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“紙”テックの進化が熱い AI、クラウド活用も:CeBIT 2017

2017年03月28日 07時30分更新

 ドイツ・ハノーバーで開催された“CeBIT 2017”は、社会全体の“デジタル化”をメインテーマに掲げています。そこで筆者の目を引いたのが、“紙”に関する最新テクノロジーです。

CeBIT 2017会場では意外にも“紙”のテクノロジーが熱かった

オフィス内での“製紙”を実現するPaperLab

 欧州でも“EPSON”ブランドで知られるセイコーエプソンは、ホール3に大型ブースを出展。同社が世界初の乾式オフィス製紙機とうたう『PaperLab A-8000』を大きく展示していました。

オフィス内での製紙が可能になる『PaperLab A-8000』

 製紙の原料になるのは、オフィス内で使用済みの一般的なコピー用紙。これをトレイにセットすると、紙を繊維レベルで粉々にすることで情報を完全消去。それを成形することで、新しい紙に生まれ変わらせる技術です。性能としては1時間にA4用紙720枚を生産可能とのこと。

 特に欧州では環境保護に高い関心があり、紙を作るのに大量の森林資源や水を消費し、CO2排出量も増えることが懸念されています。これに対してPaperLabは、オフィス内で紙を再利用できる上に、湿度を保つ程度の量の水しか使わない点に優位性があります。欧州では2018年秋に発売予定です。

トナーを消して紙を再利用する東芝の“エコMFP”

 製紙まではいかなくとも紙を再利用したい場合、東芝テックの“エコMFP”では、印刷済みの用紙から文字を消去する機能を備えています。

東芝が展示した“エコMFP”

 この機能は、“フリクション”ペンで知られるパイロットと共同開発した専用トナーにより印刷することで、フリクションと同じ原理で消せるとのこと。消したいときは用紙トレイに紙をセットして消去ボタンを押すだけ。これで同じ紙を5~10回程度、繰り返し使えるようになり、CO2排出量を大幅に削減できます。
 
 ただし、紙にはわずかに痕跡が残るため、情報が抹消されるわけではありません。そのため社内利用に限られるという点では注意が必要ですが、環境保護意識の高い欧州ではこちらも注目度が高そうです。

OKIデータは用紙の特徴をAIが分析

 沖電気工業のブースでは、人工知能(AI)が紙の種類を画像認識で識別するという、OKIデータが開発中の最新技術が出展されていました。

スキャナーとAIを組み合わせて紙の種類を識別

 ブースに設置されたプリンター『MICROLINE VINCI C941dn』は、通常は印刷所に頼むようなパッケージ印刷や白トナーによる印刷にも対応した140万円のハイエンドモデル。しかし印刷したい用紙の種類によっては、思いどおりに色が乗らないこともあります。

 そこで印刷したい用紙と専用の診断用シートを挟んでスキャナーにかけ、沖データのサーバーに画像をアップロードするとAIが用紙の特徴を分析。その用紙に最適化した印刷設定ファイルをプリンターにセットすることで、手作業での試行錯誤を不要にするという技術です。

 将来的にはスキャナーではなく、スマホのカメラで撮影するだけで識別できるような機能も開発中とのことでした。

複合機がクラウドと社内をつなぐWorkplace Hub

 コニカミノルタがCeBITに先行展示した新製品が『Workplace Hub』です。一見すると普通の複合機ですが、クラウドや社内システムと接続し、チームのコミュニケーション機能も統合するなど、仕事場におけるハブとしての役割を担う次世代の複合機といえます。その後、コニカミノルタはベルリンの発表会で大々的に披露しています。

CeBIT 2017のコニカミノルタブースに展示した『Workplace Hub』

 すでに大企業ではさまざまな形でクラウドの導入が進んでいますが、こうした動きに乗り遅れている中堅中小企業でも、Workplace Hubを導入すれば最新のワークスタイルへと一気にキャッチアップできる、とコニカミノルタは見ています。

 内部的にはUbuntu Linuxが動作するHPE(ヒューレット・パッカード・エンタープライズ)製のサーバーや、無停電電源装置(UPS)も内蔵。SDKも提供し、対応アプリを開発可能。それらのアプリをコニカミノルタが運営するマーケットプレイスから購入することで、機能を拡張できる仕組みです。

 これまでプリンターやコピー、スキャナーやFAXなど、オフィスの複合機は紙を扱う機能を統合してきました。Workplace Hubは、さらにクラウドと社内システムをつなぐことで、仕事場における情報のハブになることを狙っています。

■関連サイト
CeBIT 2017

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