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ファーウェイの端末事業幹部がスマートフォン戦略を語る

スマホで世界3位からさらに上を狙うファーウェイ、日本市場にも根気よく

2016年02月23日 20時00分更新

 世界のスマートフォン市場で3位の地位を確立したファーウェイ。しかし、同社はゆくゆくはナンバー1を狙っている。だがスマートフォン市場そのものの成長は一段落している。そんな状況でのファーウェイのグローバルでの戦略はなにか? MWC 2016で同社の端末戦略およびビジネス開発部門バイスプレジデント、Li Chang Zhu氏が日本の報道陣の質問に答えた。

今回話をうかがったファーウェイの端末戦略およびビジネス開発部門のバイスプレジデント、Li Chang Zhu氏

世界のスマホ市場で3位の地位を確立
さらにサムスン、アップル越えを狙う

 リー氏はスマートフォン市場全体について、成長の鈍化を認めて次のように話す。「ここ数年、グローバルのスマートフォン市場は成長が緩やかになっている。2015年の成長率は約9%、最大の市場である中国でも10%だった。この傾向は当分続くだろう」。

 だが市場トレンドに甘んじないのが、粘り強さで知られるファーウェイだ。「この状況でも大きなチャンスはある」と語る。実際にインフラ事業でもNokia、Ericssonといった既存の確立されたベンダーを相手に、後発ながら今や市場の流れを変える存在となった。NokiaとAlcatel-Lucentの合併など、この分野で進む再編もファーウェイとの競争の結果によるところが大きい。

 ではファーウェイが見ているチャンスとは何か? 成長市場と新興国市場で起きている2つの現象だ。「日本、韓国、米国、中国などの国では、スマートフォンは飽和状態だが、買い替え需要も起きている。一方、アフリカ、中東、アジア、ラテンアメリカなどの新興国では市場は速いペースで成長している」とし、「世界全体の市場をみると増分は限られているが、市場を細分化していくと大きなビジネスチャンスが潜んでいる」と見立てを明かす。

優れた製品、販売網とブランドの強化が重要
Windowsタブレットにも力を入れる

 そのファーウェイの戦略は「豊富な製品ラインナップ」「販売網の強化」「ブランド認知」の3つだ。

 100ドル程度のエントリーレベルから600~700ドルのハイエンドまで多彩な機種を揃えており、それぞれのターゲット層のニーズを満たす製品の開発を続けていくと語る。「Richard(同社デバイス部門トップのRichard Yu氏)がトップ3からトップ2を目指し、最終的には1位に向かって努力するという目標を打ち出したが、戦略として何を行なうのか……まずは優れた製品を作ることだ」と言う。

 具体的には、「通信、カメラといった基本的な機能をしっかり作り込み、コンテンツ側でも(クラウドにある)情報の取得や処理が容易になるような機能などに力を入れる」とし、クラウドからデバイスのエコシステムが重要になるとした。

 端末側の改善にあたって、キーワードは“体験”だ。消費者の体験が向上するような革新的技術の開発を続けていく。体験では、サービスの強化も考えているようだ。「スマートフォンを使い始めたときに、体験がスタートする。端末側の機能は複雑化しており、操作方法やよりよく使いこなすことができるための支援を考えている」という。ここでは、ユーザー向けのサービスセンターのようなものを立ち上げるようだ。ユーザーだけでなく、販売代理店などのパートナー企業のスタッフのトレーニングとしての役割も担うことになる。

 2点目の販売網は携帯電話事業で大きな要素となるが、これについても強化していくという。各国、各地域にチャネルパートナーを持ち、これらの販売チャネルを通じて販売していく。

 「スマートフォンはさまざまな販売チャネル、販売手法があり、複雑で多様化している。この分野において10年以上の経験があるが、オープンマーケット、通信事業者との協力、代理店との関係を強化していく」と述べる。強化点としては、販売チャネルとの利益共有のための仕組みづくり、物流、ITシステム、生産システムなど多岐にわたることになりそうだ。平行して、地域にあわせた販売も重要視しているとした。

 これに加えて、すでに中国などで展開する直営店、それにパートナーと協力して作る販売店舗についても投資を拡大する。「すでに世界に2万3000店舗を持つ。今年は新たに1万6000店舗をつくり、4万店舗を目指す」とLi氏。地域としては、中国、アジア太平洋、中東、ラテンアメリカなどに加え、日本の名前もあげた。

 3点目のブランド認知については、「(ブランドランキングの)Interbrandの調査(「Best Global Brands」)では、2014年に94位に初登場し、2015年には88位に上昇した」と胸を張る。今後もマーケティングに投資を継続し、ブランド認知をさらに上げていくとした。

 このように、市場の鈍化はあってもスマートフォンはファーウェイにとって今後も重点分野となる。ここでは、”スマートフォン事業の強化が迫りつつあるIoTで先んじることにつながる”という狙いもありそうだ。

 「スマートフォンはすでに人々にとって不可欠なツールであり、パートナーになった。今後、IoTとしてスマートホーム、自動運転といったサービスが広がるときに、スマートフォンが中心的な役割を果たすだろう」。なお、ファーウェイはIoT向けの「LiteOS」を開発するなどスマートホーム向けプラットフォームにも投資しており、「OS、チップセット、接続システム、クラウドをセットにしてパートナーに提供したい」と語った。

 MWCでは2in1型のWindows 10搭載タブレット「MateBook」を発表し、ビジネスユーザー向けのWindowsタブレット分野に参入した。すでに展開するAndroidタブレットとあわせて、タブレットも重視する。「2in1のWindowsタブレットはビジネス市場においてこれまでの製品に取って代わることになるだろう。これについても期待している」と、PC分野でも積極的に攻める姿勢を見せた。

IFAやCESなどの大規模イベントのたびにスマートフォンを発表していたファーウェイだが、今回のMWCではWindowsタブレットタイプの2in1デバイスの発表だった

日本はiPhoneがスマホの過半数を占める難しい市場も
根気よく日本市場での模索を続けていきたい

 最後に日本市場についてもコメントした。「日本はスマートフォンでは2600万台の市場だが、そのうちの半分以上がiPhoneだ。見方によっては、新規参入が難しい、絶望的と言われているが、ファーウェイはけっして日本市場を諦めることはない」と語る。

 日本市場は品質への要求レベルが高く、販売手法、販売チャネルについても独自の特徴のある市場で、海外メーカーにとっては難しい市場と言われているが、同社は今後も日本市場での取り組みを続けるという。「過去には日本市場に認められた(ファーウェイの)製品もあった。今後も引き続き日本市場での模索を続けていきたい。ブランドを認知してもらうためには時間がかかる。根気よく日本のパートナー、オペレーター、販売チャネルの代理店などとともに頑張っていきたい」と語った。

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