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筆者の元にもようやく届きました♡

Oculus RiftとHTC Vive、実物をかぶって改めて感じた「VRで触れる」の重要性

2016年05月29日 10時00分更新

文● 広田 稔 編集●飯島恵里子/ASCII.jp

VR業界の動向に日本一詳しいと自負するエヴァンジェリスト「VRおじさん」が、今週のVR界の出来事をお知らせします!

出荷が遅れていてハラハラしたOculus Riftも、HTC Viveも筆者の元に届きました! キャー!

 どもども! VRおじさんことPANORAの広田です。今週は23〜27日、カナダのケベックにて、世界中からVRカメラマンが集うIVRPA(国際VR写真協会)の「Québec 2016」が開催されていたり、VR業界でもその処理能力の高さが期待されている新グラフィックカード「GeForce GTX 1080」が27日に深夜販売されたりと、ニュースが絶えないVR業界です。

 それはさて置き、今週はOculus RiftとHTC Viveが筆者の元にもようやく届いたこともあって、両方を触ったうえでの違いを語っていければと思います。

Oculus Riftは、米Facebook参加のOculus VRが手がけるVRヘッドマウントディスプレー

HTC Viveは、PC向けコンテンツ配信プラットフォーム「Steam」を手がける米Valveの「SteamVR」構想を元に、台湾のHTCが製造したVRヘッドマウントディスプレー


ハンドコントローラーが……ほしい!

 Riftの出荷が遅れているのは、5月頭の本連載記事で触れたとおり。その後、1ヵ月で状況が徐々に改善されつつあり、ようやくKickStarterに出資してプレゼントされた人や、プレオーダー初日の最初に申し込んだ人に届きつつあるようです。VR業界の猛者が集まる筆者のTwitterでも到着報告が聞かれています。もちろんまだ届いてないとの声も多いですが……。

 そして! 筆者も寄稿しているPANORAでも、凄腕メンバーがプレオーダーが開始直後に注文してくれたOculus Riftが届きました! あまりに嬉しすぎて開封の儀の記事を書いてしまいましたヨ。そして、実はその前にも、以前の連載記事で紹介した、Viveも届いておりました。VRおじさんなので、一応は「VR元年」にふさわしい最新機器を手元に揃えられたということですかね。

 そして両者を触ってみると、結構な体験の差が見えてきました。一番はバーチャル空間の物体に触れるかどうかです。

 VRヘッドマウントディスプレーは、かぶると視界が覆われて、周囲を360度見渡せるようになるというのが、既存のディスプレーとの大きな違いです。例えば、テレビのバラエティー番組なら、ひな壇に360度カメラを置いて、まるで出演者になったような感覚で体験できるでしょう。

Viveのコントローラー

 ただ、映像の中に本当に入っている気分(プレゼンス、実在感)が高まれば高まるほど、不思議と人間は手で触って確かめたくなるものなのです。その点、Viveには2本のハンドコントローラーが付属しており、人差し指のところにあるトリガーを引くことでVR空間のものをつかむことができます。そのまま別の場所に持って行って、トリガーを開放すれば置くことが可能。頭の動きで周囲を見渡せるのと同じく、直感的に手でバーチャル世界に干渉できるのが非常に気持ちいい。

 一方、Riftは、現状、Xbox Oneコントローラーかリモコンの「Oculus Remote」を使います。確かに、アクションゲームの「Lucky's Tale」などは十字キーやアナログスティック、ボタンで指示した方が楽なのですが、コロプラのパズルゲーム「Fly to KUMA」などでは「ああっ、これ手で触れたらいいのに……」とモヤモヤしてしまうこともしばしば。


今年後半、ハンドコントローラー競争が勃発

 もちろんOculusも、「Oculus Touch」というハンドコントローラーを開発していますが、残念ながら今年下半期の発売、つまり最速でも7月からのリリース予定となっております。このTouchも筆者は過去に体験しました。一言で言えば、ヒジョーに素晴らしい。Viveのコントローラーは、形状から棒状の道具を使うシチュエーションの再現に向いていますが、半円状のTouchはどちらかといえば「手」の再現。例えば、ボタンなどの表面に接触センサーが付いていて、つまむ前に触れているかどうかといった表現まで可能にしてくれます。

Oculus Touch

 そうしたよさを知っているだけに、Touchなしで発売されたRiftが非常に惜しい……! 国内ではViveがほとんどプロモーションされてこなかったため、Riftの知名度が圧倒的に高かった状況でしたが、Riftの出荷遅れもあってViveの存在感がぐいぐい増している昨今です。クリエイターにとっても、よりインパクトのある体験をつくりたいので、そうするとハンドコントローラーが使えるViveに移る動きがあります。「ニコニコ超会議 2016」などのイベントを見ても、ずいぶんViveの出展が増えました。

 今年10月に発売予定のPlayStation 4向けVRヘッドマウントディスプレー「PlayStation VR」でも、ハンドコントローラーの「PlayStation Move」が別売ですが用意されています。先週取り上げたグーグルが秋に発売を予定している高品位モバイルVRプラットフォーム「DayDream」でも、動きを取れるハンドコントローラーを披露していました。

 つまり、今年後半以降のVRコンテンツでは、ハンドコントローラーの活用が当たり前になるということです。このVRの操作には、動きを使うのがいいのか、コントローラーがいいのかはクリエイター側でも議論があって難しい問題です(詳細はPANORAの記事で)が、当初は「触りたい」という欲求をかなえてくれるコンテンツで、やみつきな体験を生み出せたものがキラータイトルになるのかもしれません。

 ちなみにHTC Vive、PANORA主催で本日5月29日の16時より開催するVR系交流会「VRまつり2016春」に持っていきますので、ご興味ある方はぜひご参加下さい〜。


広田 稔(VRおじさん)

 フリーライター、VRエヴァンジェリスト。パーソナルVRのほか、アップル、niconico、初音ミクなどが専門分野。VRにハマりすぎて360度カメラを使ったVRジャーナリズムを志し、2013年に日本にVRを広めるために専門ウェブメディア「PANORA」を設立。「VRまつり」や「Tokyo VR Meetup」(Tokyo VR Startupsとの共催)などのVR系イベントも手がけている。


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