ロープレの動画を投稿・評価してもらう
ロープレの課題が届いたら、期限内に撮影、投稿してもらう。各店舗のスタッフ同士で撮影してもらおう。スマホで撮影できるので、特に難しい作業はない。TANRENを開くと、課題がある場合は目立つ場所に表示されるので、見逃さずに済む。ロープレの難しさの一つが、まずスタッフに無視されないことなので、ありがたいところだ。
スタッフは課題のテーマや評価項目を確認したら、動画を撮影する。三脚などを使って一人で撮影してもいいが、同僚などに撮影を手伝ってもらってもいいだろう。動画が撮影できたら、アップするだけなので手間もかからない。
次は、投稿された動画の評価を行う。評価者はまず動画をチェック。再生スピードを速めることができるので、大量の投稿をチェックする際には助かる。見終わったら、設定された6項目を評価する。評価はあえての星4つシステム。なぜ5つではないのか聞いたところ、良いのか悪いのかはっきりさせるためだという。確かに、星5つだと、「3(普通)」につけがちだが、「ややいい」と「やや悪い」しかないのなら、本気でチェックしなければならなくなる。
コメントを書く欄もある。この評価は本人や周囲の人も見られるので、けなしまくるのは問題が起きそう。モチベーションがアップするように心がける必要がありそうだ。基準に達していないなら差し戻して、再提出させることもできる。逆にもの凄くできがいいなら、見本動画に登録することも可能だ。
情報を多角的に分析して組織を強くする
「分析」タブではさまざまな切り口で合計や平均を確認できる。ランキング形式なので、やる気があるスタッフにとってはモチベーションアップに役立つだろう。「利用状況」では、どのくらいTANRENが活用されているか確認できる。経営者がばっちり状況を把握できるので、サボっていたらすぐにわかる。
この一連の流れで、PDCA(計画→実行→評価→改善)サイクルを継続的に回し、事業の品質を高めていくことができる。それぞれのスタッフがロープレにチャレンジすることで、個別のスキルが可視化される。評価を見れば、何が得意でどこが弱いのかが一目瞭然。弱点を強化したり、強みを伸ばして売り上げにつなげることができる。
また、経営層が指示しても、現場はなかなか新しいオペレーションをこなしてくれないもの。しかし、ゲーミフィケーションの要素があるので、TANRENにアクセスするのには抵抗が低そうだ。多店舗を経営していると、遠隔地のスタッフ同士が隔絶してしまうのがネックになるのだが、クラウドサービスをハブにしてつながることができるというメリットもある。
今回は記事のためのテスト運用だったが、ロープレの必要性と効果は実感できた。BAR業界ではほとんど導入しているところはないが、もし先鞭を付けられればすごいことになりそうだ。
筆者紹介─柳谷智宣
1972年生まれ。ネットブックからワークステーションまで、日々ありとあらゆる新製品を扱っているITライター。パソコンやIT関連の媒体で、特集や連載、単行本を多数手がける。PC歴は四半世紀を超え、デビューはX1C(シャープ)から。メインPCは自作、スマホはiPhone+Xperia、ノートはSurface Pro3とMacbook Air。著書に「銀座のバーがウイスキーを70円で売れるワケ」(日経BP社)、「Twitter Perfect GuideBook」(ソーテック社)、「Dropbox WORKING」(翔泳社)、「仕事が3倍速くなるケータイ電話秒速スゴ技」(講談社)など。筋金入りのバーホッパーで夜ごとバーをハシゴしている。好きが高じて、「原価BAR」を共同経営。現在、五反田・赤坂見附・銀座で営業中。
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