皮がさくっ、中がふわっ、噛みしめるとバターがじわっ。普通のトースターでは焦げつきがちなクロワッサンが絶妙な焼きあがりに仕上がった。はっきり言おう、これはうまい。再加熱系で賑わうオーブン市場に真打ち登場だ。
シャープが2日に発表したウォーターオーブン「ヘルシオグリエAX-H1」だ。オーブンレンジ「ヘルシオ」(26L、18L)の過熱水蒸気エンジンを使ったトースターサイズの小型オーブン。想定価格は4万円前後、10月11日発売予定。
“水で焼く”小さなオーブン
水蒸気を100℃以上の高温に加熱し、庫内に噴出。天ぷらや唐揚げなど出来合いの総菜を「外はカリッと、中はじゅわっと」加熱したり、トーストをカリッと焼いたりできる。「揚げない唐揚げ」のようなノンフライ調理もできる。
公式調理メニューには、うなぎの白焼き、しいたけのバター焼き、牡蠣のガーリック焼きなど「家飲みつまみ」も用意。試食したうなぎの白焼きは中がふっくら、うなぎのうま味がしっかり出ていて、ビールが進む味だった。
朝ごはんのトーストとお惣菜を一緒に作ってしあう「モーニングセット」機能も搭載。パンと玉子と野菜などをトレイにのせてあたためると、約6分ほどですべての食材をちょうどよく焼きあげる。忙しい朝に便利そうだ。
オーブンレンジのヘルシオ同様に油を落とす効果もあり、健康効果も期待できるそうだ。なおヘルシオの由来となった減塩(減る塩)効果はわずかとのこと。
天ぷらサクッと再加熱
強さは「弱:ふっくら」「中:サックリ」「強:こんがり」3段階で制御する。弱ならロールパンやお惣菜パン、中なら天ぷらやコロッケ、強ならトーストやピザなどを加熱できる。天ぷらは再加熱してすぐだと衣がサクッとおいしかった。
余談ながら、温度調節ボタンに「過熱切替」という一見意味のわからないフレーズをさらりと書いているのがすごいと思う。
過熱水蒸気発生のための水タンクは本体右上にとりつける。オーブンレンジのヘルシオは本体右下にあったが、水がこぼれやすくお手入れがやや面倒だったので使い勝手がよくなった。タンクはカップ酒のような形でお手入れもしやすい。
サイズは幅412×奥行き315×高さ218mm、庫内サイズは幅259×奥行き230×高さ76mm(焼き網セット時)。スーパーで売っている小さめのピザくらいなら入る大きさだ。重さは約6.3kg、消費電力は定格1410W。
本体色はヘルシオのトレードカラーであるレッドのみ。今までは落ち着きある深い赤だったが、今回は動きのある鮮やかな赤にしたそうだ。たしかに目の覚めるような色で、高級感があるというよりはパワーを感じる。
トースターか、オーブンか
価格でいえば、いわゆるコンベクションオーブンやオーブントースターなど小型オーブン製品の中でそれなりの高級品だ。ヘルシオ ウォーターオーブンが属するスチームオーブンレンジからレンジ機能を省略したという方が近い。
1万円台の製品もある既存コンベクションオーブンとの違いも気になるが、個人的に気になるのはバルミューダの2万4732円トースター「The Toaster」との差。サイズ・価格とも近く、スチームを使って仕上げる原理も似ている。
バルミューダは5ccと少量の水を使い、ヒーターで加熱する。トースト、バゲット、クロワッサンが本当においしく焼きあがるが、基本的にはパン用だ。
一方ヘルシオグリエは20cc以上の水を使った過熱水蒸気で加熱する。ヒーターも使うが庫内の温度を一定に保つための補助的な役割だ。何よりパンだけでなく小型オーブンとしてさまざまな食品の調理に使えるのが大きな違い。
バルミューダの真髄はレシピにあたるプログラム。マイコンのプログラムを調整して徹底的に焼き具合にこだわっているだけにパンの味は一級品だ。
しかしもしヘルシオグリエがバルミューダに匹敵するおいしさに仕上げていたら、ヘルシオグリエがバルミューダの代替品としての選択肢に入ってくる。クロワッサンは素晴らしかったが、他にもいろいろ比較してみたい。
盛田 諒(Ryo Morita)
1983年生まれ、記者自由型。戦う人が好き。一緒にいいことしましょう。Facebookでおたより募集中。
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