PCゲームのダウンロード販売サイト『Steam』から、面白いゲームを発掘して紹介するレビュー連載。第33回目は、王を殺す命令を受けた暗殺者となって城に潜入するステルスアクション『Shadwen』を紹介する。
Shadwenは、2Dアクション『Trine』シリーズを開発したFrozenbyteの最新作だ。プレイヤーは道中で命を救うことになった少女を連れ、王がいる城を目指して長い長いステルス旅をすることになる。
しかし「子連れのステルスアクション」とも言える本作の特徴は、なんと言っても時間を巻き戻せること。移動中に衛兵に見つかってしまっても、好きなタイミングまで自由に時間を巻き戻せるのだ。これにより、ミッションをリトライするのにかかる時間を極限まで減らすことができる。
あとはカンタン。少女を連れたまま「不殺」プレイをするのか、それとも安全に「皆殺し」プレイをするのか。それはプレイヤーの自由である。
衛兵の目をごまかして先へ進め!
まずはゲームのルール、チュートリアルから説明していこう。プレイヤーは少女“リリー”を操作して、本作におけるステルスの基本を学んでいく。
と言ってもほかのステルスアクションと基本はだいたい同じであり、「衛兵の後ろを通ると気づかれない。走ると足音がするため、近くを移動するときはCtrlでしゃがみ移動。衛兵がこちらを向いていても一定距離に入るまでは見られていない」といった具合だ。
そのほかに葉っぱの多い立ち木や積みわらに隠れると、どんなに衛兵に近づかれてもステルス状態を維持できるというものもある。
また、Shadwenではオブジェクトごとに物理演算を利用しているのも重要だ。例えば樽や木箱は押して動かせるし、樽の方はそのまま転がすこともできる。下り坂まで運べば勝手に転がっていくため、あとは衛兵がそちらに気をとられるためそのスキに、といったプレイも可能になるのだ。
警察を呼ぶのも良いが……、それで静かになる保証はない。
ロープアクションを身に付けろ!
ステルスの基本を覚えたら、次はプレイヤーが主に操作することになる主人公の暗殺者“シャドウェン”でのプレイが始まる。
序盤はアイテムのクラフトとロープアクションを学ぶ。
フィールドには宝箱が点在しており、そのなかに素材が入っている。設計図を入手していれば、それらの素材と組み合わせることでさまざまな便利アイテムをクラフトできるのだ。
そして、序盤でクラフトするアイテムがロープの付いたホックというわけだ。ホックは右クリックで発射し、左クリックで自由に離すことができる。また、ホイールをクルクル回すとロープを巻取れるため、高い場所にホックを掛け、そこまでするすると登っていくといったアクションも行える。
フィールドにはロープをかけられる柱が多数あるため、この序盤でジャンプ→ホック発射→ロープを使ってのジャンプなどの移動のスキルを身につけないと苦労することになるだろう。
時間を巻き戻す能力
「そんな何度も練習するなんて面倒くさい」と思う人もいるかもしれない。しかし、イヤでも練習することになる。
と言うのも、先へ進もうにもこのロープアクション、なかなか難しいのだ。慣れないうちは何度も失敗し、そのまま高所からの落下死を繰り返すはずだ。いやホント自分のヘタクソっぷりがイヤになる。
けれども、何度死のうがShadwenでは安心だ。なぜなら自分の好きなところまで時間を巻き戻せるからだ。
Shadwenでは落下したり衛兵に撃たれたりして死んでしまった場合、“R”キーを押しているあいだだけ時間を巻き戻すことができる。これは、押し続ければ一番最初に戻ることだってできる。もちろんそれは死んでなくてもできる。
そして死んだ場合は、このRキーで死ぬ直前――プレイをミスする直前まで巻き戻せば良いわけだ。そこから自分が思う正しいプレイに挑戦してみよう。成功すれば先に進めるし、ダメだったとしてもまた巻き戻せばいいだけだ。
そのほか、何もキーを押していないときは周りの時間が停止する仕組みもある。キーを押していないためこちらも動けないが、周りの状況をよく確認したいときには便利だ。ただまあ正直なところ失敗しても時間を巻き戻せば良いだけなので、時を止める機能はあまり使わない。
むしろ潜伏中に衛兵が通りすぎるまでの時間を待つのが面倒で、早送りボタンがあれば良いなぁと思ったくらいだ。
トラップで道を切り開け!
