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キユーピーがマヨネーズ用お酢研究の結果、酒好き用サプリ作る

2016年07月27日 09時00分更新

 キユーピーは7月26日、酢酸菌酵素を配合したサプリメント「よ・い・と・き」を発表した。7月27日から同社のネット通販で先行販売を開始し、10月7日から全国に出荷される。価格は2粒入りが249円、2粒×5袋が1188円。

 よ・い・と・きはお酒を“飲む人”のためのサプリメントをうたうもので、飲み会の多い人や翌日すっきり過ごしたい人の健康維持をサポートする。

 サプリメントに配合される酢酸菌酵素には、アルコールを酢酸に変える「アルコール脱水素酵素」や「アルデヒド脱水素酵素」が含まれている。キユーピーはこの酢酸菌酵素を世界で初めて大量生産に成功したという。

アルコールをお酢に変え、肝臓の負担を和らげる

 酢酸菌といわれてもピンとこないが通常は食用のお酢、いくつかの食品や薬の生産に利用されているという。

自然発酵にも係る酢酸菌。アルコールを変換してくれる

 またユニークな点としてはアルコールを酢酸に変換する特性がある。正確には酢酸菌の酢酸生成にアルコール脱水素酵素とアルデヒド脱水素酵素が関わっている。この2つの酵素がアルコールをアルデヒドに、さらにアルデヒドを酢酸に変換してくれる。

 また酢酸菌に含まれる酵素は胃で働く特性がある。

 アルコールの代謝をするのは肝臓の働き、というのはよく知られているところだが、酢酸菌によって胃でアルコールの代謝を代替できることになる。

 つまり、酢酸菌はアルコールをお酢に変え、かつ肝臓の負担を減らしてくれる。そして繰り返すが酢酸菌酵素を主原料にしたのがよ・い・と・きだ。

酢酸菌やその酵素は胃でも働く

アルコールが酢酸に代わるメカニズム

つまりはめちゃくちゃ仕事を持ってきた上司に対応する部下がサビ残するところ、助けてくれる同僚がいるから仕事続けられるというわけ(めちゃくちゃ飲んだら肝臓に負担かかるけど、胃というか酢酸菌が助けてくれるから明日も飲める)。こう見ると毎日飲んでる人は体にとってもブラック企業みたいだ

酢酸菌まとめ。当たり前だけど飲み過ぎには注意しよう

社内公募制から生まれた最初の製品

 キユーピーはよ・い・と・きのために新ブランドを立ち上げ、テレビCMはもちろんのこと、酢酸菌のために知ってもらうためにセミナーを実施するなど、製品に力を入れている。

 理由は先にも上げた世界初という冠もあるのだろうが、社内公募制の「Try! Kewpie」から生まれた最初の製品という点も大きいだろう。

 代表取締役 社長執行役員の三宅 峰三郎氏も「キユーピーというとマヨネーズやドレッシング、加工食品が思い浮かぶと思う。だが今回は少し毛色が違う。よ・い・と・きはキユーピーならではの技術が含まれたユニークで、期待が持てる製品だ」と話す。

三宅氏。よ・い・と・きについて「既存とは違う、新しい製品」と自信をのぞかせる

 Try! Kewpieは2012年からスタートし、製品からCSRに関わるビジネス案を発掘する試み。生まれたアイデアを実現し、マヨネーズやドレッシングなどのコア事業とは異なる、新規チャネルで成功体験を蓄積するのが狙いで、かつ利益貢献だけでなくブランドイメージの拡大も考えているそうだ。

 ではよ・い・と・きの新規チャネル性は理解できるが、三宅氏のいう「キユーピーならではの技術」はどこか。

 実はキユーピーはマヨネーズに最適なお酢を求めた結果、キユーピー醸造という会社を立ち上げている。つまりお酢に関して知識や経験があり、酢酸菌も扱っていた。このような環境下で酢酸菌を活用できないかと考えた社員がいたという。

3年で大量生産に成功

 酢酸菌酵素の大量生産に成功したキユーピーの奥山氏は「キユーピー醸造にはお酢のコレクションがあり生産設備がある。酢酸菌を工業生産できると思った。実際にできればいままでにない価値を提供できる」と考えていたという。

奥山洋平氏

 また酢酸菌については「江戸の文献でお酢の酔い覚ましに良いという記載があった。当時のお酢といまのお酢には違いがあり、いまのお酢は透明に濾過されている」という違いから濁らせるといいのではと、大量生産のとっかかりを求めたそうだ。

奥山氏が酢酸菌づくりに挑戦したきっかけの文献は『隋息居飲食譜』というもの

 とはいえ酢酸菌は増えにくいという特性があるそうで、また酵素が減ったり、生産樹が熱を持つと死んでしまったという失敗のエピソードも明かした。

 それでも研究から3年で大量生産が可能となり、今回の製品化までたどり着いたという。

ターゲットは30歳前後の女性?

 キユーピーとしてはよ・い・と・きのターゲットを「飲む人すべて」としながら特に30歳前後の女性を意識しているという。理由として「現代女性にとって飲酒は日常的な生活習慣」である点と飲み会などでの失敗に対する対策意識の高さを挙げた。

訂正とお詫び:初出時、一部表記に誤りがございましたので訂正いたします。(2016年07月29日)

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