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自腹購入に後悔なし! オンキヨーの超高音質スマホ「GRANBEAT」レビュー

2017年03月02日 12時00分更新

 2月24日に発売のオンキヨーのハイレゾSIMフリースマホ“GRANBEAT”こと「DP-CMX1」。実売価格は9万円前後で、ハイレゾスマホの域を超えた超高音質を狙った端末です。ASCII.jpに試作機のレビューも掲載されていますが、実はそんなスマホを発売前から待ち構え、発売日に購入したのがオーディオライターの筆者です。

量販店で購入した「DP-CMX1」。価格は税込9万1580円でした

 それなりにオーディオマニアの域にいる筆者がDP-CMX1に惹かれて購入した理由は、シンプルに語ると「iPhone 7のイヤホンジャックが廃止されたのが不便で困っている」「Androidのスマホが超高音質化してくれると便利」といったところ。前置きはほどほどにして、「DP-CMX1」の自腹レビューをお届けします。

スマホとしてのセットアップはサクっと省略。「Xperia Z1」からの買い増しです

 まず、外見から入ると「DP-CMX1」のサイズは5型ディスプレー搭載でサイズは72×11.9×142.3mm。厚みを除いては今どきのスマホとしては珍しくもない大きさですが、234gという重量は規格外です。

 個人的にはどう思うかというと、毎日使うスマホとしてこのサイズと重量は、ギリギリ許せるくらいです。やはり重いしサイズももう少し小さい方が好みではありますが、DP-CMX1はヘンに薄さを追求せず側面も緩やかなカーブを描いており、ホールド感はなかなか。直前まで使っていたソニーの「Xperia Z1」は薄くてもホールド感に不満があったので、持ちやすさとしてはDP-CMX1のほうが上です。

「大きすぎ」との評価も多いDP-CMX1ですが、Xperia Z1と大差はなし(厚さは除きますが……)

筆者の基準としては片手操作可能なサイズでした

DP-CMX1らしさを象徴するのがこのボリュームダイヤル。アナログです

 128GBの内蔵ストレージも、DP-CMX1のスマホとしての隠れた魅力です。携帯音楽プレーヤーとしてはハイレゾ音源保存用なのですが、昨今容量が増えているゲームアプリがどんどんストレージを圧迫するので、ストレージはあればあるほど助かるのが正直なところです。

 SIMカードはすでに契約していた「BIC SIM」(ドコモ系のIIJmio回線)をセットしたところ、すぐに使えるようになりました。ちなみに2枚目のSIM2スロットは3G通信になってしまうサブ的な位置付けなので、LTE対応SIMはSIM1スロットに挿しましょう。

プリインアプリに余計なものがあまりないのもうれしいポイント

SIMカードとmicroSDカードをセット。スロットの開閉にはピンが必要なタイプ

リケーブル、バランス接続と、本当にスマホなのか心配になる高音質設計

 さて、ここからが本番です。正確には使う前からですが、オーディオ目線でDP-CMX1を語ると、オンキヨーのハイレゾプレーヤー「DP-X1A」と類似点があることがわかります。

 ハイレゾ音源の再生対応フォーマットとしては、384kHz/32bit、DSD 11.2MHzまで。オーディオマニアとしてはそこまではカバーして当然のことです。発表会レポートにもありますが、再生回路にESS社の「ES9018C2M」×2基というDAC搭載をはじめとしたオーディオ設計、バランス出力対応といった設計への期待度の高さだけでなく、「DP-CMX1」の音楽再生アプリは「DP-X1A」の音楽プレーヤーとまったく同じなのです。マニアほどうなる本気度の証ですね。

DP-CMX1の高音質の象徴が、3.5mmジャックの隣にある2.5mmのバランス出力

DP-CMX1の音楽プレーヤーソフト

 まずはDP-CMX1の3.5mmジャック経由という基本の再生音質から確認していきましょう。リファレンスに利用したイヤフォンは筆者所有のSHURE「SE535」。ケーブルはSAECの「SHC-220FS」にリケーブル済み、イヤーピースも「コンプライ」に交換済みです。

