

 ユニクロの店舗マネジメント時に生まれた「すべての人々が生き生きと働ける世の中を作る」という思いは今も健在。これからも、Emotion Techは顧客や従業員のロイヤルティーを向上し、企業とともに全員がWin-Winとなる世界に向けて邁進していく。

●株式会社Emotion Tech
2013年3月8日に旧社名「wizpra」として設立。Customer Experience Management(CXM)に最適な、独自の統計解析技術をベースにしたクラウドシステム「Emotion Tech」を提供。※独自の統計解析技術とクラウドシステムは特許申請中
調達関連では2015年1月27日に、グリーベンチャーズ、モバイル・インターネットキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、みずほキャピタルを引受先とした2億3000万円の第三者割当増資を実施済み。
スタッフ数は2017年3月時点で30名。エンジニア、データサイエンティスト、マーケティングやセールス、カスタマーサクセス職を募集中。

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