週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

目指すは医療者・利用者双方のためになる社会インフラ

「孤立する子育て救いたい」深夜に駆け込める小児科オンライン

2017年02月24日 07時00分更新

子育て環境の改善に貢献し、出生率上昇まで実現できれば

 実際に親になってみるとわかる話だが、インターネットで子育てに関する情報を検索すると、ほとんどの情報が最終的にはアフィリエイト収益につながっているか、またはヤフー知恵袋などの個人的な確証のない情報であふれかえった惨状となっている。子供に何かトラブルがあったときでも、ウェブを検索すれば安心な対応方法がわかるとはとても言い切れない。

 インターネットが信じ切れないなら、書籍に戻ればいいというわけでもない。かつての医師が、「お母さん達の助けになれば」と書籍を書いたのと同様に、小児科オンラインには、スマホでどうにかしたいという気持ちから賛同する医師の方も多いのだろう。

 また個人的にも、目下子育てをしている身としては、小児科オンラインはダイレクトに使いたいサービスだ。ITに親しんだ人間でなくても、平日18時以降に子供の体調トラブルに相談できる場所があるというのは本当に心強いはずだ。各種健保に早く導入されることを願いたい。

 この先の展開では、利用者からの問い合わせが複雑になってきたとき、チャットボットでの自動対応やIoT医療機器と連携した将来なども気になる。スマホと連携したブルートゥース対応の体温計もあるが、Baby×Techや小児医療×Techの部分でも連携できるような取り組みがメーカーのほうから生まれたら面白い。

マルハン健保利用者向けの小児科オンライン


 橋本氏は今後の小児科オンラインについて、「やはり医療は対面診察が大前提としてある。遠隔医療はあくまでその一部を代替するにすぎない。将来的にはリアルな小児科オンラインのクリニックを作り、遠隔医療と対面診察との連携も進めたいと考えている。夜間も遠隔で対応することで、より患者やその家族のライフスタイルに合った小児医療を提供できるのではないか。オンラインでの相談サービスもデータを精緻に蓄積することで、サービスの向上、効率化を計りたい。健保や自治体との契約を進め、産学官連携で、医療費を含めた社会インパクトを評価していきたい。」という。

 親の不安に寄り添うことによって、「最終的には、安心して子育てができる環境が整い、出生率の向上まで実現できれば」と大きな目標を橋本氏は掲げる。

 「現役の小児科医師が提供する」強みを生かして、サービス自体の増強、提携相手を増やしビジネスを拡大していくことを同社は目指す。

●株式会社Kids Public
2015年12月28日設立。インターネットを介した小児科医療を行う『小児科オンライン』を運営。法人契約を中心に事業を展開。契約健保、法人は随時募集中。
「Techcrunchスタートアップバトル2016」では最優秀賞受賞を獲得。
スタッフ数は2017年2月時点で5名。協力医師数は24名。当番医(小児科医)は随時募集中。

■関連サイト

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

この連載の記事