SHUREの「SE535」をSAEC「SHC-220FS」にリケーブルしたイヤフォンで検証

 最新音源、映画「ラ・ラ・ランド」オリジナルサントラより「アナザー・デイ・オブ・サン」(48kHz/24bitハイレゾ音源)を聴くと……やはりDP-CMX1の高音質は本物です。ジャズピアノの音のリアルさ、ソリッドな音の瞬発力、ウッドベースの沈み込みは、単にメロディが聴けるというスマホ音質とは別物。音が鳴るだけでなく、個々の楽器のリアルな質感まで伝わってきます。J-POP音源としてRADWIMPSの「前前前世(movie ver.)」を聴いても、ダイレクトに耳に響く歌声、エレキギターの演奏が本来持っている情報が細部まで聴き分けられるさまに圧倒されます。

 直前まで使っていたXperiaもハイレゾ対応でしたが、実力の差はまさしく別次元です。オーディオライター的な視点だと、DP-CMX1は真顔で同価格帯のハイレゾプレーヤーと比べてしまいます。

 次はマニアックに「バランス接続」を試してみましょう。接続ケーブルをさらにSAECの2.5mmバランスケーブル「SHC-B220FS」にリケーブルして、同じバランスで音源を聴き込んでみます。

 「アナザー・デイ・オブ・サン」を聴くと、やはりバランス接続の効果はてきめんです。何よりも音のセパレーションの良さが圧倒的に向上し、冒頭のピアノをはじめ音の付帯音がクリアにカットされ、個々の楽器と歌声がより鮮明に浮かび上がります。「前前前世(movie ver.)」でもエレキギターの歯切れの良さ、音の分離が一層正確になり、音を分析的に聴けるようになります。

続いてSAECの2.5mmバランスケーブル「SHC-B220FS」にリケーブル

DP-CMX1側も2.5mmのジャックを利用します

バランスでRADWIMPSの「前前前世(movie ver.)」を試聴

 サウンドを語りだすとこれだけで済まないのがDP-CMX1の恐ろしさです。DP-X1Aと同じ再生アプリの機能として「デジタルフィルター」「ロックレンジアジャスト」、バランスでは「ACG」出力(アクティブコントロールGND=片側のアンプをGND制御だけに使うモード)といった再生回路の動作を変える音質カスタマイズも可能です。

 デジタルフィルターは標準の“SHARP”がもっとも音情報重視ですが、「ロックレンジアジャスト」はさらに“NARROW”側に触れば音の鮮明さ重視、「ACG」は音の分離感が上がる効果があります。

 元々ストイックに音の情報を出すサウンドのDP-CMX1ですが、すべての高音質化を有効にすると、Hi-Fi系よりもモニター系サウンドに近づいていきます。オーディオマニア的には、これがもう楽しくて仕方ないんです。

ひと目でDP-X1Aと同じだとわかってしまうマニアック過ぎるサウンド設定

もっともマニアックな設定が「ロックレンジアジャスト」

「ACG」の設定は通知メニューにあります

 自腹で購入した端末なのですでにメインの携帯音楽プレーヤー、そしてスマホとしても使っている「DP-CMX1」。約9万円という価格は最初は高いと思っていましたが、サウンドの素晴らしさで一瞬で不満点が吹き飛んでしまいます。Apt-X HD対応のワイヤレス周りなどまだまだ試してない機能もたくさんありますが、現時点でも大満足のスマホです!

「DP-CMX1」の主なスペック
ディスプレー 5型液晶(1080×1920ドット)
CPU Snapdragon 618
1.8GHz+1.4GHz(ヘキサコア)
メモリー 3GB
ストレージ 128GB
カメラ アウト:16メガ(F2.0)
イン:8メガ(F2.2)
SIMスロット nanoSIM×2
対応バンド LTE:1/3/8/19/26
3G:1/5/6/8/19、4バンドGSM
無線LAN IEEE 802.11ac
Bluetooth 4.1
DAC ESS「ES9018C2M」×2
+「SABRE 9601K」×2
音声出力 2.5mm4極バランスヘッドフォン
3.5mm4極アンバランスヘッドフォン
実用最大出力 75mW×2(アンバランス)、150mW×2(バランス)
S/N比 115dB以上
再生周波数帯域 20Hz~80kHz
ボリューム 61ステップ(0含む)
L/Rバランス調整
バッテリー 3000mAh
サイズ/重量 72×11.9×142.3mm/約234g

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