2016年はグローバルな展開も想定
実際にSyncを触ってみると、社内でSlackを使いつつ、社外ではFacebookメッセンジャーを使っていたような利用者層に向けたものになっていると感じる。
たとえばSlackでは過去ログについて検索件数の制限がありそこが有料メニューにもなっているが、Syncでは当面の間は全文検索可能で、またグループ作成も自由にするという。ファイル容量の面を中心にプランを検討しているレベルとのことだ。
「Sync自体のビジネスプランはいくつか持っているが、まずは使ってもらうことが一番大事。2016年中はプロダクト中心にする予定で、まだまだやっていきたいことが数多くある。特に企業やワークフローに合わせたSyncでのAPIの公開を早く行いたい。企業によってやりたいことは違うはず。万人に共通のタスク管理はない」(川崎CTO)
DropboxやEvernote、さらにはチャットワークやGoogleアカウントとの連携などの要望もすでにあるようだ。Sync自体はあくまでプラットホームとして、使いたい機能を提供するという。
Wantedly社内ではインフラとインターナショナルとインターンシップの3つの”I”が重視されており、ビジネスSNSとしてのメッセンジャー機能はインフラ化の柱となる。たとえば学生団体でのテスト利用も、インターンシップにおけるリクルーティングなどに効果を発揮する流れにもなると予想できる。それでは、インターナショナルの展開はSyncではどのように進むのか。
「2016年はSyncの年。グローバル展開も大きな目標。システム的にしっかり使えるものにするには、データセンターの使い方、アーキテクチャーなどが大きな課題になると思っている。フリマやレシピなどのアプリサービスであれば地域内、リージョンごとに別サービスをたてられるが、メッセンジャーアプリの場合は全世界的に安定性と速度を提供できないといけない。今後、開発効率も保ちつつ大規模ユーザーをサポートするシステムをつくっていくのは挑戦となる」(川崎CTO)
LINEやFacebookがハマれなかったポジション争い
かつてWantedlyの仲代表は弊誌インタビューにて、「日本には名刺の次となる決定的なウェブサービスがまだないが、ビジネスでハマるようなサービスができれば、名刺という概念そのものが古くなるはず」と答えていた。
同様の社外とのビジネスコミュニケーションの役割を持ったサービスでは、Sansanの名刺管理サービス『Eight』がFacebookやLinkedinのようなSNSプラットホームに2015年秋ごろから変貌しつつある。
名刺管理というアナログな方向から始まったサービスと、スタートアップを中心とした人材のマッチングサービスそれぞれが、ここにきて本格的なビジネスのつながりプラットホーム化を進めている。
LINEやFacebook、Linkedinがハマっていないこのポジションが今後どうなっていくのか。企業の収益強化という側面だけではない、名刺と電話・FAXとメールに続く企業間の新たなコミュニケーションの誕生に期待したい。
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