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IoT生活が見えてくる、ドコモのスマートロック実証実験

2016年05月25日 16時00分更新

 先週に続いて、ドコモの夏モデル発表会であまりスポットライトが当たっていなかった話題を取り上げてみます。

 今回はスマホで玄関ドアを開けるスマートロックと、家事代行サービスを組み合わせるという、IoTを実生活に活用する話です。

スマートロックと相性の良い家事サービス

 ドコモは夏モデル発表会で、新サービス「dリビング」を発表。これまで「家のあんしんパートナー」として提供してきた家事代行サービスなどを、リニューアルしました。

 ただ、この家事代行やハウスクリーニングといったサービスを利用するには、業者に自宅の合鍵を預けなければならない、という問題がありました。鍵を預けるとなれば、紛失や悪用といったリスクも考える必要が出てきます。

 そこでドコモは、物理的な鍵を預けることなく、スマホアプリから開け閉めできるスマートロックを活用し、家事サービスの業者とソフトウェア的に鍵をシェアするという実証実験を始めるとのこと。

実証実験の全体像。スマートロックと家事代行、室内カメラを組み合わせた、かなり本格的にIoTを活用している。

 スマートロックには、「Qrio Smart Lock」を利用。玄関ドアについている内鍵(サムターン)を挟み込み、モーターで回転させるアダプターを取り付けることで、Bluetooth接続したスマホから開錠や施錠が可能になります。

IoTデバイスとして紹介される機会も多い「Qrio Smart Lock」。物理的な仕組みは比較的単純で、多くの玄関ドアに取り付けできる。

 Qrioのアプリには、第三者と鍵をシェアできる機能があります。特定のユーザーに対し、ある時間帯だけ開錠できるよう許可したり、一定時間の経過で自動的に施錠したりするなど、細かな設定が可能です。

Bluetoothで接続したスマホのアプリから操作し、モーターを回転させて開錠や施錠ができる。アプリの設定も細かい。

 一般に、家事代行の業者は特定の時間に訪問し、玄関ドアを開けて室内に入ります。Qrioの機能は、こうした一時的な訪問者を迎え入れるのに打ってつけといえます。

IoTが実生活を便利にする分かりやすい事例

 最近のIT業界で「IoT」は流行語のように広く使われているものの、それが我々の社会や生活やどう変えていくのか、分かりづらい概念でもあります。莫大な数字とか、夢物語のような話が先行しているのも事実です。

 だからといって、個々のIoTデバイスに注目するだけでは、そのメリットはあまり見えてきません。スマートロックも、「スマホでアプリを立ち上げるより、物理的に鍵を差し込んで回す方が早いのでは?」と感じる人も出てくるでしょう。

 しかしIoTの面白いところは、鍵や鍵穴というハードウェアはそのままに、ソフトウェア的に機能を拡張できる点にあります。後から機能を追加することができるのは大きなメリットです。一方で、機能が増えれば悪用のリスクも増すことになるため、セキュリティ面の評価はより重要になるでしょう。

 実証実験の対象地域は東京23区などで、6月17日までにWebサイトで申し込んだ中から50名を選出。Qrioなど必要なデバイスは無償貸与、家事代行サービスを3回まで無料で利用できるとしています。

 参加条件として、月額450円の「家のあんしんパートナー」を契約している必要があるものの、参加にあたって大きな負担はなさそうです。

室内カメラとも連動する完成度の高さ

 今回の実証実験で注目したいもう1つの要素が、「スマカメ」との連携です。プラネックスコミュニケーションズによるネットワークカメラ製品で、外出先や仕事場から自宅の様子を簡単に見ることができます。

スマホと連携できるネットワークカメラ「スマカメ」。

 ドコモによれば、家事代行の業者が入室し、室内での作業が始まるとスマホにプッシュ通知を飛ばせるとのこと。これはスマカメの「みまもりモード」を利用することで、カメラの映像を動体検知し、動きがあったときにスマホに通知するという機能です。

 外出先から室内の様子を確認したり、リアルタイムで見られない場合には録画したりできるスマカメもまた、家事代行サービスと相性の良いデバイスといえます。

 全体像を見ると、それぞれに相性の良い家事サービスとスマートロック、スマカメを協調させており、実によく練られた、完成度の高いシステムという印象です。まさに近未来の「IoT生活」を先取りした実験になるでしょう。

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