クロノ・トリガー、MOTHER、FF、そしてモンストの名曲の数々
ゲーム音楽好きはJAGMO ゲーム音楽オーケストラに絶対行くべき理由
筆者による個人的な感想をつらつらと書いていく。端的に言えば全部よかった!ということなのだが、それだけでは申し訳ないので各ゲームタイトルごとにいくつか掻い摘んで紹介しよう。とは言え、ゲーム音楽が好きすぎて長々と書いてしまった。
最初からクライマックス!
まずは「クロノ・クロス」、「クロノ・トリガー」2連続によるクロノメドレーで「今回も来てよかった!」と改めて実感する。「時の傷跡」は「クロノ・クロス」のオープニングだ。ゲーム音楽のオーケストラのオープニングにふさわしい選曲であり、来場者のハートをガッチリ掴んだのは間違いない。「うおおお!」と興奮冷めやらないときに「クロノ・トリガー」のメドレーがかかる。筆者は「カエルのテーマ」から「魔王決戦」までの流れが聞けただけでもテンションは最高潮に。ストーリーを辿りながら要所要所のBGMをオーケストラ化するのはズルい…。光田康典サウンドが良すぎる。
会場全体がクロノムードに包まれた中、演奏が始まったのは「檄!帝国華撃団」。これには筆者も(心の中で)走らざるを得ない状況に。ここまでで筆者のテンションが最高のさらに最高になってしまった。こんなのは人生で初めてだ。
そして満を持して流れるのが「MOTHER」メドレー。「これ、書く必要ある?」というレベルの面々なので恐れ多いが、やはり「Pollyanna」の破壊力はすさまじい。だけど、ここではまだ涙は出ない。それは「エンディングまで泣くんじゃない」だからだ。
MOTHERのメドレーで落ち着ついた筆者のテンションはもう一度最高潮を迎える。「ロマサガのオープニングやっべー!超テンションあがるうう。」という感情を心のなかで爆発させた。サガシリーズと言えばイトケン(伊藤賢治)だ。ロマサガ3の「四魔貴族バトル1」の導入部の一瞬の溜め(という表現でいいのか?)も忠実に再現されているオーケストラだった。からの、「ラストバトル」だ。JAGMOのオーケストラは筆者のテンションのメーターを「破壊するもの」だった。
ここで前半が終了。10分の休憩が挟まれる。実際この休憩がないと筆者のテンションが追いつかない。危ないところだった…。
キングダムハーツやFFと肩を並べるモンスト
後半は開催ギリギリまでシークレットとして公開されていなかったスマホゲーム「モンスターストライク」の楽曲から始まった。
筆者自身がスマホゲーム担当であり、モンストの記事も書いているということで演奏すると知ったときから超注目していた。今回演奏されたモンストの曲だと「メニュー BGM」、「降臨クエスト:BOSS BGM」はオーケストラならではの音と迫力を感じた。「メニュー BGM」はメインテーマを落ち着かせているBGMなのだが、それを完璧に再現していた。「降臨クエスト:BOSS BGM」は言わずもがな。今回のオーケストラ用に作られたのではないかと思うほど。筆者の中の降臨クエストは“バハムート”のイメージがもっとも強いのだが、オーケストラ中にバハムートと戦っているような錯覚に陥った。
迫力満点の流れから演奏したのが「キングダムハーツ」の「Dearly Beloved」。キングダムハーツと言えばコレ!というほど代表的な曲であり、ピアノ主体で原曲の作曲者である下村陽子氏に心の中で感謝した。前半の部の「MOTHER」以来うるっと来たのが「Roxas」。「俺の夏休み…終わっちゃった…」を思い出す。
根強い人気シリーズには名曲が揃う
そして最後のメドレーが始まる…。
なんだかゲーム音楽のオーケストラで傷心ムードになってしまった筆者に襲いかかってきたのが「FINAL FANTASY」メドレー。作曲はすべて植松伸夫氏。植松伸夫氏は筆者の中ですぎやまこういち氏と並んでゲーム音楽会のトップであり神様だ。そんなメドレーなので、一曲ずつ感想を書かせていただこう。
今回のFFメドレーの主役は曲目数的にもFF10。メインテーマである「ザナルカンドにて」から始まるのだが涙腺が崩壊しそうになった。いわゆる“ザナル感動”現象だ。初めてオーケストラで「ザナルカンドにて」を聴いたのだが、これはオーケストラを生で聴いたことがある人にしかわからないだろう。本当にすごい…という小学生並みの感想でしか言い表せないほど。迫力だけでなくオーケストラの奏でるメロディによってゲームプレイを思い出してしまう。
