1月5~8日まで開催された「CES 2017」。そのすぐ翌月にはバルセロナでの「Mobile World Congress 2017」が控えていることもあり、CESにおけるモバイル製品の展示は控えめだった。だが2017年、大きく注目を浴びたのが米国市場への本格展開を狙うファーウェイだ。
ミドルレンジの新honor発表
基調講演にはリチャード・ユー氏がCESの基調講演に登場!
CES 2017の開幕2日前、最初のイベントになったのがオンライン販売を中心にしたブランド「honor」の発表会だ。ここでは新機種「honor 6X」が登場。発表会にはファーウェイの名前もロゴも一切出てこなかったのが印象的だ。
honor 6Xは250~300ドルのミドルレンジモデルだが、ハイエンド譲りのデュアルカメラと「ワイドアパーチャ」機能を搭載。5GHzのWi-Fiがないなど割り切った点はあるが、メモリーはしっかり3GBまたは4GBを搭載し、あれもこれもやりたい若者向けの端末になっている。
次に、CESの基調講演にはグローバルの端末発表会でおなじみのリチャード・ユー氏が登壇。「AIとセンサーを組み合わせたインテリジェントな世界が到来する」という、基調講演にふさわしい話題はあったものの、後半は米国向けのMate 9発表会。全体を通してファーウェイを米国に向けて強くアピールする講演になった。
勢いに乗るファーウェイだが、米国市場は「アウェー」
グーグル、Amazonとの関係の深さをアピール
ファーウェイのスマホ出荷台数は右肩上がりに伸びており、2016年は1億3900万台を突破。日本では「HUAWEI P9」が2016年を代表するスマホとして人気を集め、12月には「HUAWEI Mate 9」を発売するなど、ノリにノっている(関連記事)。
最近のファーウェイは、ハイエンドの比率を高めることで収益を伸ばしているのが特徴だ。そして米国は、サムスン電子とアップルがシェア争いを続けており、ハイエンド端末がよく売れる市場でもある。そこで今回、Mate 9を初めてのハイエンド端末として米国に投入した。
では米国でMate 9が成功するかというと、なかなか難しそうだ。米国のスマホ市場は日本と同じく大手キャリアの存在感が大きい。SIMフリーもあるが、安価なプリペイド端末が中心だ。かつては米議会から通信機器について安全保障上の懸念を出されたこともあり、なにかと「アウェー」な市場といえる。
ユー氏は米国ではあまりなじみがない「デュアルSIM」の活用法を丁寧に説明するなど、米国の事情をよく踏まえたプレゼンになっていた。またグーグル、アマゾンという二大企業がステージに登壇したことも、ファーウェイが信頼できる企業であるという印象を与えるものになった。このあたりはファーウェイの巧みなところだ。
米国のAndroid市場で高いシェアを持つサムスン電子は、「Galaxy Note7」の問題でややブレーキがかかった状態だ。このまたとないチャンスに、米国市場に本格参入しておきたいというのがファーウェイの狙いだろう。
ファーウェイブースは「一等地」に進出
ファーウェイは例年通り、CES 2017にブースも出展した。だが、昨年までのサウスホールではなく、2017年は「セントラルホール」に移転したことに注目したい。
CESのサウスホールは、モバイルに特化した企業が目立つ。一方セントラルは、日本のソニーやパナソニック、韓国のサムスン電子やLGエレクトロニクスなど、AV機器や白物家電分野における大手ブランドが並ぶ「一等地」になっている。
そして今回、ファーウェイはソニーブースの真横に出展。米国で発売するMate 9や、海外市場に展開する派生モデル、日本でも発売中の「MateBook」や「MediaPad」などの製品群を展示した。
基調講演やブースへの集客を見ている限りでは、人が押し寄せているという状況ではなく、まだまだこれから、という感じはある。だが、ファーウェイが米国市場の攻略にかける意気込みには並々ならぬものがありそうだ。
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