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2015年は女子向けゲームのジャンルが確立!台湾市場もアツイ

モバイルゲームの海外展開で知っておきたい情報が満載App Annie DECODE TOKYO

2015年11月24日 14時00分更新

子会社10社で全方位戦略、各社に裁量権を与えた機動的な組織に

 二人目の登壇者は、サイバーエージェントSGE(Smartphone Games & Entertainment)統括本部で本部長を務める小柳津林太郎氏。サイバーエージェントのゲーム事業について語ってくれました。

 サイバーエージェントのゲーム事業は、Amebaや子会社10社が所属するSGEといった事業部やCygamesといった子会社など複数の会社、組織に分かれているそうです。

 直近の業績としては「戦国炎舞 -KIZNA-」(株式会社サムザップ)、「ジョーカー 〜ギャングロード〜」(株式会社アプリボット)、「グランブルーファンタジー」(株式会社Cygames)などの子会社がリリースしたゲームの売上が好調とのこと。9月に入り夢王国と眠れる100人の王子様」(株式会社ジークレスト)などの女性向けアプリも上位にランクインしたそうです。

 ゲーム事業の同業他社との売上比較では、「モンスターストライク」を擁する株式会社ミクシィが1位、「パズル&ドラゴンズ」を擁するガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社が2位で、3位がサイバーエージェントとなっているとのこと。上位2社が超大ヒット作を抱えるのとは異なり、サイバーエージェントは複数のゲームがコンスタントに売上を伸ばした結果のようです。

 小柳津氏は現在、SGEで子会社10社を横断的にサポートする立場。

 今後人気が出そうなゲームジャンルについては、各社が横展開でリリースしていく戦略も時には採用しており、各社の裁量に任せることでさまざまな試みを実施しているとのこと。現在のゲームの主戦場はもちろんネイティブアプリとしたうえで、PCを含むブラウザーゲームの需要もあるそうです。

 SGEグループに属する子会社は開発が中心で、プロモーションや技術統括、人事・広報、サポートなどはSGE統括本部が請け負うという仕組みが取られています。小柳津氏によると、例えばある子会社のアプリで技術的な問題が発生した場合は統括本部の技術統括のスタッフがヘルプに入ったり、統括本部の広報やプロモーションの部隊がリリースしたアプリのCMやメディアへの露出を計画したりという役割分担が図られているそうです。子会社はヒット作を生み出すことだけに注力し、統括本部は各社の機会損失の最小化と機会創出の最大化を図るというミッションが与えられているわけですね。

 最近では、モバイルアプリのプログラマーの確保が各社とも悩みのタネとなっていますが、サイバーエージェントでは子会社間での人材交流を積極的に進めており、子会社を横断する会議やプログラミング大会、懇親会、SNSなどを通じて、ノウハウの共有や人材の育成を図っているとのこと。また、子会社間の異動なども活発のようで、とにかく優秀な人材を流出させないような仕組みが整えられています。

 海外展開については、英語圏については自社ですべてを担当していますが、アジア圏についてはパブリッシング、開発、マーケティングなどを他社に委ねることが多いそうです。中国市場などは、アプリマーケットが数十種類も存在していることもあり、現地のパブリッシャーに委ねたほうが効果が高いそうです。同社としては、日本のアプリ市場が巨大なので、短期的にはまず日本のゲーム市場でのヒットを狙っていくとのことでした。

 最近の国内でのプロモーションとしては、「ポコロンダンジョンズ」と「進撃の巨人」とのコラボや、YouTuberのHIKAKINさんを起用したゲームプレイ動画の配信などを実施しているそうです。そのほか、RPGの「ジョーカー~ギャングロード~」などでもコラボを実施中です。ただし、こういったコラボ企画については狙ってできるものではなく、相手側のメリットやタイミングが合致したときでないと難しいそうです。

 小柳津氏は最後にトレンド予測として、日本国内で今後ヒットする可能性があるゲームは「わからない」とし、前述したようにSGEグループの各社が全方位でヒット作を生み出していく戦略をこれらからも採るとのこと。一方でアジアについては、日本のIPなどを利用したゲームがヒットする余地はまだまだあると考えているそうです。狙う市場としては、中国、香港、台湾、タイあたり。欧米については、すでに数本のアプリでチャレンジしており、いいカタチで模索中と語ってくれました、

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