The Real Royal Albert Hall 1966 Concert (Live)
Bob Dylan

ノーベル賞でも話題になったボブ・ディランの伝説のライブ。別のライブも収録した36枚組のCDボックスの中からのハイレゾ展開だ。ロイヤル・アルバートホールという巨大会場だが、意外なほど音は明瞭だ。広く会場に行きっる響きも収録されているが、それ以上に直接音が鮮明に捉えらている。アコースティックギターらしい、つま弾きのコード音、ハーープの細身の鋭さ、ヴォーカルのしゃがれた味わいが、本ライブの醍醐味だ。ヴォーカルは音場センターに大きく睥睨する。「ライク・ア・ローリングストーン」は、バンドを従えた8ビートのロック。ヴォーカルは一員のようにバンドに溶け込んでいる。音も塊的で、細かく解像はしていない。
FLAC:96kHz/24bit
Columbia/Legacy、e-onkyo music
Songs On Film: The Sequel
Joe Stilgoe

LINN RECORDSはクラシック中心のレーベルだが、ジャズボーカルでも傑作アルバムをリリースしている。その一例が本作品だ。イギリスのピアニスト&シンガーソングライター、ジョー・スティルゴーの映画音楽アルバム第2弾。 ヴォーカルの剛性感とテンションがひじょうに高く、テンポ感が快適だ。音質も格段に高水準。切れ込みが鋭いビロードボイスは耳の快感だ。バックの男性コーラスも、はちきれんばかりの勢い感だ。すべての楽器の過渡特性が優秀。ピアノは弾み、アコースティックベースは偉容にして、切れ味がシャープ、ドラムスはブラシもスネアも、実にリアル。歌の感動性と音質の素晴らしさで、本アルバムの魅力は、まさにワン・アンド・オンリー。
FLAC:96kHz/24bit
Linn Records、e-onkyo music

エルトン・ジョン、ビリー・ジョエル、ビートルズ……など有名曲のカヴァー集だ。一曲目のHome At Last (Down By The Salley Gardens) 。イギリス民謡を何の虚飾もなく、素直に曲の世界観に沿って、ジェントルに感情豊かに唱している。透き通った、興趣豊かなヴォーカルが心地良い。バックもピアノ、ギターとシンプルで音も生成りの表情だ。最新録音だけあり、ひじょうにクリヤーで、伸びとヌケが良い。細かなニュアンスまで微視的に再現されるので、楽曲解釈が明確に伝えられる。
シャンティの歌の特徴は、クレッシェンドするときの音の伸ばし方にある。音が野太いまま、そのまま力感が増すのが彼女の特質だが、1オクターブ飛躍するOver The Rainbow )「虹の彼方に」は特に深い思いが込められている。子守歌で聴いた夢の国への憧憬に共感する歌声だ。
WAV:96kHz/24bit、FLAC:96kHz/24bit
日本コロムビア、e-onkyo music

懐かしいアルバムだ。1975年11月、中野サンプラザで行われたグレープのラスト・ライヴ。かつてレコードで買ってよく聴いたなあと思い出にふける。交響楽(シンフォニー) 、朝刊、ほおずき、縁切寺、笑顔同封、追伸、フレディもしくは三教街-ロシア租界にて……と私の大好きなグレープ時代の名曲満載。特に「朝刊」は津田塾大学のコード進行講義で、C Dm G7のツーファイブ進行、C A7 Dmのセカンダリー・ドミナント進行の模範として、教材に使っている。
それほどハイファイで、解像度が高いわけではないが、いかにもアナログ的な優しく、上質で、深みのある音だ。本ハイレゾで効くと、さだの歌質は、すべらかで美しいことが改めて分かる。ヴィブラートが効いた中域、やや細いがクリヤーに伸びた高域の魅力が、本ファイルでは丁寧に収録されている。弦・管、そして打楽器のフルオーケストラの音も、しなやかで良い質感を聴かせる。名曲、名録音である。
FLAC:96kHz/24bit
ワーナーミュージック・ジャパン、e-onkyo music
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