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ThinkPad X1 Tabletの開発秘話

2016年02月12日 00時00分更新

モジュール追加を想定して選ばれたヒンジの構造

 キックスタンド搭載のタブレットというと、多くの人がマイクロソフトの「Surface Pro」シリーズを思い浮かべることだろう。ThinkPad X1 Tabletは、液晶パネルの縦横比が一般的な16:9(もしくは16:10)からSurfaceと同じ3:2に変更されており、一見すると、模倣に見えてしまうかもしれない。しかしこうした印象も、その成り立ちを聞くと異なるものとなる。

ThinkPad X1 Tabletのスタンド部分。面積は広めだが、バスタブ風の構造にして(縁と中央に段差を付けて)強度を保っている。

逆サイドから見た写真。本体はマグネシウム合金製だ。

 特にキックスタンドの開閉に必要なヒンジ(軸)の位置が異なる点には注目。Surfaceはもちろん、レノボのMIIX 700などもそうだが、軸は本体の中央部分に置くものが多い。側面から見ると漢字の「入」や「人」のような支え方になる。

 一方ThinkPad X1 Tabletは本体の下端に軸を置いている。側面から見ると「く」の字に近い曲がりかたになっている。

 ではなぜ大和研究所はこの位置を選んだのか?

 これにはいくつかの理由がある。ひとつはThinkPad X1 Tabletの肝であるモジュールを下端に付けた際でも、安定して自立するようにするため。スタンド部分は最大で90度まで開く。強度はヒンジのトルクとスタンド部分の丈夫さだけえ確保するとのこと。この重量や薄さで、自立するという点はデタッチャブル型のThinkPad Helixと比べて利便性が向上していると思う。

本体のみ、モジュール使用時、スタイラス使用時などマルチモードでの使用に適したヒンジ位置を採用している。

 キックスタンドを開き、垂直に近い角度で本体を立てる(スタンドモードにする)と、安定する傾きは大体100~130度になる。その下にモジュールを装着した場合でも、115~130度程度とちょうどいい角度で安定する。軸が本体の中ほどにあると、かなり横に寝てしまうことになるだろう。

 もう一つの利点はスタイラスモードという、より水平に近い角度に寝かせたポジションが取れる点だ。レノボは上述したThinkPad Tablet以降、一貫してペン操作の快適さを重視している。上からのぞき込む態勢でペンを使えるこのモードはなかなか快適だ。開発系統は異なるが、YOGA Tabletなどで培ったアイデアもうまく取り入れているのだろう。

 キックスタンドはマグネシウム合金製で、バスタブ上に縁と内側に段差を付けることで強度を保っている。スタンドが大きくなると本体重量が増してしまいそうだが、こういった構造でそれほど本体の重量を増やさずに済んでいる。

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