生理学的にいえば、味覚とは、味覚受容体細胞にとって適刺激(感覚器がそれぞれ特異的に感知する刺激)である苦味、酸味、甘味、塩味、旨味の5種を指すそうです。すなわち辛味は当てはまらず、舌・口腔で感じる痛覚がその正体だといいます。
「旨辛(うまから)」などといいますが、旨味があり、なおかつ口の中をガンガン攻めるものが、旨辛である……ということになるわけです。
今日は寿がきや食品の「麺処井の庄監修 辛辛魚らーめん」を食べます。価格は275円。
以前から激辛好きの間では有名な、東京は石神井の人気店「麺処 井の庄」監修カップめんです。濃厚で辛口なとんこつ醤油のスープに、「特製辛魚粉」を後入れで加えて食べる個性的な一杯。今回は、めんを食べごたえのある全粒粉配合めんに改良したといいます。
最初に言っておきますが、辛いです。もう一口目から辛い。ちゃんと激辛です。そのあたりはさすがだなと。豚骨のまろやかさもありますが、めんをすすり、スープを飲むごとに、一気に刺激がたまっていく感じです。「旨辛」というより、「旨……あっ辛! 辛っ!」という感じです。伝わりにくいかもしれませんが。
めんが全粒粉配合になったことで、今までのものよりもスープに絡むような印象があります。不思議なことに、ノンフライめんでありながら、東洋水産の「赤いきつね」、日清食品の「どん兵衛」のような、カップうどんの食感に近いかなと感じました。とび抜けて太くはないと思うのですが、やはり歯ごたえがあります。
めんに激辛スープがしっかりなじんでいるので、辛さに強い人でないと、めんをすするだけでもスープが喉を直撃して「ごほっ」とむせる場合があります。普通にすすり切ることさえ、困難だとは。まさしく激辛というわけですね。
記事の冒頭で紹介した話に戻りますと、辛味が味覚とは別の感覚だとするなら、「おいしくて、辛い」と感じさせるには、いたずらに辛いだけではだめ。そこに旨味などがなくてはいけない。そういうことになりましょうか。
辛辛魚は、とんこつと魚介(いわゆるダブルスープ)でしっかり旨味に配慮している点で、ただ辛いだけのつまらない味を避けようとしている。「辛い! 痛い!」のみにせず、めんを食べるだけでもスープの味がしっかりわかる……というコンセプトが見えます。
めんを改良して食べごたえを高めようとしたことについても、辛さ以上の価値観を持たせようとしている点で、評価できるポイントといえますね。
きちんと激辛、きちんと旨味。辛党をうならせる刺激を保ちつつ、よりカップめんとしてのクオリティーを追求した味で、よくできている一杯です。強いてこれ以上を求めるならば、よりスープにコクを増してくれれば、さらに完成度が高まるのではないでしょうか。
ただ、本当に辛いです。苦手な人はくれぐれも気をつけて。
コジマ
1986年生まれ。担当分野は「なるべく広く」のオールドルーキー。ショートコラム「MCコジマのカルチャー編集後記」ASCII倶楽部で好評連載中!
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