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フジテレビVR参入「大きな赤字になるかもしれないが……」

2016年07月01日 06時00分更新

フジテレビ大多亮常務(左)、グリー田中良和社長(右)

 フジテレビとグリーが30日、VR共同事業「F×G VR WORKS」を発表した。フジの企画力、グリーの開発力を合わせてVRソフトを受託制作する。

 企画・制作・運営・プロモーションをすべて請け負えるのが強み。受託制作を第1弾として今後はフジテレビのVR報道番組やVRスポーツ番組を作っていきたいという話だったが、大手2社の提携としてはやや地味な印象が残った。

 グリー田中良和社長とフジテレビ大多亮常務はよく食事をする仲。VRハードを見て可能性にほれこんだ田中社長が「一社では作りきれない。半信半疑なところはあると思うが一緒にやりましょう」と大多常務をくどいて企画を成立させた。

 フジテレビコンテンツ事業局の山口真局長は、自社には「企画・キャスティング」「映像制作実績」「リアルプロモーション」、グリーは「アプリ開発力・VR開発実績」「デベロッパーとのリレーション」「オンラインプロモーション」と、両極の強みがあると説明。「コンテンツクリエイター集団を自負するフジテレビとグリーが参入しないわけない。よい補完関係が見つかった」と自信を見せた。

リアルとネットを生かせるという

ワンストップで提供するという

 グリーはVR業界でコンテンツ開発実績がすでにあるが、フジテレビとしてはまだ手探り状態。「一度大きな赤字になるかもしれない」(山口真局長)としながらも、赤字をジャンプ台として将来は収益の柱にしたいと意欲を見せた。

 なおテレビとVRは視聴者の時間を食いあう関係にあるのではないかという質問には、もともとテレビはビデオや映画と“カニバって”きた歴史があると大多常務。VR参入によりテレビの視聴率が落ちることはないとした上で「面白いものをつくる力が落ちたらダメになる。制作力の低下がいちばん怖い」とも話した。

VRで被災地報道、VRでバレー観戦

創業期には女子高生だった椎木里佳社長(左)、全盛期にはサッカー日本代表だった前園真聖さん(右)

 VRソフトのイメージとして作ったのは、Oculus Riftで地震被災地である宮城県南三陸の高野会館を見られる「わたしはこの場所で被災した」、HTC Viveでバレーボール日本代表の試合を観戦できる「ソーシャルVRシアタールーム」。

 発表会では、元サッカー選手の前園真聖さん、女子高生時代に創業したJCJKマーケティング会社AMFの椎木里佳社長が2種類のVRソフトを体験した。

 椎木さんは「『(津波が)こんなに高いところまで来たのか』という感覚。首を上げる(見上げる)感覚は2Dの画面だとわからない」と被災地の臨場感ある映像に驚きをあらわした。一方、VR初体験という前園さんはHTC Viveを装着した時点ですでに「おおっ、おおっ」と興奮。Viveコントローラーでバレーボールをつかんで投げようとするも失敗するなど、楽しそうに体験していた。

F×G VRを楽しんだ2人

 なおフジテレビ制作の360度動画「永島優美アナのヴァーチャルお忍びデート」が公開中。記者は発表会に遅刻して体験できなかったが、ゲーム担当記者ちゅーやんくん(20代)が「えっこれ大丈夫!? フジ大丈夫!?」と興奮していた。



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盛田 諒(Ryo Morita)

1983年生まれ、記者自由型。戦う人が好き。一緒にいいことしましょう。Facebookでおたより募集中。トレンド解説コラム「トレンドPicks」ASCII倶楽部で好評連載中!

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