Acer(エイサー)は本国台湾で、一部のアジアと欧州地域向けのカンファレンス『Acer & Microsoft Joint Press Conference』を行なった。
会場では、今年9月ドイツで行なわれた『IFA 2015』で発表された製品が中心に展示されていたが、マイクロソフトとの合同イベントだったこともあり、Acerの製品がいかにWindows10用のデバイスとして優れているかをアピールする場となっていた。
今回初お披露目となる製品は2機種。まずは、14インチの変形型ノート『Aspire R 14』だ。主なスペックは、14インチ(1920×1080ドット)の10点タッチ対応パネルを備え、CPUはCore i7-6500U/i5-6200U、メモリー最大8GB、ストレージは128/256/512GB SATA SSD。約1.9kg、バッテリー駆動時間約9時間とモバイルでも使える。
いわゆる”ヨガ型”といわれる変形機構でディスプレー部が360度回転し、テント状、タブレット状で使用できる。北米では10月下旬から発売される予定で、699ドルからとのこと。
もう1機種は、バッテリーを内蔵する一体型PC『Aspier Z3』。17.3インチ(1920×1080ドット)ディスプレーで、CPUがPentium N3700もしくはCeleron N3150/N3050ということもあり、低価格な家庭用と思われる。その他の主なスペックは、メモリー最大8GB、ストレージが32/60/128/256GB SSDもしくはHDD 500GB。
本体背面に折りたたんで収納できるスタンドがあり、タブレット状態でテーブルや床にピッタリと置くことができる。AC駆動も可能だが、最大5時間駆動可能というバッテリーを内蔵している。重量が約2.04kgなので、リビングや寝室など宅内で移動して使うことを想定したつくりだ。欧米では年末までに発売され、価格は599ドルからの予定。
IFA 2015では”ゲーミング”というキーワードが頻繁に登場した。本イベントでもゲーミングブランドの”Predetor”は別スペースを設けており、35インチ(2560×1080ドット)のG-Sync対応曲面ディスプレー『Predetor Z35』などの実機が展示されていた。VAパネルで、応答速度は4ms。
Predetor Z35はリフレッシュレートのオーバークロックが可能で200Hz駆動できるという、謎の機能が話題になった製品だ。会場で担当者に聞いたところ『GeForce GTX980クラスのGPUが必要で、PC側でセッティングするとともにZ35側でモードをオンにする』ことで200Hz駆動が可能とのこと。展示されていたのは試作版のため、200Hz駆動ではなかったのが残念だ。12月にはもう少し詳細な情報がデルらしいので、期待して待ちたい。
そのほか、ゲーム向け機能として、ゲーマーには賛否両論がある、画面中央に”点”を表示する機能や、液晶下部が明滅するLEDなどが内蔵されていた。インターフェースはHDMI、DisplayPort,USB3.0ハブ(4入力1出力)。
ユニットをスタックして機能を追加するPC『Revo Build』。オレンジ色の天板があるユニットがPC本体で、その下はPCI−E接続のGPUユニット(AMD R5)となる。
本体ユニットから、上の3ユニットはホットスワップ対応。上から非接触充電のWireless Power Bank、Portable Hard Drive、Audio Blockとなっている。ちなみに上の3ユニットは、Surfece Proのキーボードで用いられている”Pogo pin”という端子で本体ユニットと接続されている。
本体の主なスペックは、CPUがPentium N3700もしくはCeleron N3150/3050、メモリー最大8GB、ストレージが32GB eMMC、サイズは135ミリ角でCDジャケットよりひと回り大きい。
展示とともに行なわれた発表イベントでは、Acer社長兼CEOのJason Chenが登壇。
Windows 10がローンチされてから、すでに100以上の”Windows 10 レディ”な機種を提供しており、アジア・欧州地域ではWindows 10搭載機としてナンバー1セールスを達成したという(GfK調べ)。Window10について、18ヵ月以上のマイクロソフトと契約してきたことをアピールし、Windows10の新しい体験を最も味わうことができるのはAcerの製品だという自信を見せた。
マイクロソフトのExecutive Vice president、Terry Myersonも登壇。先日ニューヨークで行なわれたイベントでも述べられたが、すでに1億1000万以上のWindows 10マシンが動作していることに手応えを感じているようだ。また、「最初に触ったWindows10デバイスはAcer製だった」と関係は深いようだが、Windows Phoneから変形、ゲーミングと、Windows 10を多様なスタイルで提供しているAcerはコンセプトに合致しているメーカーなのかもしれない。
ステージではさらに、Acerの新製品とWindows 10の新機能を組み合わせたデモも行なわれた。インテル RealSense 3D カメラを搭載する一体型デスクトップ『Aspire U5』を用いた、”Windows Hello”によるログインや音声入力によるコルタナの操作のほかに、変形ノート『Aspire R13』を用いて、新ブラウザー”Edge”のクリッピングやシェア機能を紹介した。
今回発表されたAspire R 14やZ3も、コルタナをより良く使えるように、周囲のノイズをキャンセルし、精度を向上したデジタル信号処理(DSP)を備えるデジタルマイクを搭載するなど、一貫して”Windows 10を使うならAcer”という姿勢を見せつけたプレゼンとなった。
これらの製品だが、日本での展開はまったくの不明。ワールドワイドでは2015年末までに発売の準備が進められている。日本では、エイサーといえばウルトラブックや激安8インチタブレットなど、ユニークかつ安価な製品を販売してきたというイメージがあるメーカーだ。ゲーミングブランドも含めて、日本でも展開することを期待したい。
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