コンピューターの誕生と進化に大きな影響力を持った3人をあげるとすれば、アラン・チューリング、クロード・シャノン、フォン・ノイマンとなるが、この3人が揃いもそろって“チェスと機械”に興味を持っていた。数学者のアラン・チューリングにいたっては、1948年、コンピューターなしにチェスのプログラムを書いている。
いまは“第3次AIブーム”などと言われるが、それは、1956年に“人工知能”(Artificial Intelligence)という言葉が生まれてから数えてのことに過ぎないと思う。
コンピューターの歴史は、すなわち人工知能の歴史なのだといってよい。チェスは、それを象徴するコンピュータープログラムで、1951年に、英国フェランティ社のMark 1ではじめて“詰めチェス”のプログラムが動かされて以来、1997年のカスパロフとディープブルーの対戦、そして、囲碁などのほかの盤上遊戯に場所を広げて続けられている。
人々は自分たちよりも“頭のいい”、自分たちを“打ち負かす”、テクノロジーの子供(あるいは至高の存在)を作ろうとしてきたのだ。その人工知能の歴史、すなわちコンピューターの歴史といってよいものが、ここに来て大きく音を立てるような変化を起こしている。
いままで数学者や人工知能研究者、あるいは哲学者といった人たちが、僧侶のようにイミテーションゲーム(コンピューターが知性をもつか調べる対話テスト='14年についに合格するソフトが登場しました)をやっているイメージだった。それが、文字どおり誰もが取り組めるビジネスの現場へと扉が開け放たれたのだ。
その切り札となったのは、“ディープラーニング”(深層学習)というニューラルネットワークの新パラダイムだ。これによって人工知能で取り組めるテーマも、画像認識、自然言語、天候予測、株価、問い合わせシステムなど、一般的なニーズを広がっており目下さまざまな事例が増え続けている。
つまり、ディープラーニングは“IT技術者”がつかんでおくべき新常識となったのだ。角川アスキー総研では、「ディープラーニング入門6時間集中講義」と題したセミナーを、9月3日(土)開催で募集した。それが満杯となり追加講座の要望を多数いただいたので、9月17日(土)に同じ内容の講座を開催することとした。
講師として、ニューラルネットをはじめて学ぶ講座には最適と思える人物をお呼びした。情報共有コミュニティ 「マルレク」を主宰する元稚内北星学園大学学長で、早稲田大学大学院情報生産システム研究科客員教授等を歴任した丸山不二夫氏だ。丸山氏について、前回募集の際に書かせてもらった紹介を再度させていただく。
丸山氏は、「UNIXマガジン」でクラウドコンピューティングに関する理論的裏付けを解説(圧倒的な説得力で「雲の世界の向こうをつかむ/クラウドの技術」と書籍化)、ビッグデータやアンドロイド(日本アンドロイドの会名誉会長でもある)といった'00年代以降のITの潮流をいちはやくとらまえ示した人物である。
ディープラーニングは、丸山氏の専門である哲学とも関係する領域。ただし、今回は教育者という立場ならではの徹底した分かりやすさで、現役のITエンジニアならわかる内容で解説。昨年から継続され、回を追うごとに絶大な支持をえたマルレクでの講義を6時間集中講義としてまとめた。
今回の講義は、このディープラーニング技術の中核をなすニューラルネットワークの基礎を1日で学べるお得な講義内容となっている。特定の言語の知識は前提とせず、高校数学の知識で理解が進む内容となっている(マルレクでの講演資料はhttp://goo.gl/4rJtdWで公開されている)。土曜の午後から夕べを新しい技術をつかむ時間にしてはいかがだろう?
追加講義決定!
IT技術者の新しい常識「ディープラーニング」の基礎が一日でわかる
「ディープラーニング入門6時間集中講義」
開催概要
- 日時:2016年9月17日(土)13時〜19時(受付開始/開場12時30分)
- 会場:角川第3本社ビル 3F(東京都千代田区富士見1-8-19)
- 参加費:6000円(税込)※マルレク個人協賛会員の方は特別割引あり(申し込みサイトをご覧ください)
- 講師:丸山不二夫氏
- 総合司会:遠藤諭(角川アスキー総合研究所)
参加登録はコチラから!(Peatixの予約ページに遷移します)
講師:丸山不二夫氏
東京大学教育学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。稚内北星学園大学学長、早稲田大学大学院情報生産システム研究科客員教授等を歴任。オープンソースのコミュニティ活動に積極的に参加。日本Javaユーザー会名誉会長。日本Androidの会名誉会長。クラウド研究会代表。近年では、日本のIT業界がグローバルな技術イノベーションの一翼を担うことを目標に、連続講演会「マルレク」を主宰し、クラウドコンピューティングや人工知能などの技術について講演を行っている。
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