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auが2015年度Q2決算発表、3キャリアが増収増益で並ぶ

2015年11月05日 20時00分更新

 KDDIは11月5日、2015年第2四半期の決算を発表した。売上高は対前年同期比6%増の2兆1517億5500万円、営業利益は同18%増の4514億3000万円で増収増益。総合ARPA(1加入者当たりの月間平均収入)が順調に拡大し、利益増を牽引した。同社の田中孝司社長は「営業利益で3期連続2ケタ成長となった」と好調な決算をアピールする。

KDDI代表取締役社長の田中孝司氏

 主な指標は、純利益が同22.3%増の2774億5900万円、EBITDAは同9.7%増の7278億円、EBITDAマージンは同1.9ポイント増の33.8%、営業利益率は同2.2%増の21%だった。第1四半期に会計基準をIFRS(国際財務報告基準)に移行したことで売上高が減少して2ケタ成長は達成できず、通期予想に対する売上高の進捗率も48.9%と「計画より弱めの状況」(田中社長)だったが、営業利益の進捗率は55.1%となり順調。

主な決算の指標

 KDDIは一般的に使われるARPU(1ユーザー当たりの月間平均収入)ではなく、複数の端末を1ユーザーが利用する状況を想定してARPAという指標を採用しており、そのARPAが順調に拡大。通信ARPAは同292億円増となり、コンテンツなどの付加価値ARPAは同45億円増となって利益を押し上げた。総合ARPAは同2.5%増の6130円で、通信ARPAは同2.3%増の5700円、付加価値ARPAは同4.9%増の430円。付加価値ARPAは前四半期と同等だが、通信ARPAは反転傾向が鮮明となっている。

営業利益の増減

順調にARPAが拡大した

総合ARPAの推移

 主力の通信事業では、au純増数が同16%増の95万増、注力するひとり当たりのデバイス数は1.39台となり、四半期ごとに0.01ポイントずつ上昇している。固定とのセット割「auスマートバリュー」はモバイルで1037万契約、固定で514万世帯となり、着実に増加した。auスマートフォン契約者全体の54%がスマートバリューを利用しているという。

au契約数の純増は、特にタブレットやルーターの拡大が寄与して増加

auスマートバリューの利用者も拡大

 総務省が携帯料金に関する会合を開始しているが、田中社長は「セグメント別のサービスプラン」を提供していると紹介。年齢と利用量でセグメント分けしており、ジュニア向け、シニア向けの分類に加え、利用量に応じて7GB、3GB、2GBのデータプランといった具合に分類し、音声も通話し放題以外の従量制も残して対応する。

セグメント別に料金プランを提供。新旧の料金プランを維持してニーズに対応している

ライトユーザー向けのプランは、「2ケタ万」の規模になっているという

 音声のライトユーザー向けに月額1700円で時間制限がある音声定額「スーパーカケホ」を提供しており、特に「フィーチャーフォンから移行する初心者で順調に利用者が増えている」(同)。他キャリアは同様のプランでデータ容量5GB以降しか選べないのに対し、3GBから選択できるようにしたことで、「日に日に選ぶ人が増えてきている」(同)という。フィーチャーフォンからのシフトは「予想以上」(同)だが、開始して間もないため、現状では業績への影響は出ていない。

長期利用者向けの優待も提供して解約率を下げたい考え

 ARPA拡大の源泉となるスマートフォン利用者は契約者全体の56%になり、順調に増加。KDDIバリューイネーブラーがUQコミニュケーションズと合併したことで、MVNO事業の「UQ mobile」の販売にUQのスタッフが活用できるようになり、約1000人の店頭スタッフの対面販売ができるとして、今後の拡大を期待する。

スマートフォン浸透率

MVNOのUQ mobileの拡大も図る

 付加価値サービスとしては「auスマートパス」が同19%増の1361万契約に達し、9割が継続利用するなど順調。プリペイド・クレジットカードサービスの「au WALLET」は発行枚数が1580万に達した。現状は発行費用などがかさんで赤字だが、利用拡大を図ることで来期には黒字化を目指す。

「auスマートパス」、「au WALLET」の拡大でオンライン、オフラインでユーザー基盤を拡大している

 「auかんたん決済」と「au WALLET」の2つの決済プラットフォームに加え、auスマートパスとauショップという2つの顧客接点を生かして新たな事業サービスの展開も進めており、auショップで日常品などが購入できる「au WALLET Market」は、年内に2500のauショップまで拡大して利用の拡大を図りたい考え。

こうしたユーザー基盤、決済基盤を背景に新たなサービスを展開する

その一環であるau WALLET Market

店頭でショッピングが行える

 グローバル事業では、ミャンマーでの通信事業が契約数が拡大しており、それを促進するキャンペーンも実施してさらなる成長を目指す。

共同事業締結以来、ミャンマーの契約数は2.5倍に達したとのこと

 今回のKDDIの発表で携帯3キャリアの決算が出揃い、各社増収増益となって順調な決算だった。総務省は携帯料金が高止まりしているとして低価格化に向けた会合をスタートしているが、好調な決算を背景に値下げ圧力が強まる可能性もある。

上期の決算まとめ

 田中社長は、「グローバルで見て、いわゆる先進国の中では中ぐらいの料金」という認識を示し、ネットワーク品質とあわせて考えれば「決して高いということはないと思っている」と話す。とはいえ、ユーザーの使い方は色々あり、そうしたニーズに適した料金プランが提供できているのか、という点に関しては「課題があるのではないか」(同)。

 いわゆる2年縛りの問題に関しては、来年以降、解約料のかからない期間を1ヵ月から2ヵ月に拡大する施策も実施するが、料金プランを含めて今後会合で「真摯に意見を聞いて、足らないことがあれば改善していく考え」(同)としている。


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