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『Appleにサービスを売却する!』と意気込み、世界市場に挑む

「改善・分析だけでは不十分」アプリ成長支援サービスReproはどう伸びた?

ツールだけでなくそれを活かすサービスで利用者獲得

 技術的に満足ができるレベルのソフトが完成したにもかかわらず、ほとんど評価されなかった原因はどこにあったのか。

 「自分自身はウェブサイトの利用状況を動画で分析するサービスを使ってみて、自社サイトの問題点がどこにあり、それをどう改善すればいいのかを理解し、その通り改善すると売上が上がるという経験をした。ところが、実際にそういう使い方ができる人はそもそも少ないことがわかった。改善に資するデータを提供するだけだと、響く人は限られている。多くの人が欲しがっていたのは、分析機能ではなく、効果そのものだった」(平田氏)

 平田氏自身はウェブサイトを改善するための動画分析サービスを使いこなし、実際に売上に反映されるというサイクルを体験していたが、そのような形で動画分析サービスを使いこなすことができる人はごく限られていた。多くのアプリ担当者の望みは、改善点を見つけ出す分析サービスそのものではなく、改善すべき点を明らかにして、さらにその改善された際に打つべき手をサービスとして提供してほしいというものだった。

 分析機能だけではユーザー獲得は難しい。その事実を目の当たりにした平田氏は、「Reproを使うと効果がある」という結果を実証させるため新たな機能開発に着手する。

 「先端企業がどのようなアプリ内マーケティングをやっているのかを調査した結果、アプリユーザーをロイヤルカスタマー(優良顧客)化するためのマーケティングオートメーションを実現する機能が必要だと感じた」(平田氏)

 一般的なアプリ内マーケティングの一例は、アプリを利用しているユーザー全体にプッシュ通知などを送付し、購買や課金につながるようなアクションを促すといったものだ。しかし、Reproを利用すれば、アプリユーザーの離脱パターンごとにプッシュ通知やアプリ内メッセージを送ることができる。そうすることで、ユーザーごとに最適化したコミュニケーションをとることができ、目的とするアプリ内行動の達成率改善に寄与できる。

 多くのアプリ事業者は共通する2つの悩みを抱えている。ユーザーがなかなか定着せず、リピーターが増えないという問題。さらにマネタイズに貢献するユーザーの割合が増えない、コンバージョンレートが上がらないという問題だ。

 「その2つの問題を解決するのがRepro。定量分析・定性分析・マーケティングという3つがユーザーの行動データと密接に関係して利用できるのはReproだけで、海外のユーザーが評価してくれるのもこの点にある。実際に海外のユーザーからは、『Reproがクールなのはこの3つが有機的に連携しているからだよ』と言われている」

画像提供:Repro

定量分析・定性分析・マーケティングという3つの源

 パソコンからスマホへ、利用者のデバイスが変わったことでサービス事業者の環境も大きく変化した。Reproはその変化に合わせてサービスを充実させている。

 「パソコンのWebサイトの場合、利用者の動向を調査した結果を即サイト改善に役立てることができている。ところがスマホアプリは、改善したものをAppleなどアプリストア経由で提供するまで、審査を経なければならない。完全なリアルタイムでの改善をすることは不可能。そこでReproでは、アプリのユーザーテストが事前にできる機能も用意している。スマホを持ってもらって、実際にアプリを利用しながら感じたことを喋りながら使ってもらう、いわゆる発話思考法を実践できるように、声や表情を収録し、さらにサイト上での動きの様子も一緒に録画する機能を設け、アプリストアにローンチする前にアプリのUIや機能改善の支援につなげている」(平田氏)

 こうした機能改善は、Reproのユーザー企業からの声をもとに実現したものだ。平田氏自身がユーザーの声を受けて機能改善、新たなサービス作りに取り組んできた。定量分析・定性分析・マーケティングという3つのコアを有するサービスの提供には、利用企業の声が色濃く反映されている。

 現在ではECアプリだけにとどまらず、ゲームやメディア、SNSなど、幅広いアプリサービスにも広がっている。利用者が定着しない悩みを抱えるアプリ事業者は数多く、その利用企業の国籍も日本だけではない。

 「受賞歴などもあり、スマートにやってきたように見えるかもしれないが、実態を知っている人は、『あいつら苦労してやっているな』と思うのでは。3つのコアとなるサービスも、リアルなお客様の声を受けてでき上がったもの」だと平田氏が言うように、ユーザー企業の実態に合わせ、立ち上げから期間を集中してサービスを拡充してきたことが同社の大きな強みとなっている。

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