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2015年は女子向けゲームのジャンルが確立!台湾市場もアツイ

モバイルゲームの海外展開で知っておきたい情報が満載App Annie DECODE TOKYO

2015年11月24日 14時00分更新

2億2100人以上のユーザーを抱えるLINE、台湾やタイも底堅いシェアを維持

 最後の登壇者は、LINE株式会社でLINEゲーム事業部副事業部長を務める清水信彦氏。LINEのゲーム事業についてのプレゼンでした。2015年10月現在、LINEのアクティブユーザー(MAU)は2億1200人以上とのこと。

 LINEでは、リリースタイトルの方向性を検討するためApp Annieのデータを活用しています。データを基に、アプリ市場の概況や競合アプリの売れ行き、KPI(目標の達成度)などを分析しているそうです。

 具体的には、ダウンロード数をジャンル別のゲーム本数をグラフで可視化し、現在どのジャンルが人気があるのかなどを把握しやすくしています。

 App Store(iOS)の上位50位にランクインしたアプリを分類してみると、RPGは増加傾向であることが顕著なほか、最近では女性向けのアプリのランクインも増えている点に注目しているということでした。

 RPGのランクイン要素の分析では、例えばいくつかのRPGで売上が伸びているものを抽出して共通点を見てみると、共闘要素(他プレイヤーとの連携)が浮き彫りになったそうです。そこで、さらに掘り下げてゲーム内を細かく調べ、共闘要素の傾向を見るなどの分析を継続して実施しているとのこと。リリース後すぐに大ヒットするゲームは少なくなってきているので、人気の要素を分析することでヒット作の傾向を見い出してゲームに反映することは重要ですね。

 シミュレーションゲームのトレンドとしては、箱庭、戦略、女子向け育成などのサブジャンルのリリース本数の分布をグラフで可視化し、新作に何を持ってくるかを検討しているそうです。例えば、「Hey Day」に代表される箱庭系のシミュレーションゲームは、2014年までは継続的に新作のヒット作が登場していましたが、2015年リリースのヒット作がない状態です。つまり、このジャンルには改めて付け入る隙があると見て、新作のリリースを検討するという感じです。

 市場概況からは、一般ユーザー、女性ゲーマー、競合ジャンルのユーザーの属性や興味、ライフスタイルなどを分析しています。

 また、LINEのユーザーが最も多いのは日本ですが、台湾とタイのユーザーも増えており、LINEとしては見逃せない存在となっています。台湾アプリ市場で2014年度と2015年度の9月期に上位10位にランクインしたゲームの割合を見てみると、勢いを増しているのが中国メーカーが開発したゲームで、中国以外の国や地域で開発されたゲーム(Global Game)のシェアを完全に奪ったカタチとなっています。

 タイのアプリ市場でも、中国メーカーの勢いが増してタイの国内メーカー(ローカルゲーム)のトップランク入りを阻んでいますね。台湾、タイとも中国メーカーの勢いがある中、LINE GAMEは単独で第2位のシェアを維持しており底堅さを感じます。LINE IDと紐付けることでスコア共有がしやすい点などはLINE GAMEの強みが生かされているのでしょうし、共闘要素なども今後ヒットに貢献できる面白い要素だと考えられます。

 LINEゲームでは、「LINE ウィンドソウル」「LINE 三国志ブレイブ」「LINE アルカノイド vs インベーダー」「LINE ブラウンファーム」などの4本のアプリが近日リリースもしくは事前登録を開始しているなど、パートナー企業とガッツリ組んだ横展開を実施中。今後も新領域へのチャレンジも積極的に進めるそうで、App Annieのデータの分析はもちろんLINEの各種データを活用して、企画段階からLINEと一緒に開発を進めるという取り組みも始めているそうです。

 DECODE TOKYOに参加して印象に残ったのは、日本市場の巨大さと中国メーカーの勢い。企業としてはより大きな売上を目指すために海外戦略も考えるべきですが、国内市場があまりにも大きすぎるために海外戦略の優先順位が低いというメーカーは多いと思われます。一方で、複数のアプリマーケットが乱立して競争の激しいはずの中国では、国内はもちろん海外にも積極的に進出しているメーカーが多いようです。すでに東南アジアでは一部の国でシェア1位を獲得するなど、その勢いはこれからも増していくでしょう。最近では、中国メーカーが開発したゲームでも言われないと気がつかないほど日本向けにカルチャライズされたものも増えています。日本のメーカーも成熟した日本市場だけでなく、まずはアジア市場に進出することも考えるべき時期なのかもしれませんね。App Annieのデータの一部は無償公開されているので、個人開発者も海外展開のヒントが見つかるかもしれませんよ。

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