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起業家・全士業支援バックオフィスに求められたのは地味な物作り作業

苦労したのはグレーな部分 話がわかるクラウドサービス:Gozal

7種の士業と連携する初のサービスで
お互いにWin-Winの仕組みを構築する

画像提供:BEC

 7種の士業、250の事務所と提携しているネットワークも、Gozalの大きな特徴。専門家を増やすのにはコストがかかりそうだが、実は特に営業はしていない。Gozalの認知度向上に伴い、自然流入が月間10~15事務所増えているようだ。それにしても、いきなり7種の士業と提携するのが驚きだ。

 「私が会計士だった経験から、各士業のみなさんに挨拶したり話をしているなかで、課題を共有できるという強みがある。士業の課題に対して深い共感ができるので、しっかりとコミュニケーションできる」と高谷氏。

 前出のようにユーザーが専門家への依頼を出すと、専門家から提案が来る。相見積もりというかオークションのように、複数の専門家から提案が来ることもあるのだ。ユーザーはその中から、魅力的な提案を選べばいい。専門家は、内容は見えないものの依頼に対して既存の提案数は確認できる。案件獲得のために勝負したいのであれば、価格や内容でアプローチすればいい。ユーザーに選んでもらえれば、当人だけが入れるチャットルームで話をする。会わずに納品することもできるし、直接顔を合わせる人もいるという。

画像提供:BEC

 そもそも士業の世界は、お堅く古めかしい業界というイメージがある。その業務をクラウドで効率化するというと、スムーズに行かないこともあるのではないかと聞いてみた。

 「そこは、しっかりと話し合いをするというところが大事。シンプルに論理だけでこうやったほうがいいというよりも『今までこうやってきたからこうやりたい』といった考えも多いので、訴え続けていくというのは大事な作業になると考えている」と答えてくれた。

 士業の集客に役立つのでスムーズな提携ができるのか、と納得しかけたが、それは半分の理由らしい。士業の悩みは大きく二つあり、まずは集客。しかし、集客はできても煩雑な顧客管理で悩んでいる人も多いとのこと。この場合、後者は集客には魅力を感じることはない。そこでGozalは、専門家の各事務所のページを作り、ブログのように記事を投稿できるようにしている。Gozalが集客したオウンドメディア上で、顧客とコミュニケーションする場として活用できる。さらに今後は、顧客の企業をGozalに招待するといった機能も追加する予定だという。

 「士業のみなさんに向けたクラウドサービスはほとんどないため、そういう意味ではブルー(オーシャン)な市場なのでは、考えている」(高谷氏)

2015年12月に約1億円を調達、今年5000社、
来年3万社、4年目までに10万社の獲得を目指す

画像提供:BEC

 「資金調達は昨年12月に約1億円を実行し、次も近く予定している。9割が人材維持費となる。対外的な外回りは私がやって、いろいろなデータを持ち帰ってチームで協議して、開発を進めるというスタイル。エンジニアの採用はうまくいっていて、基本的に今年度内の採用はすでに達成した。そのメンバーがいかに集中できるか、楽しく働けるか、というのを作っていきたいというフェーズ」(高谷氏)

 Gozalは現在無料で利用できる。将来の収益・ビジネスモデルはどうなっているのだろうか。

 「ユーザー企業から月額の利用料をいただく予定になっている。現状は無料で使ってもらっているが、7月から月額980円でご案内する予定」だと高谷氏。

 月額980円だと、売上高を上げるには相当数の有料会員ユーザーを取る必要がある。高谷氏は、日本の中小企業の9割は従業員20人以下のため、そこを押さえに行くとしている。スタートアップ・中小企業向けのツールのクオリティを上げて、しっかりそのポジションを取りにいくそうだ。

 Gozalのポイントは、まだまだ全貌が見えないところにある。当初クラウド上でのマッチングから始まったサービスだが、自動作成クラウドソフトウェアなど段階を追って、整備が進んでいる。5月31日には、新たに「Gozal給与計算」をリリースし、人事・総務も含めて領域拡充を図るなど、総合的に中小企業を支援するツールとして改善を進めている。Gozalのサービスを見るとかなり細かいところまで詳細にケアを行っているように見えるが、実際使ってみるとまだもの足りない点も当然ある。クラウドバックオフィスの完璧なサービスはそもそも難しいようだ。

 現在のメインサービスとなるGozal会社設立リリースに至るまで、開発・検証には1年半もの月日がかかっている。それだけ手間のかかるものであり、高谷氏によれば、このような形での新機能開発はまだまだ進んでいるようだ。中には独自の特許取得を目指すものもあり、サービス自体のコモディティ化を防ぐ部分で価値が出せれば、その存在感はより増すだろう。

 「基本的にはサービスの売り上げをしっかり固める。中小企業は400万社あり、総務省の発表ではクラウド利用率は33%になっている。130万社くらいはターゲットになるので、そのシェア10%を狙う。今年は5000社、来年は3万社の獲得を目指し、そのうち10%が有料会員になる想定。さらに3~4年以内には10万社が目標。上場準備期に売上高6~7億円くらい達成していきたい。まだまだ若造というところもありつつも、そこも活かして、新しい取り組みをしていこうと思っている」と熱く語る高谷氏。

 将来、20名以下の会社が大きくなったときは、エンタープライズ版を開発して提供する可能性もあるという。これから起業する人は、まずはGozalにお世話になる、というケースも増えるのではないだろうか。

●株式会社BEC
2014年1月28日設立。クラウド上で、弁護士や司法書士に相談・依頼ができるサービス「Gozal」を2014年8月にリリース。2016年2月には会社設立に必要な書類を自動生成し司法書士の全書類チェックが受けられる「Gozal会社設立」をリリース。続く2016年5月に「Gozal給与計算」をリリースし、HRTech領域の機能も拡充し、総合的に中小企業を支援するツールとして改善を進めている。
2014年12月にサイバーエージェント・ベンチャーズを引受先とする第三者割当増資、2016年1月にはCA Startups Internet Fundほか計4社より約1億円の第三者割当増資を実施。
社員数は2016年6月現在で10名。

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