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クレジットカードがモンスターになりバトル

Money×IoTハッカソンが開催――CEATEC JAPAN 2015

2015年10月16日 06時00分更新

日常の買い物のついでに株式投資

 2015年10月7日から10日にかけて幕張メッセで開催されたアジア最大級のIT、エレクトロニクス、家電の総合展示会“CEATEC 2015”の会場でマネー×IoTをテーマにした“NRI ハッカソン”(野村総合研究所主催)が行なわれた。9月12日の大阪予選から勝ち残った4チーム、13日の東京予選から5チームが参加。CEATEC会場である幕張メッセに10月6日から7日まで泊まり込むというもので、1日でプロトタイプを作成、そのまま会場でプレゼンとデモした。

 2016年1月に開催される、世界最大のIT、エレクトロニクスの総合展示会“CES 2016”への招待もされる最優秀賞に輝いたのは、株との新しい付き合い方を提案したチームUnixの買い物アプリ『Cabuca』だ。日常の買い物に株式投資が溶け込ませるため、自分の好きな商品で少額投資できるというもので、日々の買い物で10%増しの料金を払い購入する。その分が投資に回されるというもので、150円のジュースを買った場合、165円になって15円が販売会社へ投資される仕組みだ。

 個人から集めた資金でCabucaファンドを形成、投資を実行し、運用また売却益を得る。それが配当としてユーザーに還元される。シンプルながら効率的で有用性の高いシステムだ。

 野村証券賞に選ばれたアハト・ゲルトチームのプロダクト『OSUSHI』も同様に日々の買い物に少し支払いをプラスして株式をおまけ購入するというもの。

 購入した商品に関する、一株に満たない端数の“端株”を自動購入するサービス。企業の株価が下がったときに商品を購入すると、同じ金額を払っても手に入る端株の数が増えるため、株価が下がると商品が売れるかもしれないという仕組みがちょっとおもしろい。

思わず買い物したくなるカードバトル

 JCB賞のUTJ ALL Starsのアプリ『Money Heroes』はクレジットカードや電子マネーのカードをスマートフォンのカメラでかざすとARでキャラクターが表われる。作成したキャラが3D空間に出現するモンスターと戦う、アクションRPGふうのゲームだ。

 ゲーミフィケ―ションプラットホームとして、アプリ内に表示されるクライアントの広告やお知らせを見ると報酬を得られたり、クレジットカードの利用履歴に応じてキャラクターを強化できたりすることも可能だという。もしキャラクターが倒されてしまったら、キャンペーンのダイレクトメールを読んだり、クレジットカードで決済したら復活するなんて仕組みも!

電子マネーの明細をリアルタイムに確認

 電子マネーは利用情報が電子化されていないとして、その欠点を補うデバイスを開発したのが、Maney Smartチームの『おもてなし電子マネー』。東京海上日動システムズ賞を獲得。電子マネーの決済情報を記録し、スマホのアプリにまとめて表示する。非接触ICカードの電子マネーが利用されるときに発せられる搬送波をキャッチする仕組み。スマホとブルートゥースLEでの通信機能を搭載するカードケース型デバイスの想定。通常は数日かかる明細情報がリアルタイムに蓄積していくことができる。

 わざわざデバイスを付けるのは面倒と思ってしまうかもしれないが、利用情報を写真や場所の情報を含めてタイムラインで表示したり、位置情報に基づいた機能の利用が可能になる。外国人旅行者が気軽に交通系ICカードを利用できるようになれば、アプリを使って周辺情報やおすすめ店を紹介するといった旅行体験をサポートするようなシステムを構築できるとしている。

募金の利用先を見える化する

 keelチームは透明性とフィードバックが感じられるようにした、新しい募金プラットフォームで野村証券賞を獲得。クラウドファンディングに近い仕組みで、ユーザーが募金をするとエスクローサービスとしてkeelが仲介に入り、複数ユーザーのお金を合わせてプールする。資金用途と合わせて、入金額などの条件を設定して達成されると入金。寄付先の現地からはメッセージなどがフィードバックされる。

 さらにブルートゥースLE搭載タグバッチを用意して、協力店では特典や寄付用のポイントを利用してサービスを提供してもらえるようにするという。募金の用途がしっかりと明確化されるだけでなく、現地からのフィードバックやお得なサービスを用意することで継続性のある募金活動を支援する。

超大型のIoTタンス貯金ガジェット

 マッシュルームチームはハードウェア開発のスタートアップで、三菱東京UFJ銀行が開催した“Fintech Challenge 2015”でファイナリストにもなった経験がある。流動性の低さという問題を抱えるタンス貯金の課題を解決するIoTタンス『スマート貯金箱 MONEYPENNY』を開発。大人の肩ぐらいの大きさのタンスを作成し、会場にも設置して審査員特別賞を獲得した。

 タンスの上部からお金を入れると、カメラが種類や枚数を判別して記憶。入出金履歴、残高をアプリで記録する。カメラの顔認識機能を使い、誰がいくら貯蓄したかも家族ごとに分けることが可能。実際に流動性を増やす仕組みは、入金情報を担保に資産運用や融資を行なったり、入出金の都度により、提携店のバウチャーをプレゼントするなど。少々突っ込みどころは満載だが、盗まれてもGPSが搭載されているため、どこにあるのかわかるとか……。ちなみに、タンスの下段には貴重品を収納するゾーンも設けられている。

 お金をテーマにしたコンシューマー向けFintechサービスのさまざまなアイデアが具現化したハッカソンとなった。ほかにも残念ながら賞には届かなかったが、お金の使い方を指導するコミュニケーションロボットや、スマホでパフォーマーに個人送金できるアプリ、子どもがお金の学習ができるお小遣いシステムなど、実現可能性の高そうなものから、あったらちょっとおもしろそうなサービスまで登場し、CEATEC会場でも異色のイベントとなっていた。

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