個人を認識してやり取りを学習するソーシャルロボットがこの冬登場
Pepperの半額!ドラえもんを目指した“愛され”ロボット:unibo
調達も順調!スピード感を重視してまずはリリースを目指す
さて、ロボットとなれば気になる価格だが、BtoC向けが来年春先の予定で9万9800円、クラウド利用料が月額5000円予定と格安。開発者などのBtoB向けは2016年冬くらいを予定しており、価格は15万円くらいで、月額1万500円くらいでの先行販売を考えている。
まずは日本で発売だが、すでに中国、韓国、タイからは強い引き合いがあるという。どちらもドラえもんを見て育った大人のいる国なのが面白い。
「日本での販売先は、まだ公に発表ができないが、全国へ一斉に届けていけることを前提とした販売チャネルを構築中。続いては、アジア展開をしっかりやっていきたい」と酒井氏。
ところで、10~15万円という価格設定は、安価な既存パーツを組み合わせているのだろうか。
「ベンチャーならではだが、販管費などが少ないためギリギリまで価格を落とせる。我々は普及させることを前提にしており、家庭に入る価格を調査したところ10万円前後となったので、そこを的にした」と酒井氏。
すでに、ホテル、病院、銀行や介護施設などからビジネスでの引き合いがある。今冬のBtoB向けがリリースされれば面白いことになりそうだ。
また資金面ではuniboの量産に向け、事業会社やVCに声をかけて第2期調達に動いている。第2期の予定金額は数億円と、ロボット製作での開発費で想像するよりかなり少ない。
「ハードウェアはお金がかかるが、できるだけ少ない株主でやっていきたい。いたずらに資本金を増やすことは考えていない。量産して売り上げを立てれば走っていける」と酒井氏。
第3期調達は必要に応じて予定。現在、ユニロボット株式会社にはコーポレート部隊がない。同社はインターンを含めて20名強で動かしている。コーポレート部隊なしの全員エンジニア。最初は酒井氏の人脈で集め、後はWantedlyを使って募集したそうだ。全員がエンジニアのため、いろいろパートナー企業とフットワーク軽くやっていけるというメリットがある。酒井氏は「スピード感と意思決定の早さは随一」と胸を張るほどだ。
「一応、我々の会社はリーンスタートアップと考えている。多くのハードウェアスタートアップは量産の時に死の谷を迎えるので、そこを突破して、サイクルを早く回していかないといけない」と酒井氏。
2014年からスタートして、ちょうど1年で量産までこぎ着けた。CADを作り、試作機を作って、金型を作る。驚くべきことに、ここまでuniboは一般的に言われる製造費より一桁少ない金額で開発してきている。ロボットのスタートアップならではだが、このコスト感はすごい。
「これまで相当なスピードとコスト感をもって進めている自負がある。一方、リスクは常につきものであるため、その都度最善の策を判断し、リソースを集中し取り組んでいる。まずは冬に1000台の先行リリース。反響を見てBtoCモデルにオプションでLTEを搭載する予定」と酒井氏は将来をにらむ。
対応回線は有線LANとWi-Fiだが、家庭用にはオプションでLTEを搭載することを考えており、SIMが入れられることになれば、専用のuniboSIMが実現するかもしれない。
迫る家庭内コミュニケーションロボットの生存競争
ユーザーとの距離が非常に近い「unibo」。価格も手ごろで、BtoC版の発売が非常に楽しみ。冬に発売される1000台のBtoB版の売れ行きからも目を離せない。
現在uniboだけでなく、ハード黎明期として数々の家庭用のホームロボットの登場が予定されている。ビジュアルや用途の面でわかりやすくライバルと想定されるのは、米JIBO社製家庭用AIロボット「JIBO(ジーボ)」やフランスのスタートアップブルー・フロッグ・ロボティクスが手がける「BUDDY(バディ)」あたりだろうか。いずれも価格帯は10万円前後で、家庭内コミュニケーションロボットの激しい競争の開幕前夜といった状況だ。
国産ロボットの系譜に新たに加わるuniboだが、人工知能による個人ニーズの学習や感情認識を経たパーソナライズがどこまでなされるのかが気になるところだ。横展開では、ボイスやビジュアルといったコンテンツ特化の可能性も見えている。家族の日常に溶け込み、ペットロボットAIBO(アイボ)のように愛されるかはこれから。量産やチューニングと忙しくなることだろうが、日本ならではの楽しくてかわいいロボットの発売を期待して待ちたい。
●ユニロボット株式会社
2014年8月設立。次世代ソーシャルロボット「unibo」を2016年冬に販売開始すべく、開発中。一般向けの本体価格は9万9800円、月額5000円(予価)。
直近での調達は複数のVCから数億円を予定。
社員数は2016年6月現在で15名。Android・Javaの技術者、及び人工知能の研究者を数名募集中。
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