地方都市での電子マネー対応状況はまだまだ
沼津駅への到着がこの旅の目的ではない。最大の目的は、沼津港でNFC決済を試すというもの。そこで、沼津駅から沼津港まで移動する必要がある。もちろん、今回はこの移動もおサイフケータイのみでどうにかする必要がある。
まずチェックしたのは、沼津港までの路線バスだ。路線バス自体は頻繁に運行されているようだが、残念ながら沼津駅周辺の路線バスは交通系ICカード非対応。そのため、バスは使えない。
次は駅周辺のタクシーだ。東京では、交通系ICカードやiDなどの電子マネーに対応するタクシーがかなり多く存在しており、ドア部分にそれら交通系ICカードのロゴシールが貼られているため、簡単に判断できる。そこで、沼津でも同様にタクシーのドア部分のロゴシールを確認してみたが、クレジットカードのロゴはほとんどのタクシーに付けられているが、電子マネーのロゴは見あたらなかった。今回は、駅周辺で乗客を待っていたタクシーのみをチェックしたため、沼津周辺で電子マネー対応タクシーが全くないというわけではないかもしれないが、今回の旅では残念ながら見つけられなかった。そのため、タクシーも断念。というわけで、沼津港まで歩くことにした。とはいえ、その距離は2km程度。30分も歩けば到着するので、それほど大きな問題はない。
沼津駅周辺でバスやタクシーの状況をチェックしたりしていたこともあって、徒歩で沼津港に到着した時には、時間は午後5時を過ぎようとしていた。それから先の顛末は、こちらの記事のとおり。「沼津みなと 新鮮館」はもちろん、周囲のお店もほとんどがすでに閉店ずみだった。わずかに開いていたお店もあったのだが、そちらは残念ながら電子マネーやNFC決済非対応という悲しい状況。結局初日は、沼津港まで到達したものの、思ったような検証は行なえなかった。
しかし、先ほどの記事にもあるように、翌日の検証では、「沼津みなと 新鮮館」だけでなく、周囲の土産物店や飲食店でも、NFC決済に対応している店を多数確認。そして、Apple PayやAndroid Payだけでなく、日本の電子マネーも問題なく利用可能となっており、実際に食事やお土産の購入も行なえた。そういった意味で、今回の旅の目的はほぼ想定どおりに達成できたと言っていいだろう。
おサイフケータイだけの旅は現時点では厳しいが
2020年に向けてのインフラ整備に期待
今回の旅は、あらかじめ目的地でNFC決済や電子マネーの利用が可能なことを予想できていたので、ある程度満足のいくものとなった。ただ、その道中となる箱根や御殿場プレミアム・アウトレット、御殿場駅周辺などでは、電子マネーの普及状況は芳しいものではなかった。
電子マネーの使えるホテルやコンビニ、駅ビル内の施設などは全国にまんべんなく存在しているので、そういった施設のみを活用して旅をするというのであればいいが、現地の特産品を食べたり、観光地を巡ったりするとなると、電子マネーのみではほぼ満足のいく旅は行なえなくなるだろう。東京や名古屋、大阪などの大都市圏ですら、電子マネーの使えない店の方が多数となっていることを考えても、地方都市での普及状況が芳しくないのは仕方のない部分ではあるが、まだまだ電子マネーのみで旅をするというのは、かなり厳しいと言わざるを得ないだろう。
ただ、今後この状況は十分に変わる可能性を秘めている。その原動力となりそうなのが、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据えたインフラ整備だ。日本では、クレジットカード加盟店が利用している決済端末におけるEMV対応(ICカード対応)の普及度合いが低く、セキュリティー対策の意味でも迅速なEMV対応端末の普及が求められている。
また、2020年に向け、訪日外国人観光客の増加に対応すべく、クレジットカードやNFC決済への対応度合いを高めていこうという気運もある。そのため、今後急速にクレジットカードなどの決済端末が更新されていく可能性が高い。それにともない、電子マネーやNFC決済機能を備える決済端末への更新もかなりのスピードで進む可能性がある。筆者が取材している範囲内でも、今後そう遠くない将来にこのあたりに関する様々な発表がありそうなので、それを期待して待ちたいと思う。
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