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「なんとなく」の感性を見える化するカラフルボード

AIで好みがわかる 非ビッグデータのアプローチで事業化狙うSENSY

2016年12月02日 09時30分更新

「なんとなく……」を点数化する人工知能の可能性

SENSYでは個人の嗜好を数値化しAIが提案してくれる

 SENSYの特徴は、感性=なんとなく、を点数化する部分と、各産業を横断したSENSYプラットホームでの展開にある。

 ただ、「感性プラットホーム」と聞いても実際わかりにくい。渡辺氏によれば、人が頭のなかでどういう風に情報を整理しているか、たとえばファッションについてもどういう軸で見ているか、それは「柄」なのか「シンプルさ」なのか、「ディテールへのこだわり」なのか、各観点でのくくり方を分析して、それをより細かく個人の嗜好にパーソナライズさせることにあるという。

 われわれがなんとなく感じる、共通する画像的な特徴や言葉の組み合わせについて、それを機械が解析していくことでとらえ方が変わってくる。画像解析から抽出した特徴を言語化し、さらに個人の好き嫌い判断を加味して点数化していくことは、そのままEコマースにおける商品コンバージョンの度合いにまで直結する可能性がある。

 定義があいまいなものを一つ一つの人工知能に覚えさせて、個人に最適化させるサービスというのはいかにも日本的だ。現時点で、複数進んでいる実証実験の結果がどのように出てくるか、少ないデータ入力からのAIのうまい回し方がはたしてどのように実現されるのかが気になる。

 ファッションからサービスが始まったのも、AIを介した個人のマッチング度合いが1割から一気に5割まで上昇した結果があったからだという。この場合は、100枚の画像から抽出したデータでの結果だったらしいが、100枚で40%の上昇を多くみるか少なくみるかというところがキモだ。

 ちなみに、話を聞いたなかで個人的に面白かった点として、流行とともに移り変わっていくファッションについて、あえて人工知能に昔のことを忘れさせる仕組みを導入しているという。入力ではなく、時間経過でデータがなくなっていく仕組み自体も価値になるというのは興味深い。


 すでにファッション以外にも食、音楽、出版などでの実証実験もスタートしているカラフル・ボード。「プロダクトマップをひとつ、ひとつ埋めていくことで、利用する企業にはより深く、広く活用していただく。当社としては、提供したものをさらに横展開していく」(渡辺氏)

 今後、IoTをはじめ企業が保有できるデータはますます増えていく。自社が保有するデータをもとに、在庫改善といった課題解決に取り組む企業とは、業種を問わず手を組み、ビジネスを拡大していく方針だ。

●カラフル・ボード株式会社
2011年11月設立。AI(人工知能)を活用した様々なサービスやソリューションを開発し、提携企業各社と展開している。
2015年4月、ACA株式会社が運営する「アジアグロース2号投資事業有限責任組合」や国内事業法人などを引受先とする第三者割当増資により、1.4億円を調達。さらに慶應イノベーション・イニシアティブ等からの追加資金調達も含め、現状の調達総額は約3億円。
スタッフ数は2016年12月時点で15名。AI研究者、エンジニアを中心に随時、メンバー募集中。

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