週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Xアイコン
  • RSSフィード

「2.4GHz」と「5GHz」をうまく使いこなそう!

コツさえ掴めば誰でも簡単! Wi-Fiルーターを設置しよう

2.4GHzと5GHzの違いをおさらいしよう!
高速Wi-Fiの鍵は11acの5GHz帯

Archer C9はミドルクラスの製品だが、IEEE 802.11acにも対応している

 Archer C9は、ティーピーリンクジャパンのWi-Fiルーターとしてはミドルクラスの製品だが、Wi-Fiの最新規格である「IEEE 802.11ac」の最高1300Mbpsと「IEEE 802.11n」の最高600Mbpsの通信速度に対応しており、スマホやPCでネットや動画を見たり、メールのやりとりをするには十分な性能を持っている。固定回線用のWi-Fiルーターはブック型のデザインが多いため、見た目はどれも似たように見えるかも知れないが、実は対応しているWi-Fiの規格によって大きな性能差がある。

 例えば同じティーピーリンクジャパンの製品でも3390円と安価な「TL-WR841N」では802.11nしか対応しておらず、しかも最高速度も300Mbpsと11acに対応するArcher C9とは4倍以上の速度差がある。しかもArcher C9が使用できるWi-Fiの周波数は11acの5GHzと、11nの2.4GHzの2種類があるが、「TL-WR841N」では、11nの2.4GHzの1種類しかない。

 Wi-Fiはこの「2.4GHz」と「5GHz」の2つの電波を利用することで、より快適で高速な環境を構築することができる。

「Archer C9」のWi-Fiの規格。最高1300Mbpsの通信速度が出せる11acと最高600Mbpsの11nに対応。最高速度は製品の仕様によっても異なる

 なお、古いWi-Fiルーターや回線業者からレンタルしているWi-Fiルーターでは、2.4GHzの11nやそれ以前の11gなどしか対応していないこともあり、11ac対応のWi-Fiルーターに買い替えることでWi-Fiの通信速度が向上したり、電波感度の悪い場所でもアンテナの本数が向上する場合がある。

 「2.4GHz」と「5GHz」は電波の周波数のことだ。11acでは、周波数5GHz前後の160MHz分の周波数を使用するため正確には「5GHz帯」、11nは2.4GHz前後の40Hz分の幅を利用するので同じく「2.4GHz帯」と呼ばれている。

 例えば、テレビやラジオでチャンネルが複数あり、同時に違う番組が見られるのは、チャンネル毎に周波数を変えているからだ。同じように「2.4GHz帯」と「5GHz帯」は使用している周波数が違うため、独立して別々に使用することができる。

 わざわざ2つも周波数を使用する必要がないようにも思える。しかしWi-Fiには「電波干渉」という特有の問題がある。同じ周波数を使用する機器が近距離に多数あると、お互いに干渉してWi-Fiの通信速度が低下してしまう。騒がしいファミレスの店内などを思い出して欲しい。「店内の客が一斉に喋っているので、自分が話したい目の前の相手の声が聞きにくい」という状況は誰しも経験があるのではないだろうか。

 これと全く同じ状況がWi-Fiでも発生する。一般的に「Wi-Fi」というと、2.4GHz帯を使用する機器が多いため、一戸建てでは両隣、さらにマンションでは上下の家もWi-Fiルーターを使っているという状況も今は珍しくない。Wi-Fiルーターを導入したものの、スマホの公衆回線の電波よりも通信速度が遅く感じるというケースがある。これは、近隣のWi-Fiルーターと2.4GHz帯の電波が干渉している可能性がある。

新宿の街中では無数のWi-Fiのアクセスポイントがある。これらの多くは2.4GHz帯のものだ。Wi-Fiを搭載した機器が当たり前になった現在、2.4GHz帯は干渉しやすい

 そこで、活用したいのが5GHz帯だ。上記の理由で2.4GHz帯は電波干渉が起こる場合があるので、5GHz帯を使う方がより高速で通信できるケースが多い。そのため、家庭内でWi-Fiルーターを使うなら5GHz帯を使う方がオススメだ。もちろん、Archer C9と同じような5GHz帯が使える11acの製品も多くなってきたため、隣近所が同じような製品を使っていて5GHz帯でも電波干渉が起こる可能性はある。

