週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

2370万円のスーパーカー「ホンダ NSX」の凄さは渋滞でもビンビンに感じられる!

2016年11月23日 15時00分更新

フロントは左右独立EV、リアはV6ハイブリッド
唯一無二のメカニズムがスーパーハンドリングを生み出す

 ホンダから2016年夏に2代目NSXが登場したことはご存知だろうか。かつてオールアルミボディの軽量スーパースポーツとして一時代を築いたNSXが復活したことは多くのメディアでも報じられた。そのメーカー希望小売価格は2370万円(車両本体・消費税込み)と国産メーカーの中では突出したもので、発表会の席において本田技研工業の八郷社長さえも「自分では買えない」と冗談めかして言ったほど。その庶民には縁遠いホンダ製スーパースポーツを試乗する機会に恵まれたので、さっそくレポートしたい。

 アメリカ・オハイオに新設された専用工場において一日8台のペースで作られるというNSX、つまりホンダのクルマではあるが輸入車となる。モノグレードで、様々なオプションによって好みに合わせるといった設定だ。

 試乗した個体は、カーボンファイバーエンジンカバー(40万円)、カーボンファイバーインテリアスポーツパッケージ(36万円)、カーボンセラミックローター ブラックキャリパー(113万4000円)、電動4WAYパワーシートセミアニリンレザーアルカンターラ(32万4000円)、そして特別有料色のバレンシアレッド・パール(67万円)といったオプションを装備していた。合計、車両価格は2658万8000円(税込)!

 さらに試乗前には「フロントオーバーハング(タイヤより前のバンパー部分)が長く、段差で擦りやすいので気をつけてください」と注意される。2658万8000円のクルマだから、ちょっと擦っただけでも物凄い修理代になるのだろうな……と緊張しつつシートに収まることになった。

ボディーサイズは全長4490×全幅1940×全高1215mm、車両重量1780kg。幅は広いが、意外に取り回しはしやすい。重量についてもハイブリッドスポーツとしては十分に軽量といえるだろう

 あらためてNSXのプロフィールを説明すると、定員は2名で、ボディーはアルミを中心にカーボンや高張力鋼板、軽量樹脂などを適材適所に使ったもの。エンジンは専用設計された3.5リッターV型6気筒ツインターボをミッドシップ(運転席の後ろ)に積んでいる。エンジンの出力は、これまた専用開発された9速DCT(デュアルクラッチトランスミッション、MTよりも素早くシフトチェンジができる)を介してリアタイヤを駆動する。エンジンとトランスミッションの間には薄型モーターが組み込まれており、これはターボエンジン特有のラグ(遅延)を解消するなどに活用されるハイブリッドパワーユニットだ。

 フロントタイヤは左右独立したモーターで駆動、こちらはハイパワーのためというよりも、左右の駆動トルク移動などによってハンドリング性能を高めるためのメカニズムとなっている。そのシステム全体の最高出力は427kW(581PS)、世界のスーパースポーツの中では突出したパワーを持っているわけではないが、前述したようにフロントタイヤで曲がる性能を高めていることが新型NSX最大の特徴となっている。

リアウィンドウ越しにも確認できる3.5L V6ツインターボエンジン。ごく一部しか見えないようにカバーされている演出はスーパースポーツらしい部分。エンジン単体でも507馬力を発生する

 とはいえ、スペック上の最高速は308km/h、車両設定でスピードリミッターをカットすることもできるので、許された状況と腕に自信があれば、その速度まで味わうことは可能だ。今回は静岡県御殿場で箱根エリアを中心とした試乗だったので、その領域には遠く及ばない速度域でしか味わうことはできなったが……。

 公道に繰り出した第一印象は、実に乗りやすいというものだった。2500万円を超える価格、全長4490mm×全幅1940mm×全高1215mmというボディーサイズから緊張感あふれるドライブになるかと思いきや、動き出した瞬間から体との一体感を強く感じたのには驚かされた。フロントタイヤの接地感や位置が、まるで両手の先につながっているようにリニアに感じられたのだ。おそらく動き出しはフロントタイヤをモーター駆動するだけのEV状態となっていて、エンジンが止まっているのも、こうしたフレンドリーさにつながっているのだろう。ミッドシップで多気筒エンジンが唸りをあげていると緊張してしまうものだが、NSXについては本当に静かに走り出すことができる。

試乗車にはメーカーオプションのカーボンセラミックローターが装備されていた。ブレーキはバイワイヤ(機械的につながっていない)のでペダルフィールを判断するのは難しいが、低速からキュッと効くタイプではなく、踏み込んでコントロールするキャラだ

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります