週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

担当者に新ライン「N_W」から「SOLIDEGE(ソリデージ)」の狙いをきく

ファッションを「入り口」に、JVCヘッドフォン新ラインに込めた想い

2017年01月19日 18時30分更新

N_W スペシャルサイトより

広告もひと味違う

−−広告も、一般的なヘッドフォンの感じとはすこし違いますよね。

早川「そうなんです。モデルさんを前面に出して、一見するとヘッドフォンの広告ということがわからないくらい(笑)。社内ではやはりいろいろな意見があったのですが、今回はこれでいこうということで。目にしたときにオシャレなイメージや、洗練されたイメージが伝わるような広告にしています」

−−この感じだと、「かっこいい! 何の広告だろう?」となる気がしますね。一見、ファッション誌の表紙っぽいです。写真の質感とか。

魚谷「企画を練る段階で、主なターゲットになりそうな年齢で、ファッション的な感度が高い人たちの愛用するブランドですとか、セレクトショップ、生活スタイルなども調査していて。そういったファッションにうまく馴染んだり、プラスでかっこよさを出せるようなものを目指しました」

こちらは公式のイメージカット

公式のイメージカット。ライフスタイルの中のヘッドフォンというコンセプトを強調する

音はしっかりJVCサウンド

−−正直なところ、デザインに重点を置いているのかな? と思ったんですが、聴いてみると、音作りもしっかりしていますよね。

魚谷「ありがとうございます。やはりそこには、はじめから自信があって。とにかく聴いてもらうきっかけ作りとして、こういうアプローチになったといいますか」

−−フラットな音質ではないですけど、ちゃんとソースの音が活かされるような音になっていて。デザイン重視のヘッドフォンだと、音もキャッチーにするためにドンシャリ型になっているケースもけっこうありますよね。

ハード的な特徴はチタン振動板を搭載していること。硬質ですっきりした音だが、細かな表現に秀でる

魚谷「そうなんです。JVCは基本的には原音を活かす音作りを大事にしていて。でも、フラットにしちゃうと味気なく聞こえる場合もあるので、ハイレゾ音源などのソースが、鮮明ないい音質で聴けるチューニングにしています。ハイレゾ対応としていますが、ハイレゾでない音源を聴いた際にも、低価格帯のヘッドフォンとは違って感じられるはずです」

早川「これまで音に対する姿勢は硬派にやってきたブランドなので、今回の製品にもJVCのDNAは生きていると言えますね」

多くの意見入れなかった

−−思い切ったコンセプトを採用するにあたって、何か障害となったことはありませんでしたか?

早川「あまり詳しくはお話できませんが、今回はなるべく、多くの意見を入れないようにして進めたと言いますか……。

 発案から製品化するまでには、『もっとこうした方がいい』『こうしないとダメだ』と意見されることも多いのですが、今回は、『いや、これでいいんです』と一貫して魚谷がデザインコンセプトを崩さなかったんです。いろいろな意見を取り入れた結果、最初に思い描いたものから段々変わってきてしまうことって、ありますからね」

−−わかります。

ケーブルは絡みにくいように溝が入っている

早川「なので、最初に想定したものを素直に作れたと思いますよ」

−−この製品の撮影で知り合いのカメラマンさんに、「これかっこいいですよね!」と見せてみたんですけど、「かっこいいんだけど、俺ならケーブルは布巻きにする」と言っていました。そういうことですか?

早川・魚谷「(笑)」

魚谷「たとえばケーブルが布巻きだと、今回のアーバンな印象からは外れてしまいますよね。そういったいろいろな意見を受けても『今回はこれでいきます!』と進めたイメージです」

早川「なにを言われても、魚谷が『このモデルはこれでいいんです』とぶれなかったので、いい製品につながったなと思いますね」

魚谷「パッケージデザインもコンセプトに合わせて検討しました。裏面の記載内容もこれまでと大きく変えています」

−−というのは?

パッケージ背面も、従来より専門的「でない」ワードでの説明が目立つ。キャッチーなアイコンを採用し、オーディオの知識がなくても音の傾向がつかめる工夫を入れた

早川「従来、弊社では『技術』にフォーカスしたパッケージ背面が多かったんですね。何ミリのドライバーを使っていて、どういう技術が採用されていて……。でも、これだとターゲットの皆さんに伝わらない! と思ったんですよ」

魚谷「ヘッドフォンに詳しい方だと、ご自身でいろいろ調べられるので、大体、説明を読めば、どういう音か想像がつくと思うんです。あとは、レビューを見たりですとか」

早川「今回は、パッと見で『どんな音楽に向く』『ハイレゾに対応!』というのが伝わるように、アイコンを採用しています」

−−ああ、ここ気になりました。そうか、ロックは「ギター」で、アニメは「目」のアイコンなんだなって。

早川・魚谷「(笑)」

早川「『アニメはどうする? 本当に目でいいのかな?』というやりとりはありましたね(笑)」

−−技術的な苦労はありませんでしたか?

魚谷「ヘッドバンドとハウジングをつなぐところにケーブルが出ていないデザインにしたかったので、あえて両出しのケーブルにしたりですとか。アルミや樹脂など、素材ごとの質感の違いをうまく出したくて、さまざまな色の試作品を作ってみたりですとか……」

ブルーは鮮やかだが落ち着いて色味

ちょっと変わったグレー

−−特にブルーは珍しいですよね。

魚谷「ブルーはもうすこし紫がかった色味など、いろいろとサンプルを作って試しましたね。グレーはJVCとしては新しいカラーです。どちらもユーザーのトレンドを調査して採用しました。グレーは社内でも人気のあるカラーです」

−−確かにグレーは珍しいかも。

早川「どのカラーがお好きですか?」

−−うーん。やっぱりブラックかな。

早川「ブラックも、素材ごとに色味や質感を整えて、トータルで見たときにまとまりのあるカラーリングにしているので、ちょっと面白いですよね」

−−あとは、グリーンとかカーキ系のモデルがあってもよさそう。ほかのカラーは候補としてありましたか?

魚谷「……レッドがありましたね。レッドも色味としてはよかったのですが、SOLIDAGEというラインのイメージ上、今回は寒色系でまとめよう、ということになったので、最終的には見送られたカラーです」

−−寒色系にまとめようとした意図は?

早川「N_Wシリーズの中でも、『WOOD FW7(HA-FW7)』は、どちらかというと、ゆったりした時間に楽しんでもらうことをイメージしているんです。オフタイムに、外出先でくつろぎながら音楽を鑑賞するイメージですね。SOILIDEGEの場合、どちらかというと通勤時間など、ラフに、スタイリッシュに音楽を楽しむシーンを想定しているというか。通勤中にカバンからサッと出して、聴いて、やる気を高めたりですとか。

 それもあって、寒色系の方がイメージに合うと考えました。音作りも、WOOD FW7は温かみのある音ですが、SOLIDEGEは、比較的パキっとした硬質な音になっています。これは同じラインのイヤフォン「SOLIDEGE FD7(HA-FD7)」も同様で、ライン全体での統一感を考えています。基本的にやはりJVCは原音を大事にした音作りなのですが、その中でも、ボーカルが鮮明に聞こえたりですとか、ドラムのビートが伝わりやすい音作りにしていますね」

同じラインのSOLIDEGE FD7(HA-FD7)。サウンドだけでなく、スピン加工や金属の質感を活かしたデザインにすることで、ライン全体を通しての統一感を出している

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります