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SIMフリースマホで存在感を示す同社。縮小するPC市場はどう考える?

3000万台のZenFone出荷を目指す!? ASUSジョニー・シー会長に直撃インタビュー

2016年02月06日 09時00分更新

PC市場は2016年も安定しており
ブレークスルーを実現した製品投入でシェア拡大を目指す

──ZenFoneシリーズは、インテルのSoCを搭載しているモデルが多数ある。他社のそれと比較して比率が高いと思うが、それはなぜか?

シー氏:それはインテルのSoCがベストだと思っているからだ。ご存じの通り、ASUSはインテルと戦略的な提携関係を結んでいる。我々と彼等の関係は、PCの関係から深く、たとえばインテル社のCEOが、私を彼等のラボに招待してくれて、直接チップアーキテクトたちから説明を受けているほどだ。

 言うまでもなく、インテルはPCやサーバーの世界ではNo.1。そこからモバイルに降りてきており、CPUに関しては世界でNo.1だと考えている。それを活用して非常に強力な処理能力を持つSoCをモバイルにも展開している。

 よく聞かれるのは、他社は8コアとか、10コアとか、より多くのCPUコアを搭載するSoCを出しているのに、インテルのそれは2コアだったり、4コアに過ぎないじゃないかということがある。しかし、本当に重要なのはコア数ではなく、リアルな性能であり、それを実現するマイクロアーキテクチャーだ。その証拠に、iPhoneのSoCはいまでもデュアルコアだが、誰も性能には文句を言っていない。また、クアルコムもSnapdragon 810では8コアだったが、その後継の820では4コアに減っているが性能は向上している。

ZenFone Zoomの発表会にはインテル日本法人 代表取締役社長の江田麻季子氏も登壇した

──性能に関してはおっしゃる通りだが、だがインテルのモバイル部門は慢性的な赤字になっている。その結果として彼らがモバイル事業から撤退する可能性はあるのではないか?

シー氏:PCの世界では、インテルとAMDしか選択肢がなかったが、モバイルの世界ではそうではない。現に我々も、インテルのSoCだけでなくクアルコムのSoCも採用しており、そのほかのベンダーのSoCも採用する可能性はあると考えている。

──昨年のPC出荷台数が発表され、昨年に比べて若干の減少になっている。PC業界の動向についてどう考えているか?

シー氏:おっしゃる通り、クラムシェル型のノートPCに関してはわかずだが、2014年に比べて若干の減少がみられた。確かに、PCビジネスはほかのモバイルビジネスと競争を続けているが、我々はそれによってPCが大きく減るとは考えていない。実際、我々の昨年第4四半期に関しては、前年同時期に比較して成長している。

 大事なことは引き続き攻めの姿勢を見せることだ。2016年に関しても、PC市場が大きな成長をするということはないと考えているが、それでも市場シェアを増やすことで出荷台数を増やすことができると考えている。

 繰り返しになるが、グローバルなPC市場は引き続き安定しており、大きな問題はないと考えている。むしろ課題を抱えているのはタブレット市場だ。というのも、スマートフォンに強力なコンピューティング機能が備わるにつれて、タブレットの役割を奪っている現状だからだ。スマートフォンも最初は3.5インチや4インチといったディスプレーだったが、いまや5インチや6インチがあたり前になっている。スティーブ・ジョブスが、ずっとiPhoneのディスプレーを3.5インチに据え置いていたのも、そのジレンマを彼が理解していたからだと考えている。

2016年に大きな課題を抱えることになるのはタブレット市場?(写真は同社の「ZenPad 10」)

──CESでは、各社がプレミアムセグメント向けのノートPCに力を入れてた。その市場へのASUSの取り組みは?

シー氏:プレミアムPC市場で重要なことは、よりよいユーザー体験だ。それをどのように提供するかがPCメーカーには問われている。たとえば、我々はIFAで「GX700」という水冷ゲーミングノートPCを発表した。オーバークロックの機能を備えていて、非常に強力な性能を実現するノートPCだ。ゲーマーがノートPCに持つ最大の不満は性能が低いことなので、この製品をつくった。そのように、ユーザーが不満に感じているところを、技術によってブレークスルーを実現する、そうした製品こそが必要だと考えている。

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