これからのバックアップはクラウド保存を基本とするべき
――やはりクラウドへのバックアップをオススメしているのですか?
ガイダー そうですね。クラウドバックアップは、ネットのアクセスさえできれば、いつでもどこでも、どのデバイスからでもアクセスできる点がメリットです。バックアップ先にクラウドを選べば、モバイル端末が壊れても、PCが壊れてもバックアップのデバイスが壊れても火事や自然災害があっても、データの安全性を担保できます。
たとえ高価なストレージを使っていても、いつかは壊れます。いまの若い20代、30代の人は子供のころの写真を持っていないというケースが多いんです。なぜなら小さい頃からデジタルで写真を撮っていて、かつては外付けのストレージなどに保存していたけれど、機器が壊れてデータを失なっているからです。かえって高齢者のほうが紙焼きとして写真を所有しているので、残っている状況があります。
私の父も子供の頃の写真はすべてデジタル化していて、外付けストレージやブルーレイディスクに保存したりしていました。でも父は、デジタルテクノロジーは優れると思っているので、ずっとそこに保存されていると思いこんでいます(笑)。
――バックアップを取るという意識を持たせるためにはどうすればいいんでしょう。
ガイダー バックアップは重要だと啓蒙しようとしていますが、なかなか難しいですね。というのも、実際データを失わないと、保護しなければという意識が生まれないからです。われわれとしては、バックアップがいかに重要かということをドキュメントで用意したり、ブログに記事を書いたり、YouTubeで動画をアップしたりしています。
とはいえ、意識を変えるのはけっこう大変なことです。必ずユーザーさんは、いま使っているデバイスメーカーがなんらかの対策を施していると思い込んでいるからです。一方でデバイスメーカーはOSがキチンと稼働することに重点を置いているので、データの保護に対してそんなに高いプライオリティを設定しているわけではありません。
われわれの製品は、誰かが試してし「これ良かったよ」という口コミの力で広がってきました。いままでに550万人ほどのお客さまに、弊社のソフトを使ってもらっています。そういったことが、われわれにより新しいアイデアを生み出してくれたんです。すなわち、ファミリー向けの製品を出すということです。弊社の製品のことを技術的に理解できる人間が1名いれば、その人を中心に家族みんなのさまざまなデバイスを守っていくことができます。
ですので、われわれの製品を一人ひとりに使ってもらうのは難しいかもしれませんが、われわれが目指しているのはひとりひとりのデータを保護することにあります。だから家族や友人を通じて保護していただければと期待しています。
――製品発表会で、奥さんがタクシーでiPhoneを忘れてなくしてバックアップのありがたみが分かったあとも、まだバックアップを取っていないというエピソードを話されていましたが、それはご主人がバックアップのプロだからなんですね。
ガイダー 妻は、私が出会う前からデータを失っていたのですが、その時は、できることなんて何もないんだろうと諦めていたんです。でもいまは、結婚しましたので私が妻はもちろん、妻の家族も含めて全員分のデータを保護する責任を担っていると考えるようになりました。会ったことのないような遠い親族まで、私がデータ保護全てを賄っています(笑)。
そういったことから、ファミリー向けの製品を出しました。家族はバックアップの重要性が分かっていたとしても、「やりたくないからやらない」とか、「誰かがやってくれる」という感覚でいるからです。
――今回クラウドのバックアップ容量で無制限がなくなってしまいましたが、その理由として容量を抑えて価格を安くしたとしました。
ガイダー 何十万というユーサーがクラウドバックアップを利用しています。ほとんどのユーザーは300GBから400GBぐらいの容量を使っています。われわれがプラン変更した背景には、お客さまにもっと安価な製品を出せるようにしようというという意図がありました。ほとんどの方は、このモデル変更によって安価な製品を手に入れられますが、一部のユーザーは何百TBというデータをアップしていたりもします。必要以上にデータをアップロードしていることも今回のプラン変更の要因でもあります。
例えば、90TBのデータをアップロードする日本のお客さまとお話したことがあります。なぜこれだけの容量を使っているのか質問したところ、映画やテレビ番組などをアップロードしているとのこと。ではそのデータはもう一度ダウンロードすることはあるのか聞いたら、答えはノーでした。それならなぜアップロードしているのか聞いてみたら、ネットの速度も速いしいいじゃないかと返答されました。ネットの接続スピードが速いことと、容量が無制限ということから、同じようなことをやっているお客さまが何千人もいます。
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