ノイズキャンセリング量をコントロールできるQC30
新製品のうち、ゲイジャー氏の思い入れが特に強いのがQC30だ。
2013年発表のインイヤー型「QuietComfort 20」の後継製品で、業界最高のノイズキャンセリング性能をうたっている。ノイズキャンセリングしながら外部に向けたマイクを使い周囲の音をモニタリングできる「Aware」モードを継承し、進化させた。
「出た2007年当時、私は常に2台のヘッドフォン(QuietComfort 3とin-ear)を持ち運んでいた。周囲の音を聴ける状態で、音楽をアクセントとして聴く場合はin-ear、カフェなどで集中して考える場合はQC3といった感じで使い分けるため。これをひとつにしたいとずっと考えていた。社内の同僚の共感も得られた」(ゲイジャー氏)
つまり、路上など周囲の音を聴きながら動かなければならない場合と、完全に音を遮断して集中したい場合。それぞれの状況にあったノイズキャンセルが必要ということだ。
QC30のコントローラブル・ノイズキャンセレーションでは、Aware→Mezzo→Quietの順に強くなる、12段階のノイズキャンセリングを用意している。単に抑制の強さを変えるだけでなく、低周波ノイズに強い“アクティブ型”と、密閉性を生かし高周波に強い“パッシブ型”、それぞれのかけ方を高精度に調整する。
このうち中庸のMezzoでは、頭部の音響特性も考慮し、広い周波数特性にわたって効果的なノイズキャンセリングが可能だという。そのためにCADの設計そのものも見直したそうだ。またゲイザー氏からの提案として、ライブ会場に持ち込み、演奏を心地よいレベルで楽しむ用途に使ってみてはどうかというものもあった。
肩に掛ける部分は、襟のあるワイシャツでも、Tシャツや素肌でも装着感を損なわないよう工夫しているほか、遮音性が高いボーズ独自のイヤーチップ「StayHear+」でしっかりとした耳への固定が可能となっている。
またオーバーイヤー型のQC35についても、単にQC25にワイヤレス機能を追加しただけではない点を強調。数msのフィードバックができるアクティブ・ノイズキャンセリング回路やBluetooth用のSoCチップなど、内部のアーキテクチャそのものを見倒しているとした。例えばワイヤレス化しても連続20時間のバッテリー駆動を確保している点はその一つだ。
QC35とQC30の違いとしては形状を除けばほぼ同等とのこと。加えてQC30ではノイズキャンセリングレベルの調整ができる。また有線タイプと比べたノイズキャンセリング性能も「差はあるが個人差より小さい」としており、ほぼ変わらないレベルとしている。
発表会場では、新製品のうち発売が先行する2機種を体験できた。QC35のデモでは、実際に渋谷区内で録音した騒音を会場内で流し、その性能を体験できた。
発表会の冒頭では、渋谷の街かどの騒音は70dB、電車内は80dB(これは救急車のサイレンと同水準)、地下鉄の構内では100dBと我々の生活は騒音に包まれている点が紹介された。逆にこうした喧噪から離れた際に、人が感じる安心感などについても触れており、音楽とともに日常生活のストレスか解放してくれるヘッドフォンがQuietComfortである。
その魅力がワイヤレス化でさらに身近になった。
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