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QuietComfort 35、QuietControl 30など4製品

BOSE初のBluetooth+ノイズキャンセリングヘッドフォンに触れた

2016年06月21日 20時00分更新

ノイズキャンセリングは合気道に似ている

 説明会では、1980年以来ノイズキャンセリング技術の開発に携わっている、米ボーズのHeadphone Lead Resertch Engineer、ダン・ゲイジャー氏がQC35とQC30について紹介した。

 ちなみに、ゲイジャー氏は合気道をたしなむそうで「ノイズキャンセリングで使うフィードバック技術は合気道に通じるものがある」とした。例えば、相手の気を利用して力を操ることと、周囲の騒音を利用して静寂を得る(騒音を打ち消す)ことなどだ。

ゲイジャー氏は合気道をたしなむ。MITで出した初期の論文。

 ボーズのノイズキャンセリングに対する取り組みは、1978年にさかのぼる。

 アマー G.ボーズ博士が、スイスのチューリッヒからボストンへと向かう際、スイス航空のフライトで得た着想がその礎となった。スイス航空は当時、最先端の設備として機内ヘッドフォンを導入したばかり。しかし高音質をうたう一方で遮音性が低く、騒音の大きな機内で使うと、音量を大きくしないと音楽が聴けない。結果、音もひずんでしまうという難点があった。古いチューブ式の良さを改めて実感する面もあったという。

 そこでボーズ博士は、NC技術の基本コンセプトや数式をその場で考え始めた。そしてフライトが終わるころには、これが理論的に実現可能な技術であると結論付けた。その後38年間にわたって続く、ボーズのノイズ克服の歴史の始まりだった。

航空分野のヘッドセットとして

 これが最初に結実したのは1989年に投入した機内通信用のヘッドセット。その後1999年にはアメリカン航空のファーストクラス/ビジネスクラス向けのアメニティーの提供も始まった。そして2000年のQuietComfortでコンシューマー展開を開始。その後QuietComfort 2、QuietComfort 3、QuietComfort 15と順に進化を続けてきた。

旅客機用のアメニティーとして

 しかしボーズ博士は当初、ノイズキャンセリングが一般市場で受け入れられるとは考えていなかったようだ。航空業界や軍事向けのコミュニケーションなど限られた市場を想定しており、後年、QuietComfortが出ても大型の試作機を使い続けていたという。

ボーズのノイズキャンセリングはパッシブ・アクティブのノイズリダクション、そしてトライポートテクノロジーなどとのバランスによって成り立っている。特にトライポートは打ち消すための信号を出すために必要な技術。例えばヘリコプターの騒音を打ち消すためには、10~20Hzの低域を123dBの強さで出すことが求められるという。

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