「ノーマルバトル」が流れる。筆者は流れ出そうになる涙をこらえる。筆者の中でFFの通常戦闘は独特なイントロがあるほうが好きだが、FF10のBGMはどれだけ長く聴いていても飽きない謎仕様。オーケストラは不思議なもので、ゲームプレイ画面なんて一切でていないのに、頭の中でティーダが攻撃しているシーンが見えてしまう。単純に“ゲームBGMをオーケストラ仕様にした”というワケではなく、独特な抑揚だったりをつけているのだろう。
通常戦闘の次は「シーモアバトル」。FF10で筆者がもっとも好きな曲だ。コーラス部分から忠実に再現しているオーケストラ。思わず足でリズムをとりたくなるメロディで一気にFF10の世界に会場を引き込んだ。電子系な音楽ではあるものの、オーケストラにしても映えたのは名曲だからであり、編曲者が素晴らしいからだろう。
次に流れるのは筆者が曲目を予め見た時に「おいおい、冗談はよしなさいよ」と思っていた「Other World」だ。ロックでデスメタル調のこの楽曲がオーケストラというのはさすがに無理があると思いきや、あっさりとやってのけてしまったのがJAGMOの凄み。楽器だけで再現するのは素人からみても難しいのはわかるが、圧巻の演奏だった。今ならジェクトシュートができるかもしれない。
FF10だけでなく5や6にも同じ曲名のある「決戦」。FF10ではイベント戦だったものの、タイトルにふさわしい楽曲である。「クロノ・トリガー」よろしく、FF10の楽曲構成はストーリーを追随するような構成となっている。オーケストラならではの演出といったところか。これまでの楽曲を振り返るような印象を受け、どことなく寂しさを感じてしまう。
箸休めというと失礼かもしれないが、FF10メドレーの最後にかかるのがFF10でチョコボに乗ったときなどにかかる「Brass de Chocobo」。FFシリーズではおなじみの「チョコボのテーマ」をブラスバンドバージョンとした本曲をさらにオーケストラ化してしまうということだった。迫力があったり、物哀しさがあったFF10のメドレーだったが、アップテンポな「Brass de Chocobo」により、感情をリセットさせてくれた。オーケストラではこういった曲目も見どころのひとつなのであろう。
死闘がオーケストラによってよみがえる
さて、ここからはFF10以外から選曲された名曲の数々がオーケストラ化される。
「片翼の天使」は先に紹介した「Other World」と同様に歌ありきなゲーム音楽な印象であるが、JAGMOの手に掛かれば楽器だけで奏でることができるのだ。曲中の「セフィロス!」の部分もしっかりと再現されていて、思わずニヤッとしてしまう。
続いてはFFでも屈指の人気曲のひとつ「ビッグブリッヂの死闘」。ビッグブリッジ(曲名は“ヂ”だが、マップ上は“ジ”)でのギルガメッシュのテーマといっても過言ではない一曲で、非常にアップテンポながらもオーケストラ用に編曲することでさらに迫力が増す。「俺が悪かった」「オーケストラで来られちゃ」「手も足も出ないぜ」「てのは本当だからな!」と言いたい。
「ゴルベーザ四天王とのバトル」は「片翼の天使」、「ビッグブリッヂの死闘」など強敵との戦闘テーマが続いてきた流れを汲みとってオーケストラもいよいよ最終決戦かと思わせられた。音楽面への知識が乏しい筆者はオーケストラといえばやはり迫力満点という印象が強い。そんな筆者の印象を再現したのが本曲である。FFシリーズでも難易度が高いと言われるFF4だが、「ゴルベーザ四天王とのバトル」がそれを物語っている。圧倒的な強敵と音楽だけで感じさせる本曲はオーケストラで聴いていただきたい楽曲のひとつだ。自信を持って他人に薦められる。
最後の曲を迎える。
筆者は24日(土)昼公演に参加したので最後は「素敵だね」が演奏された。FF10でのメインヒロインであるユウナをそのまま再現したような楽曲で、FF10内ではいくつもアレンジされた楽曲が登場している。さて、最後の最後に「素敵だね」だったのだが、こっちが言いたいくらいだ「素敵だね」と。いや、本当に素晴らしい楽曲の最後を彩ったのが「素敵だね」という構成で良かったと思う。筆者の感情が異界送りされた…。
公演は終了を迎え、筆者はぼけーっと余韻に浸った。会場からは「ブラボー!」の嵐。拍手喝采とはまさにこのことだ。素晴らしいオーケストラに出会えたと思う。
そんな素敵な公演の後、指揮者、編曲家、プロデューサーの3人にインタビューをすることができた。
次ページでは「指揮者、編曲家、プロデューサーへのインタビューを紹介」
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