そもそも「迷わない」ように仕組みを改善
ユーザーからの声は、製品の開発本部、顧客サービス本部、マーケティング本部で共有し、連携して問題を解決することで「問い合わせを不要」とする取り組みを実施している。
「経理用語が耳慣れないお客さまも大勢愛用いただいているので、専門用語を検索しながら私どものサービスを利用することを極力減らすように、サービス内では専門用語を多用しないようにしています。問い合わせの手間をおかけするよりも、サービスを利用しているときに、その場で解決できるように「?」のポップアップで、用語解説するような仕組みをサービスに取り入れています」とマーケティング本部 吉岡伸晃氏。
弥生の利用ユーザーが増えるなか、問い合わせ率が低下しているのは、このような努力が実を結んだ結果だという。
しかし、弥生はユーザーサポートについては、現在進行形でかなり攻め体制といえるだろう。その代表的な取り組みが「アクティブサポート」。なんとSNSを人力でエゴサーチしているという。
アクティブサポートの対象者は、弥生のユーザーに限定することなく、SNS上で業務にまつわる不安などをつぶやいている人を見つけ、声をかけているそうだ。
カスタマーセンターでの主な有人サポートは、「電話」、「メール」、「画面共有」。画面共有は電話で話してもわかりにくい場合、ユーザーと画面を共有し操作をサポートするというもの。
大阪のカスタマーセンターでは、9:30から17:30の受付時間内にあわせ、「チャットサポート」をトライアルとして2015年12月より開始している。ユーザーにとっては、やよいの青色申告 オンライン、やよいの白色申告 オンラインの画面から移動することなく質問できるので、サポート後のアンケートの結果では、満足度が高く好評とのこと。
手厚いサポートが、弥生への評価として返ってくる
弥生はユーザーだけではなく、サポートに対応する自社のオペレーターにも、充実した環境を提供している。一人ひとりの戦力が向上するように、毎日勉強会を開催し、長期間にわたって従業員が勤められるように努力している。なんと弥生のプロフェッショナルアドバイザープログラムに参加している税理士のメンバーのなかには、カスタマーサポートセンターの元オペレーターもいるという。
事業コンシェルジュを掲げた先には、「顧客の満足感が製品の継続利用につながり、さらに顧客がインフルエンサーになって弥生の製品をPRする」と中長期的な考えもあるようだ。
ユーザーにとっても、財務管理や確定申告に利用するサービスは、頻繁に使い分けることなく長期的に同じサービスを利用したいもの。メーカーがユーザーに対して、カスタマーサポートを積極的に継続していく姿勢が視覚化することで、これまで念頭になかった「カスタマーサポートを理由に製品やサービスを選ぶ」という潮流も、育まれるだろう。
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