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平均単価300万円!ALLSTOCKERは建設機械の国際ネット取引所を目指す

2015年11月20日 11時00分更新

目指すのは、安全かつ中立なワンストップの取引所

ALLSTOCKERのトップページ。言語は日英に対応している。

 地域レベルのビジネスとしては成立したが、建設機器には根本的な売り買いでの問題が数多くあった。商品確認のタイムラグ、国をまたぐための貿易知識、支払いや受け取りの問題、さらには古い商習慣が残っている部分の解決が必要となる。青木代表は、直接売り買いに参加するのではなく、インターネット上にプラットホームを形成し、国内だけでなくアジア、世界もにらんだ展開をもくろみ、国際オンライン取引所の形成を目指した。ビジネスのベースは、あくまで取引手数料となる。

 「安全かつ中立な取引所という構想が核にある。まずは日本から世界への売買をずっとスムーズにしたい。一般的な建機の売買の流れは、メーカーからディーラー、さらにユーザー、そのあとはバイヤー。どのようなところを介しているのか、ノウハウが求められる。重要なのは、品質、決済、運送の問題解決。小さいマーケットプレイスなら、ボタンを押せば自動で決済して簡単に届く。商品の球数の用意、輸送費、取引金額、どのような信用をもって決済するのかなど、これまで大型商品では不可能と言われていた部分をより容易にしたい」(青木代表)

 業界で見れば、建機は製品での差異化が難しくなっており、修理などのアフターマーケットのほうが売買以上に巨大になっている。また建機のリース会社では、レンタルだけでなく、リースアップした利用後に販売して利益を得る仕組みも現れている。売りやすいところだけでなく、より高く求めているところに売りたい需要は日本国内でもあるという。

米国キャタピラー社の「キャタピラー 785C」。中古価格で79万ドル(約1億円)。画像はALLSTOCKERの出品物。

 ビジネスの競合として意識するのは、Amazonやアリババ、eBayなど既存のeコマースでの巨大プラットホーマーだ。「すでにインターネット上で場を持っている先駆者ができていない間に進めたい。メイドインジャパンの産業機械は世界で人気が高いため、マシーンマーケットを扱う点で日本にいる点というのは有利。コマツ、日立建機、コベルコ、住友建機、タダノ、IHIなど、良質な生産工場がある。とはいえ、中にいたのでわかるが、参入障壁は高く、水面下でのやり取りもかなり重要な業界。それでも近ごろは、ITでの新規性や将来性も含めて、既存の事業会社の我々を見る目も変わってきたと感じている」

独自の決済・運送機能でサービスを開始

 ALLSTOCKERでの実際の取引は、原則出品者と買い手が直接コミュニケーションを取ることなく商品売買ができる仕組みとなっている。代金のやり取りは日本国内のメガバンクの信託口座(エスクロー口座)を通じて行われ、買い手が指定口座への代金の支払いを行う。発送が確認された時点で出品者に対する支払いが行われる。

 運送についても、買い手は注文を行う前にALLSTOCKE上で運送パートナー一覧から見積もりを受け取る必要がある。購入に際しての英語や貿易知識といったハードルもサービス上で回収し、取引上不明な点がある場合も専用のカスタマーサポートが対応する。取引所としての透明性、ネット上での即時性、そして輸送でのセキュリティ確保が重視されている。

 米国ではすでに15年の実績を持つIronPlanetという重機の取引プラットホームがあるが、手数料の問題や、世界的な戦略市場となっているアジアを相手にするには距離的にも歩が悪い。ALLSTOCKERがアジア市場を奪えば、そのまま世界最大の取引規模となる公算だ。

海外展開及び業務全般の構築を担う中山良介COO。

 建設機械売買でのALLSTOCKERにおける仕組みを説明してくれたのは、中山良介COO。「将来的には、建設機械だけでなく、メンテナンスや部品、さらに農業機械など周辺マーケットに広げるつもり。アジアだけで見れば、農業機械は建設機械以上の市場となる可能性がある」と語る。

パーツの取り扱いも行っている。モロオカ(諸岡)の「国産純正中古ゴムクローラ(超美品)」 。中古価格で68万円。画像はALLSTOCKERの出品物。

 現状でSORABITOが考える全体のロードマップとしてはまだ3%ほど。取引台数を集める拠点や販売先は世界標準とするため、早々にもアジア拠点も設ける予定だという。

 「オリンピックやアジアの都市開発の裏側では多くの建機が活躍している。世界中で建機が自由に買えるようになれば、人々の暮らしがよくなるように貢献できる。世界でのスタンダードとなれるように、着実に信用を集めていきたい」(青木代表)

●SORABITO(ソラビト)株式会社
立ち上げは名古屋。10月より東京に本拠地を移転し、2拠点体制となった。
9月にGMO VenturePartnersから1億円、さらに複数の著名エンジェル投資家から出資を受け、総額1億円超の第三者割当増資を行った。GMOの投資としては、C ChannelやChatWork二続く第3弾となる。この出資で営業・開発体制を強化、11月2日にALLSTOCKER正式版をリリースした。
社員数は2015年11月時点で10名。今後も体制強化を予定している。

■関連サイト
SORABITO
ALLSTOCKER

画像:SORABITO

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