この時間の巻き戻しを使えば、普通は衛兵に見つかったことにせずに先へ進むことができる。しかし、ときには衛兵が全く動かないため先に進めない、という場面も出てくるはずだ。
そういうときオブジェクトを使ってなんとか誘導するのも良いが、トラップを活用するのも有効だ。
例えばネズミを使ってつくれるデコイを放てば、衛兵は音がする方向に吸い寄せられていく。プレイヤーはそのスキに先へと進んでしまえば良い。また、おびき出した衛兵の後ろに回ってグサリとやれば、もはやその道は通り放題だ。
もちろん、地雷や毒矢などを使えばシャドウェンが直接手をくださずとも衛兵を倒すことはできる。
ただし、大きな音がでるトラップはほかの衛兵に気付かれやすい欠点がある。衛兵は侵入者に気付くと警戒モードになり、さらに仲間を呼び寄せる。できるだけ見つからないように動くのがコツだ。
殺すか、殺さざるか
実際のところShadwenでは、衛兵に見つからず先へ進むのはかなりカンタンだ(少なくとも序盤の数時間のプレイのうちは)。柱から柱へロープアクションで移動すればまず気付かれないし、衛兵の移動ルートもほとんど決まっている。
そして連れであるリリーの移動ルートの確保もカンタンだ。というかリリーは衛兵に完全に無視されているように見える。一応リリーに対して「ここに行け」と指示を出すこともできるが、リリーは勝手についてきてくれるし、衛兵のすぐそばを通っても見つからない。
このあたりは今後のアップデートでの要調整なのか、それともシステム上「安全と判断している」のかは分からない。
問題なのは、リリーが近くにいると暗殺しづらいことだ。シャドウェンはリリーに対して自分の目的を教えていないため、リリーがいる前で衛兵を殺すとリリーからの信頼度が下がってしまう。
信頼度が下がるとどうなるか――はまだ分からないが、ろくなエンディングを迎えないことだけは分かる。筆者はこの注意書きを見過ごしてこれまで全殺しプレイをしていたため、後からやり直さないとベストエンディングは厳しいだろう。
それでも、時には衛兵を殺さないと難しい場面もある。そういうときにどうするか? 信頼度を犠牲にする? 時間を巻き戻してうまく行くまで頑張る? トラップに頼る? どんなプレイをするかはプレイヤーの自由である。
と、ちょっと小難しいことを言ってしまったが最後にこれだけは伝えておく。
全殺しプレイめっちゃ楽しいです、はい。
Shadwenの推奨動作環境は?
最小システム要件にIntel HD Graphics 4000があり、推奨システム要件でGeForce GTX560/RADEON HD6850と、旧世代のミドルクラスのGPUが指定されていることから、「画質・解像度を下げると負荷がかなり軽くなる部類」と思われる。
Core i7-3770(3.4GHz)、GeForce GTX960を搭載するPCで試してみると、アンチエイリアス設定を“Very High”にした場合、プレイ中平均45fps前後だったため、最高設定で遊ぶならもうワンランク上のGPUが欲しくなる。
『Shadwen』
●Team17 Digital Ltd
●1480円(2015年8月12日リリース) ※価格は記事掲載時点のものです
●Frozenbyte
●1680円(2016年5月17日リリース) ※価格は記事掲載時点のものです
対応OS Windows、Mac、Linux
ジャンル アクション、アドベンチャー
© 2016 Frozenbyte Oy. All rights reserved.
■著者:篠原修司
・Steamのプロフィールページ:Steam コミュニティ :: KiDD
・Twitter:@digimaga
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