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永作博美、佐藤浩市に「アホか!」プリウス“胸熱”開発ドラマが超面白い

2015年10月28日 13時00分更新

新プリウス設計担当を演じる永作博美(左)、同じく新人役の黒木華(右)

 「フードを100ミリ低くするぞ」

 プリウス開発リーダーを演じる佐藤浩市が言った途端、会議室が凍りつく。

 「バカにしてます?」

 同じく設計担当役の永作博美が色をなす。が、佐藤浩市はにべもない。

佐藤「してない。本気だ。車高を低くすれば空気抵抗が減って燃費が向上する。デザイン領域が広がって面白いクルマが生まれやすくなる」

永作「サルでも知ってる」

 ふてくされる永作博美に、さらに続ける佐藤浩市。

佐藤「だからやるんだ」

プリウス開発の熱い苦闘

 今年9月にアメリカで発表された4代目「プリウス」のプロモーション動画だ。トヨタが28日からテレビとウェブで放映開始する。

 佐藤浩市、永作博美、黒木華、三浦友和、鈴木浩介など豪華メンバーが揃い、プリウス開発のドラマを演じる。これがまあクッソ熱くて面白い。

 4代目プリウスは、日本では「東京モーターショー2015」で初公開。同車は「TNGA」(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)という新しいクルマづくりから生まれた第1号車で、ドラマでは開発の苦闘を3部作で伝えていく。

 TNGAの目標は「クルマの性能を上げながら、原価を下げること」。スローガンにかかげるのは簡単だが、言っていることはめちゃくちゃだ。ドラマの冒頭では思いきり矛盾したことを言う佐藤浩市と永作博美が正面から激突する姿が描かれる。

新プリウス開発リーダーを演じる佐藤浩市

永作「あのねえ!」

佐藤「(自分を示して)上司」

永作「……あのですねえ!」

新人役・黒木華「あんまり変わってない……(小声)」

永作「新人は黙ってろ」

 気圧された黒木華が思わず黙ってしまったところで、永作博美はシャカシャカとボードにクルマのラフな設計図を書きはじめる。

永作「あのですねえ、100ミリ下げるということはですよ、30%削るってことですよ?」

佐藤「わかってるよ」

永作「(ボードを置いて)新人わかるか?」

黒木「はい。そのぶん部品がはみでます」

永作「よく言った新人……はみでるんですよ部品が!アホか!」

 しかし佐藤浩市は余裕の表情。

佐藤「どうすればいいんだ、新人?」

黒木「そのぶん部品を小さくすればいいかと」

 は? という顔をする永作博美。

佐藤「よく言った、新人」

トヨタには「無茶ぶり」が必要だった

 永作博美が黒木華に「……新人、おぼえてろよ」とうらみのこもった表情を投げる中、佐藤浩市はTNGAプロジェクトの骨子を伝えはじめる。

 トヨタはこれまで車種ごとに別々の企画・開発をしてきたが、TNGAでは真逆だ。「走る・曲がる・止まる」にかかわる基本技術を向上させた上で、さまざまな車種を横断して部品やユニットを共有しながら開発できるようにする。

 ちなみに佐藤浩市が低フード化にこだわっているのは、今後共有していくクルマの土台にあたる「プラットフォーム」のサイズ感を変え、軽量化・コスト削減をはかるうえで一番大事な部分だったからだ。

TNGA設計による新プリウスのプラットフォーム(イメージ)

 ドラマでは佐藤浩市が「プラットフォームのパーツをすべて小さくする。しかも、以前よりかならず性能を向上させろ」と言って会議室をざわつかせる。

 「1からやりなおしですか……?」

 佐藤浩市からの無茶ぶりを受けてざわつく開発チーム。小声でそうささやいた黒木華に永作博美が答えた一言が、そこから2年がかりでむちゃくちゃな開発に取り組んできたというTNGAプロジェクトのすべてを物語っていた。

 「ゼロからよ!」

佐藤浩市がウザいほど熱い

 メーカーでなくとも、会社員をやっていればどこかで目にしたことのありそうな風景。迫真の演技に思わず引き込まれ、全3編をあっさり見通してしまった。

 とにかく佐藤浩市がウザいくらい熱いのが見どころ。

 2話目以降も開発陣とぶつかりまくり。「開発は喧嘩だ」という第2話のコピーどおり、三浦友和につかみかかったりしながら開発を進めていく。とくに運転中の「音」にこだわる3話目、冒頭の演技は必見だ。

 まあとにかくモノづくりというか、仕事の本質が伝わるドラマとしてめちゃくちゃ面白い。ていうかこれもう普通に22時台代のテレビドラマとして見たいんだけど……。どこか権利買ってドラマ化してくれないかしら?


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