上海で開催中の「MWC Shanghai 2016」は、会場こそ昨年と同じ上海新国際博覧中心だが、使用するホールを増やして規模を拡大。新しく拡大したホールに「Virtual Reality Zone」を開設し、HMD(Head Mounted Display)や360度カメラといったデバイスやソリューションの展示が行なわれていた。
ホールの中心となっていたのがHTCブースで、同社のHMDシステム「HTC Vive」を使った大がかりなデモを披露。来場者も体験できるようになっており、行列ができていた。HTC ViveはHTC以外のブースでも利用されており、HTC Viveを使ったゲームなどの売り込みを行なっていた。
さらに目立ったのがHMD関連機器。たとえばHMDの映像やゲームに合わせて動く椅子や乗り物といった、大がかりな装置を展示している会社が複数出展していた。
韓国のInnoSimulationが展示したのは、正方形の台座のようなソリューション。台座がHMDの映像に合わせて動くので、人が立って使えばサーフィンのような映像やゲームを楽しむために使えるほか、椅子をセットすればクルマやジェットコースターなどを疑似体験できる。
InnoSimulationはもともとドライブシミュレーターなどを開発しているメーカーで、複数人が同時に座れる大型のアトラクションのようなソリューションも提供している。
中国のBeijing UniFly Culture Innovationは、キャタピラの付いたセグウェイのような体感ゲームを展示。実際にこの乗り物が動き回るわけではないが、INN・VRと同じように人が立つ部分が動くため、HMDを組み合わせれば、本当に移動しているかのような感覚が得られる。
これらソリューションは個人向けというわけではなくBtoBがメインで、こういったシステムが開発できるというお披露目的な展示。そのため展示してあるソリューションがそのまま発売されるわけではなく、顧客からのオーダーをうけて、VRシステムを開発、提供していくわけだ。
さらにVR関連では、HMDを装着するとキーボードなどの入力機器が操作しにくくなるため、入力用のインターフェースが重要となってくる。Sensoが展示していた「Senso VR Gloves」はまさにHMD装着時に使用する入力用インターフェースだ。
「Senso VR Gloves」は各種センサーが装備されたグローブ状のデバイス。手の位置や指の動きを検知して、画面内で手の動きをシミュレート可能。モノを掴んだり動かしたりといった手の動きを、そのまま入力に使用できる。
ブースの説明員によると、ゲームなどのエンターテイメントコンテンツだけでなく、医療などの分野でも活用できるとのこと。対応するプラットホームは「HTC Vive」や「Oculus Rift」「Gear VR」など。
2016年第4四半期にデベロッパーキット、2017年中ごろまでに製品版をリリース予定で、想定価格は250ドルとのこと。
展示状況から見ると、すでにHMDが普及するのは当たり前といった印象。さらにHMD自体は、HTC ViveやOculus Rift、Gear VRなどプラットホームが固まってきており、ここに参入するよりも、そのHMDプラットホームを使っていかにビジネスをするかといった点に注目が移っているようだ。
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