長崎県・ハウステンボスで17~19日にかけて、ドローンレース「ジャパン・ドローン・チャンピオンシップ in ハウステンボス」が開催された。日本初という夜間レースであるという点が特徴で、ハウステンボスが誇るイルミネーションを眼下に開催されたレースは、FPV、Non FPV、空撮コンテストの3種類が実施され、イルミネーションと相まって多くの来場客を楽しませていた。
同レースは、ハウステンボスと日本ドローンレース協会(JDRA)が主催するレースで、開催は今回で3回目。ハウステンボスは、敷地内に1300万球のイルミネーションを並べた「光の王国」イベントが開催されており、レース会場となった「パレスハウステンボス」内の西洋ふう庭園にもイルミネーションが輝き、その光の中をドローンが高速で駆け抜ける幻想的なレースとなっていた。
レースは専用ゴーグルを装着し、ドローンからの映像を観ながら操縦するFPV(一人称視点)部門と、肉眼で操縦するNon FPV部門、そして空撮コンテストの3部門が行なわれ、特に18日に開催されたFPV部門は、庭園内に設けられた障害物を避けながら、全長約600mのコースでスピードを競うというもの。全国で開催された予選で100人の中から勝ち抜いた上位選手、招待選手らが集まり速度を競っていた。
決勝戦では、世界選手権クラスという音田哲夫さん、岡聖章さん、矢田篤幹さんが順当に勝ち上がり、3回のレースを行って勝敗を決した。優勝したのは2回で1位を獲得した岡さん。
岡さんは「夜間レースの難しさに加え、コース自体も難しかった」とコメント。その中でもスピードと正確なコース取りで、夜のイルミネーションの中を駆け抜けるという難しいレースを制した。
今回のレースはニコニコ生放送での中継が実施されたほか、現場ではFPVの映像と上空からのドローンの映像を同時に表示するシステムを構築。来場者に貸し出されたiPadで視聴できた。選手が見ているのと同じ映像を観ながら観戦できるとあって、実際に見てみるとその迫力とスピードに驚く。iPadは、レースのゴールドスポンサーとなったKDDIが用意したものだという。
ハウステンボスとJDRAは2016年秋ごろからレースの企画を進め、「世界一のドローンレース」という目標を掲げて今回のレースを開催した。JDRA代表理事の小寺悠氏は「目標に向けた第1回目のテストレースという位置付けで今回のレースを開催した」とコメント。今後もハウステンボスでレースを続けて成長させていきたいという考えを示す。
KDDIは2016年12月に「スマートドローン構想」を発表し、プロドローン、ゼンリンらと共同でドローンビジネスを強化していく計画。それに加え、スポーツとしてのドローンにも着目して「ドローンをどういった見せ方ができるのか、通信技術がどう貢献できるのか」(KDDI商品・CS統括本部商品企画部長 松田浩路氏)という点でサポートを決めたとのこと。今回はiPadの提供だが、今後は5Gの低遅延、高速の特徴を生かしてドローンの映像を配信する仕組みを構築するといった方向性も考えているそうだ。
ハウステンボスの取締役でCTOの富田直美氏は、「ラジコンの神様」を自称してドローンも早くから注目していたこともあって、今回のレースの実行委員長として尽力。私有地内であるハウステンボスは「電波などの一部を除いて法規制を受けない」(富田氏)ことから、さまざまなトライアルをしていきたい考えで、そうした点で今回のドローンレースが実現した。
富田氏は、ドローンが前後左右に加えて上下という「3Dで制御できる」点で重要な技術だと指摘。「ドローンの制御から派生した技術が今後あらゆるものに使われるようになる」と期待を示す。
なお、ハウステンボスでは今後ドローンを使った映像撮影サービスも提供予定。アプリでドローンを呼ぶと、映像を撮影してくれるというサービスで、安全性や料金も含めて今後検討していくという
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