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GSM/W-CDMA/LTEで使われるモバイルネットワークの周波数を整理する

2016年04月16日 12時00分更新

 スマートフォンなどで身近になった「モバイル・テクノロジー」。この連載では、モバイル関連の技術を、できるだけ元になる文書に当たりながら解説していく。

スマホのスペック表で
見ることが多くなってきた対応周波数

 携帯電話やスマートフォンの対応周波数は、SIMフリー端末の普及とともに記載されることが多くなってきた項目で、バンド番号で表記されることが多い。

ASCII.jpの記事でもスマホのスペック表には、このような対応周波数が記される機会が増えてきた

 このバンド番号は、3GPPという団体が発行している文書に定義がある。3GPPは3G方式のベースとなったIMT-2000の策定時に日本やEU圏などW-CDMA方式(EU圏ではUMTSと呼ぶのが一般的)を推進するために作られた団体で、W-CDMAやLTEの仕様定義を行ない、文書などを発行している。

 またEU圏では、2G方式としてGSMを推進していた関係から、GSM関連の文書も発行しており、これにあたることでGSM/W-CDMA/LTEの3世代にわたる技術仕様を入手することができる(3GPPホームページ、http://www.3gpp.org/

 3GPPやその規格書のシステムなどについては今回は解説しないが、この連載で随時紹介していく予定である。

 さて、3GPPにある周波数の定義は、GSM/UMTS/LTEの各規格文書のうち、端末側(UE、User Equipmentという)や基地局(BSまたはNode-Bなどと呼ぶ)の無線関連の定義にある具体的な文書としては、

●GSM
TS 45.005 Radio transmission and reception
http://www.3gpp.org/DynaReport/45005.htm

●UMTS
TS 25.101 User Equipment (UE) radio transmission and reception (FDD)
http://www.3gpp.org/DynaReport/25101.htm
TS 25.102 User Equipment (UE) radio transmission and reception (TDD)
http://www.3gpp.org/DynaReport/25102.htm

●LTE
TS 36.101 Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); User Equipment (UE) radio transmission and reception
http://www.3gpp.org/DynaReport/36101.htm

となっている。たとえば、GSM方式のTS 45.005という文書では、下の画面のようにバンドの定義を行なっている。GSM方式では、3Gや4Gと違い、各バンドに名称がある。また、EU圏では鉄道用などに利用されているため、それらの定義も入っている。さらにスマートフォンのカタログなどでは、周波数そのもので表記することが多い。

TS 45.005で定義されているGSMのバンド。T-GSMは中継用、R-GSMは鉄道用を意味する

 これに対して3Gのバンド定義は、上り/下りに別々の周波数を割り当てるFDDと、同一の周波数を時間で区切って、上り、下りで共有するTDD方式では、別の文書となっていて、FDDはローマ数字によるバンド番号表記、TDDは、アルファベットによるバンド番号表記となっている。そのこともあって、メーカーのカタログなどでは3Gの表記にローマ数字を使うものもあるが、一般向けのメディアではわかりやすくアラビア数字を使うケースも少なくない。

TS 25.101によるFDD方式のUMTSのバンド定義。オリジナルの文書ではバンド番号はローマ字表記

TS 25.102ではTDD方式のバンド定義が行なわれている。TDDのUMTSではバンド番号はアルファベット小文字を使う

 LTEのバンド番号は、FDD、TDDが同一の文書で定義されていて、こちらはバンド番号にアラビア数字を使っている。

LTEのバンド定義は、TS 36.101にある。LTEのバンドは、UMTSよりも多い。バンド番号で32までがFDD方式で、33からTDD方式となる

 なお、これらの文書には、バージョンがある。基本的に3GPPのほとんどの文書は、機能の追加や拡張などに対応して改訂されていく。基本的には最新のもの(各ページで上にあるもの)を選べばいい(このページの見方なども別途解説予定)。

 ただ残念ながら、全体をまとめた文書がないため、ドキュメントを元に筆者が作成したものが下の表だ。

3GPPのドキュメントにあるバンドの定義をまとめた。本文にあるドキュメントより筆者作成

 基本的に3Gのバンドは、すべて4G側でも定義されているが、4Gのバンドの中には3Gで定義されていないバンドがある。

 また、各バンドに通称が付けられることがある。たとえば米国の1900MHz帯(バンドⅡ/2)は、PCS(Personal Communication System)バンドと呼ばれる領域にあったため、PCSバンド、PCS1900などと呼ばれていた。各国の電波管理機関などの文書では、このように通称を使うことも多い。

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