 しかし11acでは新たに電波干渉を防ぐために、5GHz帯のうち使用されていない部分を自動的に探して使用する技術を採用している。このため規格としても電波干渉が起こりにくい。しかも5GHz帯は2.4GHz帯に比べて電波が回折しにくいため、電波が周囲に行き渡りにくいという特性がある。このため、隣の家が5GHz帯のWi-Fiルーターを使っていてもある程度距離が離れていれば、電波干渉が2.4GHz帯に比べて起こりにくい。

 とはいえ、5GHz帯の使用にも弱点はある。1つ目は電波が回折しにくく遮蔽物の影響を受けやすいため、自分の家でもWi-Fiルーターがある部屋から遠い場所では2.4GHz帯に比べて電波が入りにくいという点だ。しかし、これに関しては電波を中継する製品も発売しているため、ある程度対策できる。

 2つ目は子機の対応だ。Wi-Fiは親機が最新の規格に対応していても受信する子機がその規格に対応していなければ使用することができない。そのため、5GHz帯に対応していないスマホやPCではそもそも使用することができない。また、5GHz帯に対応していても、802.11acに対応していない場合や、子機側のアンテナ本数が少ない場合もカタログスペックの1300Mbpsという速度は出せない。

 そのため、実際には「Wi-Fiルーターから近い5GHz帯が使える11ac対応のスマホやPCは5GHz帯で接続し、その他は2.4GHz帯で接続する」というのがベストな使い方だ。なお家族が同時にネットを使うことが多い家でも機器ごとに5GHzと2.4GHzを使い分けると、通信速度の低下を避けることができる。

まとめ
・Wi-Fiには「2.4GHz帯」と「5GHz帯」がある。一般的には2.4GHz帯を使用する機器が多いため、近所との電波干渉が起こりやすい
・5GHz帯を使用することで家庭内のWi-Fiをより高速化できる場合がある
・5GHz帯は電波が遠くまで届きにくく、対応機器でないと使えないため「Wi-Fiルーターから近い5GHz帯が使える11ac対応のスマホやPCは5GHz帯で接続し、その他は2.4GHz帯で接続する」というのがベストな使い方

無線LANルーターを購入して、快適ネットライフを堪能しよう!

 無線LANルーターは、設置したことがない人からしてみれば難しいと感じるかもしれない。しかし、最近の無線LANルーターはブラウザーや専用ソフト、アプリから簡単に設定して使えるものも多く、お手頃な価格帯で11ac対応の製品も多く登場している。これから新生活を始めるという人は、ぜひ無線LANルーターを購入し、2.4GHz帯と5GHz帯を使い分けて快適なネットライフを堪能してみてはいかがだろうか。

 なお、第3回ではWi-Fiのセキュリティーについて詳しく紹介する予定なので、そちらもチェックしてほしい。

低価格・無線LANルーターのオススメはこれだ!

TP-Link「Archer C9」

「Archer C9」

5GHz帯通信速度:1300Mbps
2.4GHz帯通信速度:600Mbps
アンテナ:3本、取り外し可能、デュアルバンドアンテナ
付加価値:「ゲストネットワーク」「ペアレンタルコントロール」「IPv6サポート」「カンタンセットアップ」「Tether APP」など

■関連サイト

エレコム「WRC-1167GHBK-S」

「WRC-1167GHBK-S」

5GHz帯通信速度:867Mbps
2.4GHz帯吸う新速度:300Mbps
アンテナ:内蔵アンテナ4本、2.4GHz帯送受信×2、5GHz帯送受信×2
付加価値:「かんたんセットアップ2」「こどもネットタイマー2」「マルチSSID機能」「とことん安心3大サポート」など

■関連サイト

ASUS「RT-AC1200HP」

「RT-AC1200HP」

5GHz帯通信速度:867Mbps
2.4GHz帯通信速度:300Mbps
アンテナ:内蔵アンテナ×2
付加価値:「Ai Radar」「ペアレンタルコントール」「ASUS Aicloud」「ゲストネットワーク」「ASUSWRT」など

■関連サイト

■関連サイト

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この特集の記事