Facebookのバックアップ機能はユーザーの声から生まれた
――今回Facebookのバックアップ機能を備えましたが、それはユーザーからの声を反映したものとのこと。今後もユーザーの声をもとに新機能を入れていくのでしょうか?
ガイダー すべてのサービス、すべてのデバイス、すべてのデータを保護することがわれわれのビジョンです。自分自身、昨年はお客さんとお話する時間に300時間を割いていましたが、いろいろなアイデアやリクエストがありました。なかでも特に声が強かったのが、Facebookをサポートしてほしいということでした。
その理由として、例えば写真をFacebookにアップしてポートフォリオとして利用していたり、多くの企業はWebサイトの代わりにFacebookのページだけ利用していたりします。そのため、Facebookのバックアップを取れるように注力しています。
――Facebookのバックアップ機能で、いまできることと将来の予定は?
ガイダー 現状はFacebookにログインしたときに、プロファイルデータを引っ張ってくることができます。昔の投稿や写真、プロフィール、連絡先、自分がいいねした投稿などです。ただ1つ制約があります。一緒にダウンロードするとき、コメントやタグ付けされている人たち、いいねをした人の数はわかりますが、誰がしたかはわかりません。すべての情報をダウンロードできるようにしたいですが、優先度は低いです。お客さまがいちばん気にしているのは、写真とコメントの内容です。いいねの数や誰がしたのかということはあまり気にしていないからです。
冷蔵庫のバックアップを取りたい…!? という人も
――顧客の中にはスマート冷蔵庫やスマートハウスなどもバックアップを取りたいそうですが、何の情報をバックアップしておきたいのでしょう?
ガイダー 設定です。例えば、3階建ての家に住んでいる人は、それぞれの部屋ごとにエアコンの温度設定が違っています。タイマー設定もあるでしょう。でも電源が落ちてしまったらその設定は全て消えてしまいます。その部分をバックアップしたいのです。現状は何ができるのか調査段階で実現までにはまだ時間がかかるでしょう。
――IoTによりさまざまな製品がネットと接続するようになってきましたが、バックアップするための共通の仕様はないのでしょうか?
ガイダー まだないですね。複数の規格団体が取り組んでいる状況です。いまは各企業が独自仕様でデバイスを製作していますが、いつかは共通規格が出てきて、一元的に情報を集約し、復元できるようになるかもしれません。
――日本からのフィードバックもきちんと反映されるのでしょうか?
ガイダー 私がビジネス全体を統括していて、プロダクトマネージメントチームと開発マネージメントのチームと一緒に座りながら、「これがお客さまからリクエストが来た課題です」ということを話し合っていきます。その上でリストを作成し、プライオリティを付けた上で、製品に実装していく事になっています。日本のフィードバックはとても重要です。それは主要なマーケットがアメリカとドイツ、日本だからです。
――日本はガラパゴス的存在なので、意見も特殊ではないですか?
ガイダー そんなことはありません。どの国でもみなさん同じような課題を抱えています。ただすべてを最適化するという点で、日本はどの国よりも先を行っていると思います。例えば、アメリカと日本におけるIoTの利用状況を伺ったとき、アメリカ人の考え方だと、せっかく設定した小型デバイスが停電になって、設定が全て失われてしまっても、時間を掛けて元に戻せばいいという考え方が多いです。
一方日本人は、すでに数多くのデバイスに囲まれて生活しているので、もし停電などがおきたときに、データを復元するとなると、ものすごい時間がかかるし、そもそも設定の仕方を忘れてしまったと答えるのが日本人です。
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