Astell&Kern AK300の発売が6月11日に決まった。価格はオープンプライスだが、販売代理店アユートのオンライン直販サイト“アキハバラ e市場”での価格は12万9980円。
AK300は、4月に開催された“春のヘッドフォン祭 2016”で発表された製品で、Astell&Kernのトップエンドモデルである「AK380」のデザイン性や音質などのエッセンスを継承しつつ、より低価格に購入できるようにした製品。
といっても10万円オーバーの製品となり、かつこのセグメントは国内ブランドのハイエンド機種がひしめくところでもある。激しい競争があるエリアだ。
DACの数とメモリー容量以外はほぼAK320と一緒で薄型化
発表時の価格は上位機種AK320(24万9980円)のほぼ半分。違いはDAC IC(AK4490)をデュアルモノではなくシングルで利用している点、内蔵メモリーの容量が64GBになる点など。対応フォーマットはPCM/ネイティブ再生が最大192kHz/24bitまで。最大5.6MHzのDSDや最大384kHz/32bitのPCM(DXD)などにも対応するが、PCM変換となる。
DXDやDSDをネイティブ再生できる、AK380とは差が付く部分だが、AK320との差は意外と小さいと言えるかもしれない。200フェムト秒のVCXO Clockの採用やヘッドフォンのバランス駆動、高精度なパラメトリックEQなどは上位機種から継承している。
本体はアルミ素材で、カラーは濃紺。本体サイズは幅75.15×奥行き15.45×高さ112.4㎜で、重量は約205g。縦横は同じだが、薄さはAK380の17.5mm、そしてAK320の16.5mmよりもさらに約1mm薄くなっている。一方で、AK Recorderやクレードルなど、AK380、AK320用の周辺機器に関しては利用できる。
正式発表に伴い、サンプル機の試聴をする機会があった。聞きなれたヘッドフォンと組み合わせて聴くと、1/4程度の価格でありながら、AK380のテイストを予想以上に継承していることに気付く。もちろんDACがデュアルモノとシングルでは構成が違うし、本体が薄型化したことに伴い、内部構造にも多少変化があると想像するが、AK300シリーズらしい音だなと感じた。
AK380との差としては、空間の広さやS/N感、音の切れ込みというか無音・弱音部分の沈み込みなど。シングル構成とはいえ、AK4490を使用する機種自体が限定されていることもあり、レアな存在でもある。
いくら高音質と言っても、AK320やAK380を手にできる層は限定されると思う。競合機種とは今回比較視聴できなかったが、10万円前半の競合ひしめく価格帯(逆に言えば、このぐらいなら出せるという層が多いところ)で、存在感を示せるだろうかは興味深い。
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