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時代が追い付いた授業支援システム:schoolTakt

タブレット1人1台授業に足りなかった答え コードタクトが示す未来の教室

コードタクトが目指す「学び」の未来

すでに日本の各学校で利用実績がある。授業ジャンルもさまざま

 教育にテクノロジーを取り入れたEdTechの分野で黒字経営をする企業はじつはまれだが、コードタクトはその「まれ」な会社の1つに名を連ねている。総務省や文部科学省の実証事業への参加から生まれたつながりは、ソフトバンク コマース&サービス株式会社との協業、Classi株式会社へのOEM提供などを通じて広がりを見せている。

 今後「schoolTakt」では海外進出も視野に入れて開発を進めている。海外では日本の学校のように多人数の一斉授業が多いわけではないが、5~6人でチームを組んで問題解決をするPBL(プロジェクト・ベース・ラーニング)や、学力をゾーニングして行う一斉授業では「schoolTakt」が十分に活躍する場があると後藤氏は話す。SXSW edu2016には日本のEdtechスタートアップの1社としても参加し、現地で手応えをつかんだ。

 また、コードタクトは現在BtoBのビジネスを基本路線としているが、いずれは「schoolTakt」の遠隔授業機能を使ってBtoCにもつなげる狙いだ。受験・資格試験予備校、美容学校など、さまざまな「学び」の現場・人をつなぐプラットフォームをつくりたいと目論んでいる。

 既存サービスとの連携については、すでに提供を開始しているOneDriveやDropbox、Office 365以外にも、クリエイティビティに特化した子供たちのソーシャルメディアCreatubblesや動画で学べる無料学習サイトeboardなどとの連携を行ってさらに機能の充実を図る予定だ。

 「学び」の未来へ向けて大きく前進しようとするコードタクト。BtoB分野では順調な成長を見せており、直近で資金調達などの予定はないという後藤氏だが、「BtoCであれば集中しないといけない」と決意を語る。また「教育は社会に貢献できる分野でありながら、エンジニアにリーチしづらいためにいい人材を見つけるのが大変」だと人材構築を急務に挙げる。

 もちろん、授業支援システムにかかわる業界全体の底上げも必要だと考えている。「現在この分野の市場規模は15億円といわれているが、東京オリンピックが開催される2020年には50億円から250億円まで伸びると推定されている。その中で全体の3~4割はシェアがとれるように、知名度を上げていかなければならない」(後藤氏)


"かゆといころに手が届く"使い心地を超えた可能性

 授業のためのマネジメントシステムということで、経験がない人がほとんどで実感がわかないところがあるが、一度「schoolTakt」を触ってみると、その完成度に驚く。授業を成立させるために学校に導入されるようなICTの場合、現場のリテラシーに合わせるためなのか一世代前の古めかしいものという印象を持っていたが、図形の操作ひとつにしても、とても既存のサービスが対応していない細かいレベルで、授業のための特化がなされていて気持ちいい。

 そのような”かゆといころに手が届く”使い心地の一方で、さらに各種の連携、データ蓄積での可能性が見える点も楽しみだ。正直なところ、授業中のコメントで生徒の関係性をマッピングするような機能が実装されているのは面白いと感じるが、使いこなせる先生がどれだけ現れるかはまだまだ未知数だろう。仕組みができあがっていても5年待たなければ時代に合わなかったように、今後利用方法が追いつくような機能がまだまだ眠っていそうなところが興味深い。たとえばプログラミング学習でハードウェアと連携するような、いわゆるIoT的授業への拡張や、コメントに対応したチャットボットでの授業支援などもできそうだ。

 ちなみに後藤氏はコードタクト以外にも店舗など企業向けのeラーニングシステムを提供するライトワークスの顧問を務めている。自社サービスを企業向けにアレンジして提供することで、そこから得たフィードバックを開発に活かす。また、自ら指揮するオーケストラでは、「schoolTakt」の一部技術を使った参加型演奏会を試みている。

 後藤氏のこうした多岐にわたる取り組みが、近い将来の世界の授業風景を大きく変える道筋を礎となる。

●株式会社コードタクト
2015年1月30日設立。ブラウザベースで使える学校・塾など教育機関向けの授業支援アプリ・学習管理システム「スクールタクト(schoolTakt)」の開発・運営を行っている。
現在のところ自己資本のみで、調達などは未実施。
スタッフは2016年7月現在で20名。エンジニア、デザイナー、教材開発、営業など人材は幅広く募集している。来期は海外展開も視野に入れる。

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