3月14日に開催した事業戦略説明会で、JVCケンウッドは“ビクターブランドの復活”を宣言した。その様子を、時代を飾ったプロダクツの写真とともにお届けする(写真は後半の2ページ)。
日本ビクター蓄音器株式会社が米Victor Talking Machine Companyの日本法人として設立されたのは1927年(昭和2年)のこと。2017年9月はその設立から90周年を迎える。
会見の冒頭、JVCケンウッドの代表取締役社長兼最高経営責任者・辻孝夫氏は、3つのトピックスに触れた。第1に事業戦略“JK3.0”の進捗状況について、第2に記念すべき周年に向けた施策、最後に「従来の音楽の聴き方を一新するイノベーション」として、同日技術発表した新技術“EXOFIELD”だ。
日本ビクターとケンウッドは2008年に経営統合。その後、2011年8月に両社の持ち株会社JVC・ケンウッド・ホールディングスが株式会社JVCケンウッドに改称。さらに2011年10月には子会社の日本ビクター、ケンウッドなど3社を吸収合併し、事業会社として再スタートを切った。
昨年(2016年)はJVCケンウッドの発足から5周年の節目であると同時に、ケンウッドが創立70周年を迎えた年でもあった。
辻社長のいう“JK”は、JVCとKENWOODの頭文字をとったもの。JK1.0はそれぞれが個社として存在していた2011年までの時期。JK2.0は両社が合併した2011年から2016年までの5年間。そして新経営体制に入った2016年6月からは、JK3.0という新しいフェーズに位置付け、経営に取り組んでいる。
辻氏は「感動は満足の上に驚きがないと成立しない」と語り、「技術を核とした尖ったソリューションの提供」をJK3.0の主眼としている。その目玉の一つが“ビクターブランドの復活”だ。
テレビの父と呼ばれる高柳 健次郎氏の業績を紐解きつつ以下のように語る。
「ビクターが90年にわたり実現してきた、音と映像の革新。時代が変わっても、その歴史が止まることはない。革新の歴史に誇りを持ち、音と映像の世界において、多彩なアプローチで探求を続ける。ビクターは“時代をつくる”ブランドだ」(辻氏)
今後はコーポレートブランドとして“JVCKENWOOD”を引き続き利用。
さらに“JVC”や“KENWOOD”に続く、3つ目のプロダクトブランドとして“Victor”を展開していく。各ブランドのキャッチフレーズとして、JVCは「ひとの感覚を高めるイマジネーション」、ケンウッドは「限界を超越す鋭敏さ」、そしてビクターは「誇りと探究心」を掲げている。
アニバーサリーである2017年はこの各分野で「Wow!を具体化する記念モデル」を展開していくという。
JVCはもともと海外向け製品のみで使用されていたが、現在は国内向け、海外向けを問わず統一的に使用されている。一方で特に2008年以降、研究開発費の削減などで日本ビクターのDNAだった“探求心”のある取り組みが縮小していたとする。ビクターはその誇りと探求心を復活し、新たな革新にチャレンジ。“時代をつくる”ブランドを目指すという。
なお、5月11日に発表されるEXOFIELD搭載した製品の一部は“ビクターブランド”として展開する計画のようだ。EXOFIELD自体は商品だけにとどまらないソリューションサービスとして展開していくそうだが、ひとつの節目となる2017年9月を目安に、具体的な動きが出てくるのではないかと期待できる。
JK3.0では、6000件におよぶ特許を活用しながら、新たなイノベーションを創出していくという。参入後2年強が経過したドライブレコーダー市場では5000~6000円程度の製品が主流だった中、あえて約2万円の高級製品を投入し、6ヶ月で市場No.1の地位を得た。ほかにも欧州メーカーが興味を示している自動車向け“デジタルコックピッド”、マルチライフモニターイヤフォン、18ヵ月検診で自閉症を早期に発見できる、赤外線カメラを使った視線検出プラットフォーム、BDの技術を応用してガンの早期発見に役立つ、50-60nmと小さなエクソソームを発見する技術、空間音響デザインの「KooNe」などが事例として示された。
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